ウォッチャー金丸のNEWS Watch
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1997年6月18日版


HEADLINE 3 articles

米モトローラは次世代衛星データ通信サービス「セレストリ」を発表
「情報通信21世紀ビジョン」の最終答申案
東芝の半導体製品発熱対策
余談3題:56bit暗号ソフト/ロータスノーツ/K56flex&x2


[衛星データ通信](レベルA)
米モトローラは衛星を使った次世代型データ通信サービス事業「セレストリ」発表!?


 日経新聞9面には、米モトローラが17日、人工衛星を使った次世代型の高度情報通信サービス事業「セレストリ」を2002年から開始することを明らかにしたという記事が掲載されている。総事業費は129億ドルで、データや映像の超高速伝送サービスを主に企業向けに手掛けるようだ。
 17日付のウォールストリート・ジャーナル紙の記事なので、Webでの確認が取れず、またモトローラのWebにも関連事項は掲載されていないのだが、もし真実ならば明らかにMSやボーイング社が推進しているデータ衛星通信システムのテレデシックへの対抗システムということになろう。
 記事の仕様からは、地球の周りに配置する低軌道周回衛星(LEO)63個と高高度の静止衛星(GEO)を結んでネットワークを構築し、データ伝送速度が64kbps~155Mbpsとなることが分るので、LEOばかりで構築されるテレデシックより衛星数が少なく、データスピードが早くてかつフレキシブルでもあるのだが、GEOも使用するということから、通信システム制御はやや複雑になりそうだ。
 既にモトローラは、衛星移動体電話システム「イリジウム」の第一衛星の打ち上げに今年5月に成功しており、こういった先行する衛星サービスと絡めて「セレストリ」のシステム構築も行われていくだろう。
(ただし、システムの公表だけ(実働が伴わない)を行うような、ブラフもあるうる衛星業界でもあるので、どこまで実現性が高いかは、今後の発表や報道待ちというところもあるのだが)


 




[政策提言][郵政省](レベルA')
郵政省電機通信審議会は、17日の総会で「情報通信21世紀ビジョン」の最終答申案を承認


 日経新聞5面及び日刊工業新聞1面には、郵政省電機通信審議会が、17日の総会で「情報通信21世紀ビジョン」の最終答申案を承認し、堀之内郵政大臣に答申したという記事が掲載されている。NTT法やKDD法の改正以降の方針や、ECや電子マネーなどに対するサイバー法の適用、また放送のデジタル化による通信との融合を2010年をメドに果たす「トータルデジタルネットワーク」構築などを提言しているようだ。
 また日刊工業新聞9面には、この解説記事も掲載されており、郵政省の3事業民営化への抑止としての意図がこの提言に見える、などという見解が示されている。
 郵政省のWeb上では、情報通信21世紀ビジョンの中間報告しか公表されておらず、最終答申案については詳しくは分らないが、その中間報告の要旨では、図やグラフや表などで分りやすく解説してあるので、長々と報告書を読むより参考になるだろう。その中でも、「創造的研究開発の推進」において、アジア・太平洋電機通信標準化機構(ATSI)を設立するとか、「情報通信分野の市場構造」において、1995年における市場規模が約29兆円でインフラ(ディストリビューション)サービスが約44%と割合が大きいが、2010年には約129兆円市場に膨らみ、コンテンツ・サービスが約55%になると予想していたり、「2010年における通信料金水準」では、現在全通信サービスの世帯平均が7,400円/月であるのに対して、2010年では20Mbpsのサービスが国内一律で7,800円/月になるとか、興味深い方針や調査結果が掲載されている。
 上記新聞記事でも、通信分野における大競争時代についての記載からこの答申が始まっているとしているが、例えNTTやKDDがボーダレス化の波に呑まれようとも、郵政省は通信自由化の波をコントロールするという意思の現れでもあろう。





[LSI&MPU][発熱対策](レベルB)
東芝の半導体製品発熱対策--新たな2000年問題発生か!?


 日刊工業新聞10面には、東芝が、半導体製品の発熱対策に取り組むという記事が掲載されている。マイコンを中心としたシステムLSIの集積度と処理速度が向上し続ければ、自身の発生する熱で半導体が溶けるとの指摘があり、標準的なシステムLSIの電力消費量を2000年初頭で予想値の1/100にあたる100Wに抑えることを目指すようだ。東芝ではシステムLSI製品の集積度は年1.5倍ずつ向上し、クロック周波数も年1.4倍ずつ高速化しており、2000年には消費電力が1万Wに達すると試算しているらしい。
 インテル等のCPUも、デスクトップ型パソコンのコンソールを開ければ分るように、冷却用の放熱器が付いて、かつ強制空冷のファンが回っているという状態なので、もしファンが止まってしまったらこのCPUは保つのだろうかと心配になるほどの熱を発生しているのを経験されている方もいるだろう。こうした問題は高集積LSIメーカーならどこでも持っている悩みであるので、東芝のみならず各社が凌ぎを削っている分野の一つといえる。
 これが、ハード側での2000年(メルト・ダウン)問題になっていくとしたら、どこかで適性設計値を示してもらいたい。でなければ、ソフトの2000年問題と同じく、人間の愚かさ(その場凌ぎ)の象徴ともなりかねないとも思われる。(家電機器メーカーならこの解決策を持っていると私は考える。例えば、ノート型PCの上で目玉焼が出来るように外側にテフロン加工するとか、冷えた部屋でタワー型PCを足温器に使うとか...(^_^;)




 
余談その1:
   日経新聞11面と日経産業新聞2面には、日本シスコシステムズが17日、暗号カギの情報量が56bitの暗号ソフトを内蔵した通信機器を7月から出荷すると発表した記事が掲載されている。
 同社のプレスリリースでも、「米シスコシステムズは、米国商務省から56bit暗号化ソフトの輸出許可を得て、統合された56bitセキュリティ製品を全世界で取り扱う最初のネットワーク・ベンダーとなった」とあり、新聞記事にもある米政府との暗号解読協定がどうなっているか気になるところだ。果たして、米政府に解読可能と思われる暗号機器を、高セキュリティ機器と呼んでよいものかどうか、一抹の不安が残るところだ。
 
余談その2:
 日経産業新聞1面には、米IBMグループは「ロータスノーツ」をブラウザーにして汎用コンピューターをインターネット対応型にするという記事が掲載された。7月にWeb機能を高めた新型汎用機「システム390/並列エンタープライズ・サーバーG4」の出荷を開始するらしい。
 また日刊工業新聞10面には、日本のロータスが、中小企業向けのグループウエアソフトの販売に本腰を入れ、5人程度の組織から手軽にノーツが利用できる「ファーストステップキット」を開発したという記事も掲載された。
 WindowsNT等の追い上げをかわそうと様々なノーツ戦略が出てきているが、あまり独自(囲い込み)戦略に走ると、折角のグループウェアシェアNo.1も維持するのが大変になってくるのではと懸念されるが...

余談その3:
internetWatch記事参照)  日刊工業新聞7面には、アスキーインターネットエクスチェンジ(AIX)が、7月より56kbpsの「K56flex」方式のアナログモデムを採用するという記事が掲載された。同社は既にx2方式のモデムを採用しており、両方式に対応したのは国内では初めてらしい。
 何でも初めてにトライする(128kbpsバルクやx2導入も確か最初だった)プロバイダーのようなので、ADSLなどもいの一番に採用してくれそうで期待してしまうのだが...




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