1998年2月16日
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○SETの規格策定スケジュールが前倒しに
○三菱電機のホームページ閲覧者指紋判定システム
○ポケベルの新方式「ネクスト」への移行促進
余談4題:スーパーchrip方式/日本IBMの五輪サイトは大盛況その2/通信放送技術衛星「かけはし」打ち上げ/第17回米航空宇宙学会通信衛星システム国際会議と国際宇宙産業展
○SETの規格策定スケジュールが前倒しに
日経産業新聞2面には、国際カード会社のビザやマスターカードなどが主導するECに関するコンソーシアムの専門家会議で、「SET(セキュア・エレクトロニック・トランザクション)」の規格策定スケジュールが、当初計画より実施が半年以上前倒しになったという記事が掲載された。今年前半までにクレジットカードに続き銀行口座利用の引き落としサービス(デビット)を追加することと、電子認証書のICカード化を実現することの2つが主な追加項目で、今年12月にも話し合いが始まる「SET
Ver.2」で検討する前に「SET
Ver.1.0」の拡張版を出す方針とのこと。
もともと99年半ばに予定されていたSET Ver.2だが、すでに欧州で先行しているICカード化や電子マネーの実用化などを考えると、確かにそれでは遅いだろう。拡張版は早ければ今夏にも成案が出るという。早い正式仕様の決定が望まれる。
編集部注:ビザに問い合わせてみたところ、この話は先日フロリダで行なわれた会議をもとに書かれたもので、前倒すかどうかを話合った段階という。なお、会議の内容は公開できないとのこと。
○三菱電機のホームページ閲覧者指紋判定システム
14日(土)の日経新聞夕刊1面には、三菱電機が会員制ホームページの閲覧者を指紋で判定するシステムを開発したという記事が掲載された。利用者側は、PCの他に指紋読み取り装置を用意し、ホームページ管理側のコンピューターに指紋を事前登録するとしている。指紋登録したホームページを利用する場合は、そのホームページをアクセスした後にサーバー側から送られてくる指紋照合要求に合わせて、装置に指をあてると指紋が読みとられて照合されるとのこと。PCはどんな機種でも対応可能という。
指紋識別装置の開発だけで言えば富士通研究所のPCMCIAカード型指紋認証装置や、富士通電装の指紋認識装置「フィンガーパス」を内蔵したキーボードなどがある。しかしインターネット上での認証としての指紋判定システムは初めてであり、金融や証券といったより高い認証が求められるようなサービス分野での需要は高そうだ。
○ポケベルの新方式「ネクスト」への移行促進
日経産業新聞9面には、NTT移動通信網(NTT
DoCoMo)が今春から、ポケベルの旧型方式から新方式「ネクスト」への移行を促進する5カ年計画に着手するという記事が掲載された。96年春から導入した新型ポケベルは旧方式に比べ伝送能力が6.4kbpsと5倍以上あるため、豊富な情報が送れるうえ効率的に加入者を収容できるという。すでに商品では数字カナ表示式の「センティーネクスト」や漢字自由文表示の「インフォネクスト」、腕時計型ポケベルの「ネクストジークス」
などを投入し、また月額基本料も旧型より400円安い1,400円という設定とはなっている。しかし、関東地区の180万台のうち、まだ120万台が従来方式と変換が遅れがちのため、端末の無償交換などユーザーへの特典を設けて移行を進めるようだ。
6.4kbpsの伝送速度なら、短いメールなどの送受信機器として十分に使えるだろう。携帯電話やPHSを使った場合のインターネット・メールの送受信機能とは異なる、ポケベルの手軽さや省スペースなところを活かしたアプリケーションが出てくれば、旧型方式の移行ばかりでなく、新規需要も掘り起こせるかもしれない。
余談その1:スーパーchrip方式
日経新聞17面&日経産業新聞5面と日刊工業新聞10面には、松下電産が、時速100km以上の高速移動中でも高画質で滑らかな動画を伝送できる技術「スーパーchrip方式」を開発したという記事が掲載された。画像の乱れを即時に修整する機能を備えたのが特徴で、今年半ばの実用化を目指すとのことだ。伝送できる画像は普通のビデオ並みの画質(毎秒30コマ)で、同時に3チャンネル伝送可能という。
2.4GHzの周波数を使った無線実験では、時速170kmでも安定した高画質動画を得られ、到達距離も見通しが良ければ2km以上まで可能だったと書かれており、試作モデルは送受信機とも家庭用コードレス電話並みに小型化されているとのこと。
もう少し早く試作されていれば、長野五輪のボブスレーやジャンプ、アルペンスキーの滑降など高速系の競技で、ヘルメットなどにこの装置を付けて、生の選手の視線で放送出来たかもしれない。また車載のピープホール用など、インターネット放送にも色々応用できそうな技術だ。
余談その2:日本IBMの五輪サイトは大盛況その2(2月10日号のNEWS
Watchも参照)
長野五輪の話題が出たのでもう一つ、日経産業新聞7面には、日本IBMが管理・運営を務める長野五輪の公式ホームページへのアクセス数が、12日までの6日間で計2億2,190万件となり、'96年のアトランタ五輪の開催中の全ヒット数を上回ったという記事が掲載された。12日だけでも5,170万件のアクセスがあり、選手宛のファン・メールも9日発表時の2倍以上の10万5,725通に及んだという。
日本選手団の活躍のボルテージが上がっていくに連れて、アクセス数も倍々に増えている感じだ。インターネット・ユーザーの数も2年前より2倍以上に増えている証しでもあろうか。この調子で日本のメダルの数も、倍々ゲームのように増えることを期待したい。
余談その3:通信放送技術衛星「かけはし」打ち上げ
日経新聞17面には、宇宙開発事業団(NASDA)が20日、国産大型ロケットH2で通信放送技術衛星「かけはし」を打ち上げるという記事が掲載された。この衛星を使って、デジタル高精細画像放送や立体TV放送などの衛星放送実験や地上の移動体通信実験などを行うと書かれている。予定では20日の午後5時ごろに同事業団種子島宇宙センター(鹿児島県)から打ち上げるとのことだ。
NASDAの打ち上げ速報ページの中のロケット発射場の定点観測ページでは、着々とロケットが組上げられていく様子が一定時間ごとに更新される。興味のある方は覗いてみるのも良いだろう(ただし夜は真っ暗だが…)。
余談その4:第17回米航空宇宙学会通信衛星システム国際会議と国際宇宙産業展
宇宙の話題が話題が出たのでもう一つ、日刊工業新聞2面には、米航空宇宙学会(AIAA)が23日から27日まで、「第17回米航空宇宙学会通信衛星システム国際会議と国際宇宙産業展」をパシフィコ横浜で開催するという記事が掲載された。世界最大の衛星通信分野の国際会議/国際宇宙産業展が北米以外での初開催となり、発表論文数も191件(日本から96件)で参加企業も米ヒューズやモトローラ、NECやNTT
DoCoMoなど87機関・団体となっている。
国際宇宙産業展の方は、24日~26日の3日間、入場無料で開催される。出展も、日本の衛星3社と呼ばれるNECと東芝、三菱電機など日本の通信衛星関連各社が名を連ねている。また、今夏から日本でもDDIが通信業者となってサービスインする予定の衛星携帯電話システム「イリジウム」(米モトローラ推進)や、デジタル衛星放送用の衛星をほぼ一手に制作している米ヒューズ社も展示に加わり、いま衛星通信業界では何が起こっているのか、一目で分かる展示会だ。
私が所属している(株)次世代衛星通信・放送システム研究所も展示を行っているので、もしかしたら皆さんとお会いできるかも。(^_^)
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