ウォッチャー金丸のNEWS Watch
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1997年3月28日版


HEADLINE 4 articles

「ロスピノスIIアジア」設立
会員制格安インターネット・サービス「246-net」
インターネット電話システム「ボーカルテックテレフォニーゲートウェイ」発売
KDDの「国際ビジネスIP」サービス開始


[プロバイダー][海外進出](レベルA')
●南米最大プロバイダーの
「ロスピノスII」のアジア拠点

 日経産業新聞3面には、本社をアルゼンチン・ブエノスアイレスに持つLOS PINOS II WORLD WIDEのアジア・オセアニア地域の統轄本社「ロスピノスIIアジア」を東京に置く記事が掲載されている。
 既に2月4日に会社自体は設立されているようだが、主な業務としては、顧客に対してラテンアメリカ地域などのロスピノスIIユーザーに対するE-mailによる広告周知や、スペイン語検索ページにバナー広告登録すること、WWW広告をスペイン語、ポルトガル語、英語、自国語の四ヶ国語で行うことなどのサービスなどがあるようだ。本体の「ロスピノスII」が、スペイン語のサーチエンジン「fiera.com」を米マイアミで展開しており、ヒスパニックと呼ばれるスペイン語圏出身者への影響力も大きいものと考えられる。
 日本でも、南米からの日系人以外にもスペイン語圏の外国人は大幅に増えており、衛星デジタルTVである「PerfecTV!」のスペイン語番組もそういった人達からの強い支持が多いのと同じように、このサービスも南米へのパイプとなり得るであろう。ペルーでのMRTAによるテロなどにめげず、地球の裏側とのより緊密な関係をつくる一つの架け橋になればと期待される。


[PROVIDER](レベルA')
●東急の会員制格安インターネット・サービス「246-net」

 日経新聞15面&日経産業新聞3面及び日刊工業新聞8&22面には、東京急行電鉄がプロバイダー事業に参入する記事が掲載された。会員数を7,600人に限定した会員制サービスで、年1万円での定額料金だという。
 「246」とは、東急新玉川線-田園都市線(渋谷~中央林間)とほぼ並行して走る国道246号線から命名されたのだろうが、アクセスポイントが東京と横浜だけなのはチョット寂しい気もする。(246は東京や横浜だけを走っているわけではないので)
 東急グループとしては、東急ケーブルテレビジョンKDDの、CATVを使ったケーブルインターネットの共同実験(4月4日までアクセス可能、それ以降はhttp://www.catv.ne.jp/に変更予定)が3月末には終了するにも関わらず、なかなか一般へのCATVインターネット接続サービスが開始出来ない(サービス価格面の問題か?)ので、こういった安価なインターネット接続サービスでユーザー確保に乗り出したといえる。
 今回の東急電鉄のような、通信以外の別業種からのインターネット関連事業への参入が今後もあるだろうが、プロバイダー業入に関しては、OCNなどのサービス価格との比較から運営コスト計算を行わねばならず、中小の企業が今から新規参入するには厳しい環境になったのは間違いないところだろう。


[インターネット電話][システム](レベルB)
日商岩井のインターネット電話システム「ボーカルテックテレフォニーゲートウェイ(VTG)」発売

 日経産業新聞3面には、日商岩井がボーカルテック社の通常電話でもインターネット通話出来るシステムを販売する記事が掲載された。
 このVocalTec Telephony Gateway 3.0は、3月3日にVocalTecからプレスリリースされており、その機能としては、通常の電話同士だけではなく、PCと電話機やFAX同士をつなぐシステムなどを構築できる。インターネット/イントラネットに接続するには、電話機双方の側にWindoesNT4.0搭載のゲートウェイマシンが必要ではあるが、PBX(電子交換機)と組み合わせれば、複数台同士での通話も可能となる。
 私が先々週に行ったLAでのインターネット・ワールドでのコンファレンスでも、「(米通信会社の)MCIの社長も2001年には電話の50%がインターネット経由になるであろうと言った。」という言葉を聞いたが、こういった技術普及がそれを押し進めていく原動力の一つになるのは間違いない。


[IPサービス](レベルB)
KDDの「国際ビジネスIP」サービス開始

 日経産業新聞9面と日刊工業新聞8面には、KDDがインターネット経由の企業専用の国際通信網を構築できる「国際ビジネスIP」サービスを開始する記事が掲載された。
 KDDのリリースによれば、サービスには二つのタイプがあり、タイプAは、KDDの国際フレームリレーサービスと同様に、相手先毎に16kbps~1Mbpsの速度を保証する論理リンクを設定してデータ転送を行うものであり、タイプBはKDDのインターネット国際ゲートウェイサービスの直通回線を利用し、フィルタリングやトンネリング技術により特定の相手先のみに通信可能な仮想リンクを設定するサービスのようだ。初めは米国との間で開始するが、順次全世界地域に広げていく予定らしい。
 まだまだ企業イントラネット・ユーザー向けだけに特化されたサービスという面が強いが、インターネット通信での通信品質(帯域)を保証するような技術等も使ったサービスでもあり、従来の海外への専用線通信よりは安価な通信料になることが期待される。また、今回のように電話以外での高付加価値情報サービスから始めて、その技術及び設備的な蓄積を行った後に、より安価なサービス(例えばインターネット電話等)までも行えるような技術の広がりを持ったサービスが始まったともいえる。


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