(編集部から:「音に温かみがある」と依然として支持されているレコード。レコードは、決してターンテーブル上でむりやり擦るものではない!)
朝晩の空気も少しずつ「冬」の匂いが感じられ、数ヶ月前とは打って変わって過ごし易くなってきた。日暮れの時間も早くなり、夜が長くなっているのを実感する。気が付けば、2002年も残り3ヶ月足らず、「時間に追われる」とはこういう事を言うのだろうか。学生の頃は1年がとても長かったのに、不思議なものだ。
そう、私が中学生頃はまだまだアナログの時代だった。今で言う「CDショップ」は「レコード屋」と呼ばれ、街には「レンタルレコード屋」もあった。当時、LPの値段は2,800円、レンタルで400円ぐらいだっただろうか。とにかく、レンタルは小遣いの中でやりくりできる値段だった。おまけに私の家には、何故だかプレーヤーがなく、友達に頼んでテープにダビングしてもらっていた。だから私は、半分レコード世代でありながらレコードを持っていないし、レコードの扱い方も詳しくは知らない。ただ小学生の頃、やたらと大きなオーディオセットがあった友達の家でYMOのLPを聴いた時、まるで割れ易いガラスのようにレコードを丁寧に扱う友達の姿だけは鮮明に覚えている。
今思えば、キズが付かないように慎重にレコードを取り出し、プレーヤーにレコードを置き、それにそ~っと針を落とし、聴き終わったらクリーナーで盤面を拭く、と言う単純な動作。しかし、レコードはとても繊細なものだったので、神経を使う。だから、針を落とすまでの準備も聴き終わってからの手入れもレコード鑑賞のうちだったし、手間がかかる分、優雅な時間が過ごせたように思う。しかし、今はどうだろう。CDも大切に扱うものの、ボタンひとつで再生できてしまうし、ネット音楽配信でもクリックひとつで聴けてしまう。かつてのレコードに憧れる私には、何ともあっけなく感じられてしまうのだ。
読者の中にも、買ったレコードがいつの間にか、押入れや物置の奥に眠ってしまっている人も多いのだろう。あくせく汗を流して働いた夏も終わった事だし、カレンダーを覗くと連休も多い。これを機に、最近触れる事が少なくなったアナログの世界に浸ってみるのはどうだろうか?レコードジャケットの斬新なデザインを眺めつつ、丹念に手入れをして、その中から1曲をセレクトして聴いてみれば、新たな発見があるかもしれない。
しかし、レコード世代ならばお気付きだろう。そう、レコードを引っ張り出したとしてもすぐに聴ける環境が揃っているという保障はない。そこで、アナログ音源のデジタル化を扱っているサイト「アナログ音源再生化計画」の『レコードの再生』をお勧めする。再生する前のチェック箇所やメンテナンス方法を写真付き紹介してくれているので、レコードを引っ張り出す前に要チェックだ。再びレコードの世界にハマってしまったら、中古レコード屋に駆け込む事になるだろう。ここ数年のクラブ人気で中古レコード店は活気を取り戻しているので、根気強く探せばお目当てのレコードが見つかるかもしれない。またネット上でも、アメリカやヨーロッパからの中古レコードを中心に扱っている『VOXMUSIC
WEB SHOP』のようなショップも多く存在していて、扱うジャンルや年代などで個性を出している。その他、オンラインオークションやフリーマーケットで「お宝発見!」と言う事もあるかもしれない。
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アナログ音源再生化計画 |
VOXMUSIC WEB SHOP |
秋の夜長に、月を眺めながらのレコード鑑賞。実は私が以前から憧れているレコードの聴き方だ。しかし、未だに実現していない。「いつかは・・・」と思ってはいるものの、未だにプレーヤーもレコードもない。いつのことになるのやら、まだまだ先は長そうだ。
(2002/10/10)
■著者紹介■ |
花田 志保
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データベース構築・パソコンインストラクターの傍ら、プログラミングの知識を生かしてパソコン関係の書籍も執筆するライター。現在、肩書きを思案中。
主な執筆:
「かんたん楽しい『デジカメ生活』」、「子どもにウケる パソコンあそび」、「パソコンのくにのふしぎなへや」(いずれもPHP研究所)、そのほか通信教育テキストなど。
NetAngle http://www.xdsl.ne.jp/in/maui/
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