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シリコンバレーStart Upの記録「Wild@Start」 (98/07/15)

 ハイテク産業の渦の中、米国では昨年だけで130万のビジネスがStart Up(発足)したという。インターネットという媒体を介して変貌したビジネス形態の中で、沸騰するアイデア。名も知られずに消えていく会社も多いが、そのひとつ一つに成功の夢を追う者たちの人間ドラマがある。このユニークな「Start Up時代」を、カルチャーとして記録しようという男がいる。

 サンフランシスコに住むドキュメンタリー監督Jay Capelaは、自分自身もそんなStart Upの夢を追った1人だった。同氏は、Webが登場してきた'93年、シリコンバレーでインターフェイス・デザイン会社を創立。しかし、好成績を得られず、後にAdobeに買収されることになる別会社に移転。悶々とした日々を送っていた彼に、あるとき名も知らない人物から「自分のStart Up会社を売って多少資金があるのだが、映画を作ってみないか」という依頼が舞い込む。Capelaのサンフランシスコ州立大学映画科卒の経歴をたどって連絡してきたのが投資家のEric Swildensだった。

 自社運営時代に、Start Upの世界の面白さを映像にしたいという願望があったCapelaは、天命を感じてこれを承諾。2人の話は盛り上がり、他の出資者も募って大きな企画にしよう、ということになった。タイトルもDavid Lynchの「Wild At Heart」を想像させるような「Wild@Start - High Technology Adventures and the American Dream」。WebTV、オンライン教育ソフトADDAPT、Webナビゲーション技術のAlexa Internet、電子メール専用小型端末開発のPOCKETSCIENCEなど、多数のユニークな会社とそれを操る人材たちの軌跡を記録する。現在、150時間にもおよぶ映像が撮影されており、最終的には3時間のシリーズ物として来年春の公開を目標にしている。

 「予定」でなく「目標」というのは、現在まだ実現のための資金が十分でないため。プロジェクトチームは資金を獲得するため、イベントで予告編を上映したり、サイト上でスポンサーを募ったりしている。つまり、このプロジェクト自体もハイテク会社のStart Upと同じなのだ。ミステリアスなビルボード広告で、やはりユニークなStart Upを飾った、インターネットビジネス雑誌「Business2.0」のプレミア号の中で、Capelaはこう語っている。「ソフトウェア開発と映画作りは同じものだ。どちらも夢を追う仕事なのだから」。

 もし私が大投資家なら、是非この夢の実現に貢献したいところだが、それはちょっと無理。「目標」どおりの公開が待ち遠しい。

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