ウォッチャー金丸のNEWS Watch
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1997年10月22日


HEADLINE 4 articles

米司法省 vs 米MSの訴訟問題拡大
米TIはJavaに関して米SUNとライセンス契約締結
AT&T@phoneのサービス拡大
株価情報をプッシュ!
余談3題:HOME-LANには無線を/電話でON/週刊アスキー復活


[MS][訴訟](レベルA'
米司法省 vs 米マイクロソフトの訴訟問題の広がり


 今朝の新聞各紙では、昨日のこのニュースの余震がまだ続いているようだ。

 今日の朝日新聞11面と毎日新聞8面、読売新聞10面、日経新聞の9面と13面、日経産業新聞32面のビジネスTODAYコーナー、そして日刊工業新聞8面と、ほぼ全ての新聞が昨日の第一報に引き続き、この件を取り上げている。内容的には、これまでの訴訟の詳しい経過や今後の訴訟の行方の予測などが共通している部分ではあるのだが、それに加えて、Windows98の出荷遅れなどの影響が懸念されることから、日本のPCメーカーや販売業者にも深刻な影響が出かねないとする解説記事を掲載している新聞も2、3あるようだ。

 新聞各紙とも昨日の速報(衝撃?)から半日経って、冷静に自分の足元を見つめる様な論調となってきている。日本のPCメーカーなどは早期解決を望みながらも、これまでのMSのIE搭載のお願いが「まるで行政指導のようだった」とする声も上がっているようなので、非常に複雑な想いを持ってこの件を見守っている様子が分る。明日以降の米MSの反論提出期限の11日間までは、日米以外でも色々と憶測も含めた報道がなされると思われる。
(しかし、今本当に一番大変な日本の企業は、MSの日本法人なのだろう)



[JAVA][DSP][IA](レベルA
米テキサス・インスツルメンツはJavaに関して米サンとライセンス契約締結


 日経産業新聞9面と日刊工業新聞11面には、米テキサス・インスツルメンツ(TI)が、Javaに関して米サン・マイクロシステムズライセンス契約締結を発表したという記事が掲載されている。TIでは、同社のDSP(デジタル信号処理装置)にJava機能を搭載して、携帯電話などTIのDSPを採用する製品を、通信ネットワークを介して機能の更新などができるようにするようだ。

 20日のTIのリリースでも、ライセンス契約を結んだのは携帯機器やルーターなどに使われる「EmbeddedJava」と、家電製品などを対象にした「PersonalJava」の2種類としており、DSPチップとしての製品は98年にも供給を始めるとしている。 また同日のTIの別リリースでは、携帯電話やポケベルへのJava-DSPチップ搭載のみならず、無線通信機器全般におけるインターネット・アクセスを目指すとしており、カナダのノーザンテレコムなどの首脳達もこのSUNとTIのライセンス契約が通信産業界全体に隆盛に寄与するとして賛辞を送っている

 今までSUNが一社でJavaネイティブのMPUであるJavaChips(picoJavaやmicroJava、UltraJavaなど)を開発してはいるが、Java環境を通信ネットワークや家電機器にまで拡大するには力不足な面があった。そこに今回、携帯電話のみならず一般の家電機器の制御部などにも搭載されている様なDSP技術を持ったTIが、Javaライセンスを受けたことにより、JavaによるIA(情報家電)市場開拓の道がまた一段と広がったと言える。
(SUNの対MS・PURE Java戦略についても、大きな味方が加わったことになるだろう)




○AT&T@phoneのサービス拡大
 日刊工業新聞9面と日経産業新聞2面には、米AT&Tの子会社のAT&T Jensが21日、今年8月から始めた格安インターネット国際電話サービス「AT&T@phone」(8月6日のINTERNET Watch記事参照)のサービス対象国を20カ国追加し、合計57カ国に拡大したと発表したという記事が掲載された。通常の国際電話会社と比較して最大82%安いとしており、これまでの東京(03地域)と大阪(06地域)のアクセスポイントまでのフリーダイヤル利用可能地域を、横浜や神戸、名古屋、福岡及びその周辺地域の全国41局へ拡大するらしい。

 インターネット電話の人気の高まりに対応して、ユーザー・ニーズに応じたサービスを強化するとしているのだが、実際にインターネット電話を試された方には良く分る話だと思われる。私もKCOMのインターネット国際電話のフィールドトライアル10月8日のNEWS Watch余談その1参照)を利用して、米SF在住のWatcher(Watchの愛読者ならすぐにお分りだと思うが)と通常の電話を使って会話したのだが、かつての衛星を経由した国際電話の様な音声の遅延途切れがあるものの、「東京から3分10円でアメリカまで国際電話がかけられるのなら全く問題無い!」と思える品質であった。これならば、音質や機密性を余り重要視しない一般電話ユーザーに浸透するのも意外と速いと考えられる。
(上記の会話では、久々にインターネットの技術革新に感動し、トライアル時間が5分間であることも忘れてしまう程であった...)

○株価情報をプッシュ!
 日経産業新聞2面には、大和総研米バックウェブテクノロジーズと提携し、「プッシュ」技術を使った株価情報を提供する「リマインダーサービス」(会員向け)を開始するという記事が掲載された。ユーザーが登録した株価の値幅を超えた場合、自動的に顧客のPCに情報を発信するという仕組みで、機関投資家などを対象に当初1千件の加入を目指すらしい。

 アメリカでは、プッシュ技術によるアプリケーションの成功例として、金融市場関連のものが挙げられる(米マリンバ社のキム・ポレーゼCEO談:INTERNET magazine11月号のインタビュー参照)ので、日本においても金融や証券関連の企業ユーザーを中心にプッシュ・アプリケーションが広まって行くものと思われる。



余談その1:HOME-LANには無線を
 日経産業新聞5面と日刊工業新聞6面には、NECが赤外線を使って動画像と音声をワイヤレスで高速伝送する装置を開発したという記事が掲載された。高速シリアルバスIEEE1394に準拠し、最高125Mbpsの伝送速度で10m離れた場所に送ることができるらしい。98年秋をメドに商品化する計画のようだ。

 記事では、PCやAV機器などの大容量の動画と音声データを室内で伝送するときに、煩雑な配線が不要になるとしている。伝送速度が高速であること以外にも、配線いらずな面でもマルチメディア・コンテンツ伝送を目指すすHOME-LAN構築には、重要な位置を占める技術となる可能性がある。

余談その2:電話でON
 日経新聞17面には、FA・産業機械用コンピューターメーカーのサイノシュア(大阪)が、電話回線を使った遠隔地にあるPCを起動する装置「WarpComm(ワープコム)」(9,800円又は99ドル)を開発、11月中旬に日米同時発売するという記事が掲載された。モデムとPCの間に接続し、外部から電話が入るととWarpCommからPCへ電源供給が始まるらしい。パスワード・ブロックもされており、PCの待機電力を1/50に出来るとしているようだ。

 省電力が叫ばれている中、少しでも電気代をケチりたい経営者などには、喜ばれそうではある。

余談その3:週刊アスキー復活
 日刊工業新聞7面と日経新聞17面&日経産業新聞3面には、アスキーが週刊PC情報誌「週刊アスキー」(320円)を創刊し、11月20日に発売するという記事が掲載された。15日に休刊した「EYE-CON」を週刊化し、11月1日に開始するインターネット情報サービス「アスキー24」(http://www.ascii24.com/)と連動する他、同社の西社長も「西和彦デジタル日記」を連載するらしい。

 少々やじうま的ではあるが、一度休刊した雑誌がネットとの連動でどこまで復活するものなのか、まずはお手並み拝見といったところだろうか。



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