ウォッチャー金丸のNEWS Watch
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1997年5月23日版


HEADLINE 3 articles

IPv6に対応するリアルタイムOS「pSOS」
指紋照合技術の米ベンチャー:ベリディコム設立
Oasis(オアシス)騒動
余談3題:ホームPC撤退騒ぎ/CATV普及率/ワンチップAMラジオ


[メール][PDA][携帯電話](レベルA')
●IPv6(Internet Protocol version 6)」に対応するリアルタイムOS「pSOS」


 日刊工業新聞10面には、インテグレーテッド・システム・ジャパン(ISIジャパン)が、インターネットプロトコル「IPv6(Internet Protocol version6)」に対応するリアルタイムOS「pSOS」を6月から出荷するという記事が掲載されている。開発ツールの価格は1セット当たり400万円から1千万円程度のようだ。
 Ipv6ネットワーク組込みソリューションについては、既に5月6日の日本のプレスリリースに、米ISI社にて発表された内容が掲載されており、Attache Plus6技術により、IPv4及びIPv6標準規格を共にサポートしており、現在の32bitのIPv4では40億程度のアドレスしか確保でき無いが、128bitのIPv6にすれば地球上のすべてに渡って1m四方ごとに10個のIPアドレスを取ることが可能となるとしている。
 こういった新プロトコル:IPv6に対する取り組みは、米DECも積極的で、昨年度の技報「Digital TechnicalJournal」(Vol.8,No.3)にも、IPv6を巻頭に取り上げたり、Alpha-ServerIPv6対応させたりと、実際のIPv6実験と共に、この方式の将来性や優位性を公報している。
 IPv6関連では、他にも米DECを中心として米国のプロバイダーなどが参加している実験ネットワーク・バックボーン:「6bone」も稼働しており、世界との接続チャートを見ていただければ分るが、日本でもWIDEプロジュクトがそのバックボーンと接続して、「v6 WorkingGroup」として活動を行っている。
 こういった世界的な実験の流れの中において、今回のようなOSソフトなどが製品化されてくるようになれば、着実に新たなインターネット世界を押し広げる事が出来てくるだろう。1平米に10個のIPが取れるなら、どんなもの(動植物や人間も含めて)にもアドレス付加が可能となり、ますます情報と現実にあるもの同士の緊密な関係が築かれるインターネット・ワールドが展開されるようになりそうだ。

 4月28日のinternetWatch記事にもあるように、6月4日から幕張メッセで開催されるネットワーク関連の展示会「NetWorld+Interop97Tokyo(N+I97)」で設置される実験コーナー:「Solutions ShowcaseDemonstrations(SSD)」における「InnovativeType-革新型」ブースの中で、IPv6ネットワークを構築し、IPv6専用WWWサーバーを運用するなどの実験も予定しており、IPv6の可能性を体験できるだろう。
 (インプレス社もN+Iに出展し、Watch編集部も昨年同様、本体がそのまま展示ブースに移動してくるので、編集部の応援(冷やかし?(^_^;)がてらに、こういった最先端の技術にも触れて欲しいと思う)



[認証システム][指紋照合](レベルA')
●米ルーセント・テクノロジーが開発した指紋照合技術を製品化・販売するベンチャー:ベリディコム


 日経産業新聞6面には、米ルーセント・テクノロジーが、同社傘下のベル研究所が開発した指紋照合技術を製品化・販売するベンチャー企業:Veridicom(ベリディコム)社を設立した記事が掲載された。インターネット上で電子商取引をする場合などの、本人確認用に使えるシステムを製品化・販売するようで、忘れたり盗まれる心配があるパスワードと比べ、安全性に優れているとしているようだ。
 同社の5月21日付のプレスリリースによると、ベンチャーキャピタルのUSベンチャー・パートナーズ(USVP)と共同出資したようで、指紋照合の方法は切手サイズのセンサーをPCに接続して行うとしている。またシステム自体は、指紋の凹凸を計るシリコン・センサーと指紋解析ソフト、指紋照合ソフトとデータ保護用ソフトの4つの部分から構成されており、今年の第3四半期以降に製品がこのベリディコム社から入手可能になるようだ。
 このところの新聞紙上も認証技術関連の記事が多く、認証サーバー関連(5月14日のNEWSWatch及び、5月15日のNEWSWatch参照)や、上記システムにも使えそうな、指紋認識機能を搭載したPC用キーボード(5月19日のNEWSWatch余談その1参照)の記事や、実際にサイン入力する電子署名技術「サイバーサイン」5月20日のNEWSWatch参照)などの話題が続いており、EC普及における認証技術の重要度の高さを改めて示している。
 どの方式がデファクトとなるかは、まだ計り知れないが、少なくともキーボードなどを使うタイプは過渡期のものと言えるのでは無いだろうか。
 



