1998年3月24日
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●加入者系無線アクセスシステムの規制緩和
○インターネットTVの「NCTV」とは
○固定電話と互換性があるPHS開発
余談3題:電話番号でアドレスを/書類電子配達サービス/ニューズウォッチ新サービス/休刊のお知らせ
[無線アクセス][政策](レベルA')
●加入者系無線アクセスシステムの規制緩和
朝日新聞11面と日経新聞11面&日経産業新聞7面には、郵政省が23日、企業や一般家庭を電話線の代わりに無線で結ぶ新システムを99年には実用化可能にすると発表したという記事が掲載されている。郵政相の諮問機関である電気通信技術審議会が23日、「加入者系無線アクセスシステムの技術的条件」の中で答申したもの。22GHzと26GHz、38GHzの周波数を新システムに割り当て、電話局から企業など大口ユーザー向けには最大156Mbpsの伝送容量を、一般家庭などの加入者向けには最大6Mbpsを目安としたシステムを認可すべきとしている。この方式の認可により、都市部の電話回線に無線システムが導入されることになり、外資を含む新規事業者の参入などのサービス競争が促進されるという。
この動きを受けて日本テレコムも4月から光ファイバーと無線を併用して、JR駅周辺の企業向けにISDNなどを提供するサービス実験を首都圏や東北、九州など数カ所で開始する。さらに7月からは全国20~30ケ所で商用サービスを始める計画などがあるようだ。
新聞記事では、NTT以外の通信事業者が自前の回線から直接加入者サービスが可能になる部分を強調して、これまでNTTが独占していた加入者サービスが競争できるとしている。しかしNTTにとっても、日本全国への光ファイバー網整備計画:FTTH(Fiber
To The Home)の一歩手前である、FTTC(Fiber To The
Curb)やFTTB(Fiber To The
Building)サービスを前倒しで開始出来るなど、規制緩和の恩恵が受けられる。
とにかくこの緩和施策が、無線高速アクセスなどの多様なサービスが出現する素地となることは、間違いないところだろう。
○インターネットTVの「NCTV」とは
日経新聞13面には、日本オラクルが6月から、インターネットテレビ「NCTV」の普及に乗り出すという記事が掲載された。同社が規格や対応ソフトを提供し、端末側のセット・トップ・ボックス(STB、5万円前後)は台湾のエイサーなどが日本の家電メーカーにOEM供給すると書かれている。NCTVは、TVに接続したSTBとインターネット情報を発信するWebサーバーをネットワーク化して構築し、TV画面を見ながらネットサーフィンやEメールをやり取りできるのが特徴としている。また、インターネットTVは家庭での需要拡大には時間がかかるため、このNCTVは当面、企業向けとするらしい。
日本では家電メーカーが作った組み込み型インターネットテレビの売れ行きが今一なので、まずは企業向けにということだろう。しかし、PCに対してNC端末がもう一つ企業内で普及しないことと同じ理由で、このNCTVも用途が中途半端のような印象を受けてしまう。
同じく家庭向けの普及を目差すインターネット端末「WebTV」が、提供するコンテンツサービスでの差別化や、電子メールを使って情報を配信する「メールトレイン」サービスを開始するなどで、着々とユーザーを増やす展開を行っていることを考えると、ただサーバー機能のあるTV受信機というだけでは一般家庭への展開も難しいのではないだろうか。
○固定電話と互換性があるPHS開発
日刊工業新聞1面トップには、PHS業界が固定電話と互換性があるPHSの開発に着手したという記事が掲載された。PHSの端末メーカーの業界団体である通信機械工業会(CIAJ)と、NTTパーソナルやDDIポケット、アステルが加盟する電波産業会(ARIB)が協力して、どのメーカーのPHSを使っても通信相手の親機である固定電話番号にかければ、その子機であるPHSに電話を転送出来るという標準機を今秋、試作するという。
これまで3者3様だったPHSのコードレス電話機能を統一し、とりあえず親子機能のあるPHSには、メーカーの壁を越えた相互接続が可能とするようだ。だが現在の携帯電話の普及率の増加を考えると、もう一歩進めてメーカーや通信業者の壁を越えたPHS子機同士の相互接続を、PHS業界全体で考えなければならないくらいの危機感が必要だと思うのだが。
余談その1:電話番号でアドレスを
日経産業新聞24面には、通信の暗号化技術開発のバリアフリーが、電子メールアドレスを電話番号で表記するサービスを開始したという記事が掲載された。このサービス(料金はメールアドレス1つにつき年間1万円)を利用すると、アドレスは利用者の電話番号に「@tel.to」を付けた番号になる。またホームページのアドレスを電話番号で表記するサービスも同時に開始しており、メールの場合と同様に表記方法は「http://tel.to/」に利用者の電話番号を加えたものとなるようだ。
電話番号の方が社名より有名になっていたり、これからそうしたい企業などには、向いているサービスだろう。ドメイン管理料が極度に安価なトンガ・ドメイン(.to)を利用しているのも、商売上手なところと言えようか。
余談その2:書類電子配達サービス
日経新聞15面には、小口貨物輸送大手の米ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)が5月をメドに、インターネットを活用した書類の電子配達サービス「UPSドキュメント・エクスチェンジ」を日本で始めるという記事が掲載された。すでに米国では3月から開始しており、二重の暗号化方式を採用して情報の機密性を高め、ネット上で書類のやりとりを仲介すると書かれている。インターネットによる書類の電子配達を行うのは運輸業界では初めてらしい。
運送業界ではDHLやこのUPSも行っている、今世界の何処に自分の荷物があるかリアルタイムで分かるトラッキング・サービスを行うことがブームとなっている。それにプラスαのサービスとして、電子的なセキュリティーを売り物に将来サービスへの差別化を図っているようだ。
余談その3:ニューズウォッチ新サービス
日刊工業新聞9面には、ニューズウォッチ社が23日、インターネットを利用して新聞や雑誌に掲載された記事全文を入手できる新しい情報ファイリングサービス始めるという記事が掲載された。これまでエレクトロニクス分野を中心とした5~10項目だった記事のテーマが、経営管理や営業統括から情報・通信、自動車、食品、金融など産業分野別として100項目に拡充し、企業の様々な組織で利用可能とした。新サービスの料金は10人単位での利用を1口としており、1テーマにつき月額8千円、全文記事の利用は1件210円の従量制を採用したという。
記事の全文情報にリンクさせる様な、HTMLメールを送付するシステムと思われる。なかなか「News
Watch」も頑張っているようで。(ちなみに、このコーナーは『NEWS
Watch』なので、お間違えないように...(^_^;)
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