[木曜コラム]
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イントラネットは流行るか
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  米国を中心にイントラネットが急速に普及し始めていると言う。イントラネットと
は何だろうか。インターネットとはどう違うのか。日本でも普及するのだろうか。

●イントラネットとは
  イントラネットとは、インターネットで使われているWWWなどのツールを企業内情
報システムとして利用することを指している。たとえば、議事録などの社内文書や
EDPシステムの閲覧をWWWブラウザーでやろうというのである。確かに、コンピュータ
の機種やOSに依存しないインターネットツールなら、どんな企業のどんな環境にも利
点がある。コロンブスの卵のような発想だ。
  ところで、イントラネットの「イントラ」は「~内」のことを意味している。イン
ターネットがネットワークとネットワークの「間」のネットワークだったことを思い
出せば、両者の違いは「内」と「間」にある。では、何の「内」かというと、企業の
内である。イントラネットでは企業という単位が強く意識されている。これは、概念
モデルに近いインターネットに比べると、かなり具体性が高い。
  というと、イントラネットはインターネットとまったく別のもののように聞こえる
が、実際はインターネットツールを使うわけであり、とくに抑制しなければイントラ
ネットでやり取りされる情報は、そのままインターネットを介して世界じゅうからア
クセスすることができる。この点が、従来からあるLANと根本的に違い、期待が集ま
る点だ。つまり、イントラネットはインターネットとシームレスに接続された企業内
の情報システムであり、インターネットの最も末端に位置する情報発信システムと言
うこともできる。
  イントラネットの分かりやすい例として、フェデラル・エクスプレス社のシステム
がある。同社は昨年より、注文を受けた荷物の現在の状況を、インターネットのWWW
を利用して顧客が検索できるサービスをスタートさせた。このサービスにより、顧客
は自分の荷物が今どこまで配送されたかを確実に把握することができ、逆に同社とし
ては電話による問い合わせを減らすことができる。この例は、同社がすでに運用して
いた社内の業務用の配送データベースをインターネットに公開したから起きたメリッ
トだ。つまり、イントラネットの真の効力は、この例に見るように企業の壁を超えて
情報をオープン化することで、業務の効率アップとサービスの向上を同時に成し遂げ
られる点にある。

●なぜ今イントラネットか
  米国でもこのキーワードを見かけるようになったのは、昨年の秋くらいからだと聞
いている。それまでは日本と同じように、インターネットフィーバーだった。なぜ今
イントラネットなのだろう。
  これは私見だが、やはり最初に書いたようにマイクロソフトがウィンドウズ95をも
ってしても実現できない、PC、Mac、UNIXなどの異機種間操作互換性(インターオペ
ラビリティ)の壁を、WWWがあっさり乗り越えてしまった点にあると思う。そして、
ソフトメーカーや先進企業はそれを見逃さなかったからだろう。
  それともう1つには、オンラインショッピングだ、コンテンツだと言っても本格的
なものを構築しビジネスにするには時間がかかるということではないだろうか。ゼロ
から作るコンテンツより、むしろ企業がすでに持っている商品データベースなど(コ
ンテンツ)を元にビジネスをした方が早いし、効率もあがると考えるのは当然の成り
行きではないだろうか。

●日本でも有効か
  ところで、イントラネットを実現するためには、インターネットに接続された企業
内LANと、情報データベース、そしてその間を結合するソフトを含めたグループウェ
アが必要となる。器としてのデータベースシステムやグループウェアに関しては、オ
ラクル社、ネットスケープコミュニケーションズ社、その他メインフレーマーなどが
しのぎを削って開発しており、ユーザーとしてはそれを求めれば問題はない。
  日本で最も問題となると思われるのは、LANと情報そのものだと思われる。日本の
LANの普及率は欧米にくらべかなり低い(昨年の段階で10%台)。おそらく、多くの企
業がイントラネットの構築にあたってLANの整備を迫られるだろう。また情報のデー
タベース(デジタル)化については、さらに遅れていると言われている。
  しかし逆に、日本はインターネットそのものの普及も遅れており、まだWWWを利用
できる人が少なく、企業内ネットワーク構築の方に力点が置かれるかもしれないとい
う予想もある。
  どちらにしても、インターネットというオープンな環境でのビジネスを指向するな
ら、各企業内の情報に対してもオープン化が迫られてくるという認識は間違っている
だろうか。イントラネットについてのネガティブな意見として、セキュリティなどの
問題がでることが予想されるが、それについてはまた別の機会に考えてみたい。
(編集長)

(96年3月7日)