ウォッチャー金丸のNEWS Watch
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1997年4月18日版


HEADLINE 5 articles

ビデオCDインターネットの規格策定
富士通のインターネット・ローミングサービス
国際と国内のATMサービス開始
東芝の「GENIO」発売延期について
塚本氏(インプレス社長)の主張


[VIDEO-CD][規格](レベルA)
松下など5社がビデオCDインターネットの規格を策定


 日経産業新聞3面には、松下電産など家電関連の5社がビデオCDインターネットの規格を策定した記事が掲載された。松下電産の他に加わったのは、ソニー日本ビクター、フィリップス、日立のようだ。
 こういったインタラクティブなCDとしては、音楽業界が取り入れるのが早く、昨年秋ぐらいからExtra-CDとしてポツポツと発売されるようになった。例えば、この5社連合に親会社は入っていないが、東芝EMI所属の音楽グループ「My LittleLover」のINTERNET CD-ROM「ALICE INWONDERLAND」などが発売されており(internet Watch記事参照)、このCDをアクセスするときのキーとして購買者のみが接続出来るホームページを作ったりと、CDとの連動する形は取っていた。
 今回はビデオCDということで、より動画再生能力が上がり、インターネットを介してもAV機能を高めたものとのインタラクティブ性が上がると期待される。ストリーミング技術やプッシュ(放送型)技術がもてはやされている昨今だが、現在のような通信インフラが貧弱なうちは、この様な映像データを各個に持ったコンテンツ・サービスも重要な位置を占めそうだ。



[ローミングサービス][プロバイダー](レベルA)
富士通InfoWebを使ってインターネット・ローミングサービス開始


 日刊工業新聞1面トップには、富士通がInfoWebのアクセス・ポイント(AP)を開放して、国内出張先でも市内通話料でインターネット接続出来るローミングサービスを開始する記事が掲載された。まず、富士通関連の地域プロバイダーに対して始めるようだ。
 4月16日のNEWSWatchでも取り上げた、海外でのローミングサービスでも触れたが、中小のプロバイダーが今後生き残るには、大きなバクボーンを持つこととともに、サービス充実化の方法として、モバイル・コンピューティングへの対応もその一つとして重要となるのは間違いない。今回の富士通のローミングサービスはその意味で、中小プロバイダーのユーザーから見た場合、全国ネットの巨大なバックボーンに各地から直接市内電話料金で接続できるので、特にビジネスで使う場合などには必要不可欠なサービスとなろう。
 しかし、このローミングサービスは、単なるノートパソコン・インターネット接続サービスだけに留まらず、例えばインターネット電話を使った出張連絡や、PHSや携帯電話とデータ機器(PDAなど)を使ったリモート通信など、富士通を中心としたもっと一般的な通信業者を生み出す元になる可能性も含んでおり、ただプロバイダーのOCNへの対策というだけではなく、来る21世紀の通信革命に備えた連合体づくりの意味も充分に感じられる。今後、他の大手プロバイダーも、公衆回線だけではなくCATVや衛星通信まで含めたローミングサービスに乗り出してくるだろう。



[ATM](レベルA')
KDDの国際ATMサービスと日本テレコムの国内ATM網サービス


 日経新聞15面&日経産業新聞9面及び日刊工業新聞11面には、KDDとしては初めて、米AT&Tとの間で国際ATMサービス「KDDグローバリンクATM」を開始する記事が、同じく日刊工業新聞11面には、日本テレコム(JT)がフレームリレー(FR)網と非同期転送モード(ATM)網の相互間通信を利用した新サービスを国内で初めて開始する記事が掲載されている。
 KDDのプレスリリースにもあるように、ユーザーとKDDとの間に直通回線(加入契約回線で1.5M、6M、45Mbpsの3種類の速度)を設定し、複数の相手に16kbps~35Mbpsまでの論理的な回線を張るサービスとなる。
 日本テレコムの国内サービスは、FR網とATM網が相互乗入れ(1.5MbpsのFRデータを6Mbpsに集約)できることとなり、今まで高価で不人気だったATM網をFR網で活用できるようになる。
 どちらのサービスも国内初ということで、これまで新聞紙面や技術雑誌などを結構賑わしてきたATM技術の普及というものが、意外にも少ないということを如実に表してはいる。今までの大容量(とはいえ1.5Mbpsまでだが)通信はFR網がほとんどで、今後のマルチメディア・データ転送用にはATM網を整備しなければと分っていても、なかなか企業など設備投資など資金的な問題で移行が行われていないのが現状である。そういった中でも、日本テレコムのような移行を助けるサービスや、KDDのような将来の需要を見据えた取組みがあってこそ、今後のマルチメディア通信も現実のものとなっていくのだろう。こういった高速回線網普及には、ヘビー・データ・ユーザー(の皆様)の、よりいっそうのインターネット利用が必要になってくるのだが...

(ATMについてもっと知りたい方は、KDDのATMサービスについての問い合わせがブラウザー上からでも行えるので、直接利用するしないに関わらず、その道のプロに聞いてみるのも一考では)



[PHS-PDA](レベルB)
東芝「GENIO(ジェニオ)PCV100」の発売延期(PCWatch記事参照)


 日経新聞13面&日経産業新聞9面には、東芝のPHS内蔵の携帯情報端末「GENIO(ジェニオ)PCV100」の発売延期の記事が掲載されている。2月の発表時には、4月25日に発売としていた(internetWatch記事及び、PCWatch記事参照)が、1月ほどずれ込むこととなってしまったようだ。(既に、2月27日のプレスリリースも発売日変更済)
 東芝からの製品情報には、連続通信時間の強化やパソコン接続通信機能対応などで発売が遅れるようだが、内実は新聞やPC Watchにもあるように、PHS標準高速データ通信規格の「PIAFS」と「αDATA32」への対応がネックになっているのだろう。
 ユーザーにとっては、両方式に対応していてくれた方が使い勝手が良いだろうし、メーカーにもそういった仕様での製品開発をお願いしたいが、その対応自体が逆にメーカーを苦しめているようだ。そもそもこうした2方式自体が、各々独立して走り始めてしまったことが、この発売遅れを引き起こした元凶と言える。古くはVTR(ビデオ録画)方式のβ方式とVHS方式のデファクト戦争から、最近のDVDの方式決定まで、これまでユーザーやメーカーを振りまわし迷わせた数限りない事例が、PHSでも再現されてしまったようだ。自社の規格を押し通して標準規格が二分三分してしまうことが、他社との規格摺り合わせでの時間的ロスや機器の発売遅れ、延いてはその市場自体の拡大の足枷になってしまうことにいつになったら気付くのだろうか。(気付いてはいるが、後には引けない場合もあるのだろうが...)
 デファクト・スタンダードを目指す努力は絶えず必要だし、その競争がサービス向上などに結び付けば良いのだが、デファクトの旨みばかりを追いかけて、ユーザーの存在を忘れてしまうようでは困ると思うのだが...



◎塚本慶一郎氏(インプレス社長)の「私の主張」

 今日の日経産業新聞25面には、「ミクロの焦点 私の主張」という各界の第一線で活躍されている方々の主張を連載しているコーナーに、インプレス社長である塚本慶一郎氏が登場しており、日本のコンテンツビジネスへの苦言と提言が出されていた。(詳しくは、日経産業新聞を読んで...と言っても今読める方は、よほどの業界通の方だろうか...)



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