1997年6月19日版
HEADLINE 3 articles
●トヨタとNTTの国際通信網構想
●各種日本向けNetPC製品の発表
○コンテンツ課金サービスについて
余談3題:PC向けデータ放送/廉価VRシステム/ホームページアンケート
[通信インフラストラクチャ](レベルA')
●トヨタとNTTの国際通信網構築
日刊工業新聞1面には、トヨタ自動車は、国際通信の専用回線の両端を公衆電話網で接続する「国際公専公接続」が今秋に解禁されるのを機に、国際通信網を構築するという記事が掲載されている。トヨタグループ約千社を結ぶ情報ハイウェイ:TGII(トヨタ・グローバル・インフォメーション・インフラストラクチャー)を構築中の関連会社:トヨタデジタルクルーズを中核として、トヨタの持つKDDと国際デジタル通信(IDC)の専用回線を利用するようだ。
既にトヨタは、国内の公専公接続をはたしており、グループ企業間のインター/イントラネットのサービス提供も始めていることからも、企業グループ内の接続とはいえ、巨大な国際ネットワークが生まれることになる。
KDDなども絡んでくるとなると、4月7日のNEWSWatchでも取り上げた、日本列島を光ファイバー海底ケーブルでぐるりと囲うJIH(Japan
Information Highway)計画(KDDのリリース参照)などとの連携も考えられ、日本内外を結ぶ大きな通信企業体が新たに生まれてくる可能性もある。
またこのことに呼応した訳ではないだろうが、同じく1面には、NTTの宮津社長の18日のインタビュー記事が掲載され、同紙10面には、その一問一答も載せられている。6月16日のNEWSWatch余談その1でも取り上げた、NTT法改正後の方向性について、可能になった国際進出の具体策を「二種事業でやるので回線を供給する会社がいる。日本国際通信(ITJ)は(日本テレコムとの)合併の道を選択したため、KDD、国際デジタル通信(IDC)とどうするかの議論になる。」と述べたということらしい。
NTTもトヨタも、KDDやIDCと何らかの関わりを持って今後の通信自由化に向っていきたい意向なのだろうが、やはりNTT法関連3法案の改正等の規制緩和が生む効果が、早速この様に現れてきているとも言えるだろう。
[NetPC](レベルA')
●コンピュータ・メーカー各社の日本向けNetPC製品が各種発表される
日刊工業新聞10面及び日経産業新聞9面には、日本IBMが18日、「NetPC」を年内に国内市場に投入することを明らかにしたという記事が掲載されている。外装が開けらず、ユーザーが簡単にソフトの組み込みや更新などができない構造となっており、MMXペンティアム200MHz、標準32MBメモリー、2.5GB-HDD、100Mbpsイーサネットなど搭載して、本体のみで20万円程度からということだ。後藤さんのWeekly海外ニュースでも取り上げられている、今週米NYで開催中の「PCExpo」で米IBMが展示しているNetPCの日本バージョンと考えてよいだろう。
また同じく日経産業新聞9面には、日本ユニシスは、ある程度性能を抑えたNetPC「アクアンタNP」の試作機を7月から発売し、9月に正式出荷するという記事も掲載されている。MMXペンティアム166MHzと200MHzを搭載しながら、価格を10万円強と安くして、日本ユニシスのサーバー製品と組み合わせたシステムとして拡販する予定らしい。
かなりの数のNetPCのバリエーションが国内でも発売されることから、ユーザーも用途など困惑する場面も出てくるだろう。ユーザーが買いたいと思わせるような、PCやNCなどとの差別化が、まだまだハッキリしていない様にも感じられる。(きょう体が開けられないということは、少しインパクトがあるが...)
他にも、同じく日刊工業新聞10面には、富士通も18日、「NetPC」対応の統合パッケージ13種と、海外向け英語版グループウエアパッケージ3種を追加発売すると発表したという記事もあり、「WINDOWS WORLD Expo/Tokyo97」に向けての発表ラッシュの始まりを告げている。各社ともNetPCを出展するであろうから、色々と見比べてみるのも一考だろう。
[課金サービス][コンテンツ](レベルB)(6月17日のinternetWatch記事参照)
○インテグレイテッド・マーケティング・コミュニケーションズの「ネットコミック」
日刊工業新聞9面にも、インテグレイテッド・マーケティング・コミュニケーションズ(IMC)が、コミックや写真、音楽などをビットキャッシュで課金配信するサービスを始めるという記事が掲載されている。第一弾の同人誌サービス「ネットコミック」についてはinternetWatchで既報だろう。
既に6月15日からスタートした暫定版では、画像圧縮プラグインモジュール「フラクタルビューワー」(Netscape用でWin/Mac対応版がともにあり、ActiveX対応版「Fractal
ViewerX」もある)(IteratedSystems社製、ダウンロード可能)でのフラクタル圧縮FIF画像を見ることが出来る。
昨日のinternetWatchにも、ビットキャッシュを課金制度に使った、凸版印刷
のコンテンツ販売モール「BookPark」が取り上げられたが、コンテンツの内容が良ければこういった課金制度もあっという間に普及しそうな気配ではある。特に、今回のサービスの様に、コミックスでかつ同人誌という固定した顧客(マニア)を捕らえられるものなら、なおさら継続した利益を想定しやすいと思われるので、良いところに目を付けているとも言えそうだ。
余談その1:
日経産業新聞3面には、TBSが7月から始める地上波を使ったPC向けデータ放送のサービス内容を公募するという記事が掲載されている。9月末まで実施する試験放送の期間中に、参加企業が提案するコンテンツを無料で放送するのだが、このほど参加企業向けに作ったガイドラインなどでは、試験期間中に得られた情報については原則開示し、参加申し込みは27日まで受け付けるなどということが書かれているようだ。
デジタルTV放送への足掛かりとなるともなる試験放送だが、何が受けるか、制作側も試行錯誤といったところか。
余談その2:
日経新聞17面には、VR技術開発のバーチャリティーが、従来製品価格の1/5に抑えたVRシステム「VRステーション」を発売したという記事が掲載された。パソコン、3D用グラフィックアクセラレーター、ヘッドマウントディスプレーなどで構成されて、148万円のようだ。
企業以外にも家庭用としても考えているようなので、臨場感の為ならお金を惜しまないというユーザーばかりでなく、手が届きそうな範囲まで価格帯を落してきたということだろう。
余談その3:
日経産業新聞2面には、日経リサーチが、インターネットの利用者2千人を対象に「ホームページに関するアンケート調査」を実施したという記事が掲載された。HPを見る目的のトップは「懸賞・プレゼント」(81.5%)、次いで「趣味の情報収集」(77.1%)、「製品・サービスの情報収集」(68.8%)、「ニュース」(60.8%)の順のようだ。物欲にかなうものは無い、ということだろう。
また「何度もアクセスしたくなるホームページの条件」として、「情報の定期的更新」(78.8%)が最も高い回答を集めたようだ。
internet/PC-Watchしかり!NEWSWatchは...?
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