[音楽][著作権](レベルA?)
○Oasis(オアシス)騒動


 日経産業新聞2面には、英国の人気バンドのOasis(オアシス)の所属事務所が、ファンの運営する非公式ホームページについて著作権侵害にあたるとメールで警告し、ファンとの間で論争が発展されている記事が掲載された。Oasisの所属事務所のイグニッション・マネジメントが今月初め、Oasisの非公式ホームページの運営者:JackMartin(ジャック・マーティン)氏警告の電子メールを送付したのが事の発端のようで、Oasisの非公式ホームページを運営する世界中のファンが反発し、「The Official Oasis Webmasters for Internet FreedamHomepage(インターネットの自由を求めるオアシス・ホームページ運営者たちの公式ページ)」を設立したようだ。
 元々Oasisというバンドは、米Yahoo!でも、Oasisのディレクトリの他に、反Oasis(Anti-Oasis)のディレクトリも出来ていることからも分るように、メジャーにはなったが人によっては好き嫌いも分かれるバンドの様なので、こういったもめ事が起こると、すぐにマスコミやファンが過敏に反応する”お騒がせバンド”ともなっている。この一連の騒動も、彼らの芸能ゴシップの一つとも言えよう。
 しかし、こういった事が前例となって、その他のファン独自のサイトに対し、著作権などによる規制が強まることも充分に考えられ、単なる一ロックバンドの権益訴訟話として楽観視しているわけにもいかないだろう。
 まあ、ビートルズにもAnti-Beatlesディレクトリが存在するので、それだけOasisもビートルズ並の影響力を持った、ビッグバンドに成長した(?)ということかもしれないが。

 (折しも、今日からMUSICWatchもスタートしており、こういったネットと音楽といった話題も追っ掛けていただくと面白いのだが...)



余談その1:5月23日のPCWatch記事及び、5月22日のPCWatch記事参照)
 日経新聞13面と日経産業新聞9面及び、日刊工業新聞10面には、アップル・ジャパンが、パフォーマの後継機種を発表した記事が、また同じく日刊工業新聞10面には、PB-NECジャパンが、家庭用パソコンから撤退するという記事が掲載された。
 特に日刊工業新聞は、両社とも家庭用PCから撤退し、企業向けにシフトするとした記事となっており、日経新聞がピピン撤退の記事を書いた(5月15日のNEWSWatch余談その2参照)時と状況がにているが、果たして真相はどうなのだろうか?

余談その2:
 日経新聞13面と日経産業新聞3面及び、日刊工業新聞7面には、郵政省調でCATVの普及率が3月末で10%を越えたという記事が掲載されている。(郵政省のリリース参照のこと)
 5月19日のNEWSWatchにて、衛星放送開始などでCATV普及に陰りがくるのではと書いた私だが、情報市場全体が成長している最中には、そこに関連する業種も伸びていく点を見落としていたようだ。

余談その3:
 日刊工業新聞11面には、新潟精密がワンチップAMラジオを開発したという記事が掲載されている。販売価格は、500円以下を予定しているようだ。写真も日刊工業新聞Webの新製品のコーナーの中にあるので、その小ささが良く分る。
 昔、ラジオ少年(今、パソコン又はインターネット青年(!?(¨;)だった頃にこんなものがあったら、一人でコイル巻いてラジオを聞くなんて実験もしなかっただろうに...



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