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1997年11月5日


HEADLINE 4 articles

ネットワークの高速化に貢献する製品
ネットワーク渋滞緩和
著作権料フリー販売
MSに対する日米の風当たり
余談2題:プロバイダー代行業/コンテンツ競争


[ADSL][無線LAN](レベルA'
●ネットワークの高速化に貢献する物達


 日経新聞11面には、住友電工国内メーカーでは初めて、ADSL技術採用の構内電話回線にデータを多重化して高速通信するモデム「メガビット・ギア(MegaBit Gear)」を発売したという記事が掲載されている。通信速度は6Mbps(双方向では640kbps)で、同じ電話線を電話やFAXで同時に利用することも可能としている。価格は1セット約30万円として、先行する米国メーカー(アミティー社Aware社など)に対抗し、安価な情報通信網づくりを目指す企業や電話網を使った高速データ通信サービスを検討しているNTTなどにも売り込むともしている。

 また日経産業新聞9面には、浜松ホトニクスが4日、伝送速度が300Mbpsの大容量の超高速通信が可能な「デジタル光無線LANシステム D0-L1000」を発売したという記事も掲載されている。半導体レーザーによる発光素子と高感度受光素子を組み合わせ、2台1組の光リンクヘッドを対向させてLANなどネットワーク回線を光無線方式で通信するとしている。データ伝送誤りエラーを自動修正できる「デジタル光コーデック」を装備すれば、天候や障害物通過(鳥等)などの影響を軽減できるともしている。

 上記2件とも、ネットワークの伝送速度アップに貢献する技術開発であるのは言うまでもないところで、それに加えてADSLモデムは光ファイバー回線などの通信網敷設での回線工事費用を浮かす事ができ、無線LANは専用線敷設工事費用以外にも、月額何十~何百万円する専用線利用料も支払う必要が無くなることになる。通信費用の軽減の面でも、貢献してくれる製品群とも言えるだろう。




○ネットワーク渋滞緩和
 日経産業新聞2面には、ネットワーク関連機器の米チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズがイントラネットを流れるデータ量を制御する新製品「FloodGate-1」の日本発売を始めたという記事が掲載された。ネットワークを流れる各種データをその重要度で重み付けして、データ伝送帯域の使用量を個別に制限・管理し、ネットワーク内での渋滞を緩和が出来るとしている。ネットワーク管理者は送信先、ユーザー、伝送方向(受信または送信)などでデータを分類し、帯域の割当量を自由に設定出来るともしている。

 これまで情報ネットワークの管理とは、一般的にアドレスの割り振りやサーバーやネットワークの運営・保守といったことが主な業務とされてきた。しかしこのソフトを使うことにより、積極的に伝送データの質や量などを判定して企業や組織のネットワーク全体を管理・運営することで、もう一歩踏み込んだ形での情報管理の方向性を打ち出せると思われる。


○著作権料フリー販売
 日経産業新聞7面と日刊工業新聞8面には、デジタル写真販売の米フォトディスク(PhotoDisc)社が4日、日本法人のフォトディスク・ジャパン設立の発表をしたという記事が掲載された。デジタル写真の素材集をCD-ROMやインターネットを通じて販売する会社なのだが、購入したデジタル写真は「著作権料(ロイヤリティ)フリー」で利用できるので、一度購入すると無制限に使用が可能になるとしている。CD-ROM(400種類、5万枚超のデジタル写真入)が、1枚3万~5万円程度になるともしている。

 デジタル・コンテンツをインターネット上で扱う場合、このロイヤリティ・フリーの著作権を売却する方法の方が、著作権料問題で煩わされずに売り切りが出来ることからも、流通しやすい形態と言えそうだ。


○MSに対する日米の風当たり
 日経新聞13面には、日経新聞社が国内主要PCメーカー13社を対象に、米司法省による米MSの提訴に関連するOSとIEの取り扱いについての調査を行った結果が掲載されている。そこでは、IE搭載を強要されたかどうかについて、各社ともノーコメントだったり明言を避けている。MS日本法人の成毛社長のコメントも同じく掲載され、OSライセンスは各PCメーカーと米MSとの1対1契約になっており、強要したことは一度も無いなどとなっている。

 日本においては、まだ対岸の火事にコメントするには時期尚早で、様子見である雰囲気が漂っているように感じられる。

 これに対して同じく日経新聞13面には、米PCメーカー各社からの米司法省に対する証言集が掲載され、MSに対する世論の反発ぶりが紹介されており、かつて('56年)のIBMが世論を恐れてサービス事業などを分離することで米司法省と和解したこととの比較での解説記事が掲載されている。
 また今日の日経新聞夕刊3面には、米上院議会でも4日、MSのインターネット市場での巨大化にストップをかけようというのろしが上がったという記事も掲載された。上院司法委員会のハッチ委員長が同日から公聴会を継続して開き、「デジタル時代の競争政策を構築し、MSの脅威を取り除く」との方針を示したとしている。その日は弁護士など8人が証言したが、技術革新が反トラスト法の運用を難しくしているといった意見も続出したともしている。

 新聞記事でも取り上げている世論などという正体不明の存在が相手では、米国でのMSの苦戦は免れない感じとなってきたようだ。




余談その1:プロバイダー代行業
 日経産業新聞17面には、ネット関連サービスのエヌエスピー研究所が、プロバイダー向けに運営代行サービスを始めたという記事が掲載された。ネットワーク機器管理や回線確保を代行するため、本社内に集中管理用のネットワークセンターを開設したとしている。

 9月20日の同社のニュースリリースでは、プロバイダー集合団地(集中管理)事業としてサービスを既に開始しているようだ。昨日のNEWS Watchでも「経済的な体力の少ないプロバイダーにとっては冬の時代が訪れつつある」と書いたように、これからはこの様なプロバイダー事業の分業化も生き残りをかけた一方法と言えそうだ。

余談その2:コンテンツ競争
 日経産業新聞2面にはNECが、BIGLOBE上で4日からサービスを開始した「L-channel」(12月から月480円で有料化)という女性向けの番組に競争原理を導入するという記事が掲載された。一つの番組を曜日ごとにコンテンツ提供の1社ずつが担当する形を取り、このほど新たに5社(大日本印刷(エルフィーユ:月)、KAPSMy First パソコン:火)、ワーク・サップ(Yes・Noチャートランド:水)、リッチピクチャーズ(キャリアガーデン:木)、凸版印刷Topping Cafe:金))と提携、視聴者から徴収する情報提供料をアクセス数によって各社に割り振るとしている

 TVにも視聴率があって、それが広告収入などの増減を決める目安になっていることから番組同士の競争が発生し、番組内容が(面白く)向上することと同様な作用を期待しての方策だろう。アクセス数調査などではTVの視聴率などよりも、よりハッキリした数字なりアクセス先のデータも取れるので、割り振り配分も明確に決めやすそうだ。
(INTERNET Watch Webでもこの方式を取るべきかどうかは、あえて私は考えないことにしたい...(^_^;)



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