1997年4月4日版
HEADLINE 4 articles
●NTTドコモのCDMA携帯電話開発
●KDDの複数チャンネル高速無線LANシステム
○インターネット特許情報サービス「パトリス・ウェブ」
●米FCCがデジタルTVサービスの開始時期を発表(夕刊速報!)
[携帯電話][データ通信](レベルA)
●NTT
DoCoMoが、次世代携帯電話規格(CDMA方式)の開発に着手
日経新聞11面&日経産業新聞7面及び日刊工業新聞7面には、NTT移動体通信網(NTTドコモ)がCDMA方式の携帯電話を研究開発する記事が掲載されている。データ伝送速度384kbps(左記は移動中のもので、静止中は2Mbps)での通信を、2000年での実用化を目指すようだ。
CDMA(Code Division Multiple Access:符号分割多元接続)方式は、Eメールソフト:EUDORAを開発したことでも有名な、QUALCOMM社が開発した通信方式で、方式特許も持っていることから、NECや富士通、日立などの日本の通信機器メーカーの多くが技術ライセンスの供与も受けている。QUALCOMM社自身もCDMA方式の携帯電話は出しているが、アナログ通信方式との切替機が入った音声のみの通信機能を持った機器なので、まだまだ改善の余地がありそうだ。
ドコモの基盤技術研究でも、直接拡散符号分割多重アクセス(DS-CDMA)技術で、伝送速度を2Mbpsまで高める実験を行っており、実用化への道は意外と近い可能性もある。
次の世代の世界的移動体通信規格:FPLMTS(Future
Public Land Mobile Telecommunication Systems 、又の呼び名をInternational
Mobile Telecommunications - 2000 (IMT-2000))(ITU:国際通信連合にて検討中)での通信方式も、CDMAにしようという動きもあり、今後大いに期待される通信方式であることには間違いない。
[無線LAN](レベルA')
●複数チャンネル高速無線LANシステム
日経新聞11面&日経産業新聞7面及び日刊工業新聞7面には、KDDが複数チャンネルで同時通信ができる高速無線LANシステムを開発した記事が掲載された。KDD研での研究成果がまた一つ製品化されるようだ。
4月3日付のニュースリリースにもあるように、従来の無線LANと同じ2.4GHz帯で、1チャンネルあたり2Mbps×9(チャンネル)=18Mbpsの通信が可能になっており、複数台のPCをそれぞれ2Mbpsにてデータ通信接続出来るようだ。今までの無線LANシステムが、1対1のPC又はLAN同士の遠隔接続をメインに考えられているのに比べて、このLANシステムは2Mbpsが各々のPCに割り当てられるので、イーサネットでLANを構築・追加していこうと考えた場合に、データ転送速度的なことで使用を諦める必要が少なくなるであろう。
本年度より子会社のKDDテクノロジー等を通じて販売を開始する予定らしいので、配線がこんがらがって困っているオフィスや工場などにとっては、朗報だろう。
[特許][検索](レベルB)
○日本特許情報機構(JAPIO)のインターネット特許情報サービス「パトリス・ウェブ」(INTERNET
Watch記事参照)
日経産業新聞4面には、日本特許情報機構がブラウザーによる特許検索出来るサービスを開始した記事が掲載された。まだ新サービスの案内しか、JAPIOのWebには上がってはいないが、現状ではイントラネット的(専用AP以外からのアクセスが出来ない)使い方をするようだ。
他にも昨年12月末から、野村総合研究所の「NRIサイバーパテントデスク」サービスが試行されており、また日本発明資料(株)のインターネット特許情報サービス「NEF-NET」の試行も4月2日からスタ-トしていたりするのだが、多くの企業ユーザーがパソコン通信の時代から特許検索DBサービスとして導入している「PATOLIS」本体がWeb展開を始めるとなると、今後はこのサービスにシフトして行くのは時間の問題かと思われる。
しかし、米IBMは1月から、約200万件に上る特許の文書や図表を一般ユーザーがキーワードを利用して自由に検索・閲覧できるようにした「パテント・サーバー」サービスを無料で公開しており、工業技術などをを下支えするような情報(特に過去にさかのぼるようなもの)は、公開されてこそ生きるというアメリカの精神の一部を垣間見る事が出来る。日本のように使用料や回線料を徴収するやり方も通用しなくなる時代が、すぐそこまで来ている気がしてならないのだが...。
◎夕刊速報!
[政策][デジタルTV](レベルA)
●米連邦通信委員会(FCC)は現地3日、デジタルTV(DTV)サービスにおけるルールなどを採択したと発表--18カ月以内にアメリカ10大都市でサービスを始めるとした
日経新聞夕刊1面と、3面のニュース解説には、アメリカでの地上波でのデジタルテレビ(DTV)放送が1年半後には始まることを告げる記事が掲載された。
4月3日付のFCCの発表は、ルールと、分配表(Table
of Allotments)について採択した事が書かれており、内容は新聞発表の通りである。
インターネットとも親和性の高い(Push技術など最たるものだが)デジタルTV技術だけに、この1年半の間にアメリカだけではなく日本も含めた全世界で、放送や家電、通信、コンピューター業界なども取り込んだ、大きな動きがありそうだ。
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