1997年11月6日
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●日本の情報通信分野の経済対策の柱
○1.5Mbpsのディジタルアクセス
○ホームページ・アクセス分散ソフト
○97年度上半期のPCサーバー国内出荷台数
余談3題:PCのウィルス対策提携/ネット・ビジネスマンのベンチャー指向/インターネット葬儀屋/休刊連絡
[情報通信][政策](レベルA)
●日本の情報通信分野の経済対策の柱
日経新聞1面トップには、政府・自民党が検討している財政投融資と民間資金を活用した情報通信分野の経済対策が5日、明らかになったという記事が掲載されている。その内容は、光ファイバーの全国整備(FTTH)の目標をこれまでの2010年から2005年に前倒しするとともに、98年度中にインターネット接続拠点(AP)の全国整備も促し、どこからでも3分10円の市内通話料金で接続可能とするとしている。そのための設備投資などに向けて、開銀融資の額上積みや金利優遇などの措置を検討するともしている。また他にも、NTTが提供するインターネット接続で通信・接続料が定額のサービス(OCNと思われる)のAPを、現状の175区域から98年度末で200区域に増やす計画を見直して、750区域にAPを設置することでNTTと基本合意したともしているようだ。
AP増設の件は、繋ぎ放しのインターネット接続環境の実現という意味では、ネット・ユーザーにとっては喜ばしいことだが、しかし、その反面、他のプロバイダーにとっては厳しいものになりそうだ
○1.5Mbpsのディジタルアクセス
日経産業新聞7面には、NTTが廉価版専用線サービス「ディジタルアクセス」に1.5Mbpsの高速メニューを追加するという記事が掲載された。97年度末までに一部地域で先行してサービス提供を開始するとしており、月額料金は未定だが通常専用線(現在15km以下で月33万7千円)の料金の1/2から1/3程度に抑える予定ともしている。
NTTは今年12月から128kbpsのディジタルアクセスサービスも投入し、中小のプロバイダーやSOHO向けに安価な専用線サービスを始める予定になっており、これはその上位を狙うサービスとなる。データ伝送速度1.5Mbpsとなれば光ファイバー回線の敷設も必要となり、中規模までのプロバイダー等の通信業者のほかにも、光LANなどの高速LAN同士を中距離(30km以下)で直接繋ぐ様な事業者などにも向いているサービスとなろう。
○ホームページ・アクセス分散ソフト
日経産業新聞5面には、富士通研究所が、複数台のコンピューターを使ったホームページ運営システムで、利用者からの接続要求を分散させるソフトを開発したという記事が掲載された。計算能力や稼働状況から、プロセッサーにかかる負荷が均一になるよう割り振り、ホームページを見ているときに急に画面表示速度が遅くなるなどの問題を大幅に軽減できるとしている。1台が故障しても、停止直前の記録から他コンピューターに新たな接続命令を出す(その間、数秒)ので、利用者にはコンピューター停止を感じさせないともしている。
まだ実験段階のソフトで実用化を急いでいるようだが、アクセス数が1日に何百万と言われるメガ・サイトが増えている現在、アクセス・スピード・アップのためにも早期の製品化が望まれるだろう。
(Watch Webもビッグ・サイトの一つなので、このソフトが製品化された頃には、分散HP化とともに導入されることを期待したい)
○97年度上半期のPCサーバー国内出荷台数
日経新聞13面&日経産業新聞7面及び日刊工業新聞11面には、民間調査会社のマルチメディア総合研究所が5日、97年度上半期(4~9月)のPCサーバー国内出荷台数は7万4,700台で、前年同期比64.9%増になったと発表したという記事が掲載された。PC市場全体が冷え込む中、企業のネットワーク構築の要となるサーバーの需要は大企業を中心に引き続き堅調なのだが、「中堅企業の導入需要は足踏み状態に入りつつある」と下半期減速の懸念(前年同期比30.4%増を予測)も指摘しており、97年度通期は当初予測の18万台を下方修正して前年度比43.8%増の16万7,700台の見通しとしている。
PCのネットワーク化が進む中、NCなども企業での導入が始まれば、このサーバー出荷台数の増加曲線も当分右肩上がりが続くと予測できる。特に情報のネットワーク率やホームページ上でのコンテンツ拡大率などと連動する数字としても、このサーバー出荷台数は参考になると思われる。
余談その1:PCのウィルス対策提携
日刊工業新聞11面には、NECとマカフィーが業務提携を拡大し、マカフィーのウィルス対策ソフトをNECの主力商品ほぼ全機種(PC98-NX及び新PC-9800シリーズなど)にバンドル又はプリインストールするという記事が掲載された。マカフィー側では、PCシリーズユーザー専用のサポート窓口を開設するとしている。
10月28日のマカフィーのリリースでも、ワクチンソフトの「VirusScan」をOEM供給するとしており、これまでの提携を強化した形となっている。ネット時代のPCには、ウィルスチェック機能が必需品となりつつあるのだが、プッシュ技術を使ったオンラインでのデータ・アップデートなど、より自動化されたサポート体制が今後望まれるだろう。
余談その2:ネット・ビジネスマンはベンチャーがお好き!?
日経新聞15面と日経産業新聞31面には、電通が5日発表した、インターネットを日々利用するビジネスマンへの調査において、ネット・ビジネスマンはベンチャー企業への転職に積極的だという記事が掲載された。調査は今年7月末~9月初めに国内のネット利用者1,866名を対象に実施し、そのうち転職経験者が回答者の36%となっており、特にベンチャー企業への就職・転職について魅力的であると回答した者が7割以上だったとしている。
ネット普及に果たしたベンチャー企業の役割は日本でも大きなものがあり、今後もその影響力は続くと見ている人が多い、ということの裏返しでもありそうだ。
余談その3:インターネット葬儀屋
日刊工業新聞1面には、メモリアル・ネットワークが、世界中どこからでも葬儀に参列できるインターネット葬儀サービスを開始したという記事が掲載された。葬儀会場にデジカメ(又はVTRカメラ)を持ち込み、特設ホームページで葬儀の模様を流すサービスで、希望者はPC上から記帳を始め香典の差し出し、献花なども出来るシステムであるとしている。インターネット葬儀の価格は1件30万円で、同社では財界のVIPや芸能人などが当面のユーザーになると見ているようだ。
ネット放送が盛んになっている昨今、お葬式までインターネットで流し、かつそれを商売にまでしてしまうという着想には恐れ入ってしまう。どこにいてもリアルタイムで参列していることにはなるので、参列者の利便性(どうしても動けない場合など)を考えれば、いかにもインターネット的な特性を活かしたサービスとは言えるのだが...
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