[木曜コラム]
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PHSデジタル通信規格
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 本誌でも報じた通り、4月24日に社団法人電信電話技術委員会(TTC)により、PHS
基地局と公衆網の間のデジタルデータ通信規格が制定された。すでに発表されていた
社団法人電波産業会(ARIB)が定めたPHS内部でのデジタル処理規格と、PHSインター
ネット・アクセス・フォーラムが定めたPHSと基地局の間のデジタル無線伝送方式を
含め、これでPHSをデジタル通信端末として利用するための規格が揃ったことになる。
 PHSは、当初よりデジタルデータ通信に有利と言われてはいたが、これらの規格化
が遅れていたためにその本領を発揮できずにいたわけだ。実際、某メーカーに聞いた
ところ、すでに技術的な問題はなく規格の決定を待っているとのことだった。
 ところで、昨日の日経産業新聞(下田英一郎氏筆)に「PHSの行方」と題して、PHS
の販売台数は伸びているものの、携帯電話や他社との価格競争により各社の赤字が膨
らんでいる、との解説記事が掲載されていた。そしてその記事は、「効果的な処方せ
んを見つけなければPHS事業の未来はない」と締めくくられていた。
 私見だが、今回制定されたPHSデジタルデータ通信規格は、この処方せんの有力な
1つになるのではないかと期待している。なぜなら、PHSは元々デジタル対応が考慮さ
れた機器であり、電話という概念を超えた能力を持っているからだ。携帯電話にもデ
ジタル対応はあるが、やはり「電話」でありデジタル処理機能を想定した規格ではな
い。
 PHSを電話という枠を超えて発想すると、様々な用途が見えてくる。誰でも思い付
くことから言えば、「携帯型パソコンに最初から組み込んで、いつでもどこでも通信
できるオールラウンド・モバイルパソコンを作る」などがあるだろう。これとインタ
ーネットを組み合わせれば、いつでも世界中の情報資源を持って歩けることになる。
さらに今後、家電や情報機器のデジタル化が進めば、PHSとのコンビネーションで従
来予想もできなかったような製品が可能になるだろう。たとえば、「外から録画予約
できるビデオ」、「いつでも会社のパソコンと情報共有している電子手帳」、
「CU-SeeMeできる腕時計」、「医者に自動通報する心臓のペースメーカー」、などな
ど。多少SF的ではあるが、PHSが小電力で動作すること、内部部品のLSI化がまだまだ
できることなどから可能性はおおいにあると思われる。
 つまり、電話は人と人とがコミュニケーションするための機器だったわけだが、
PHSはデジタルであるが故に、人と人はもちろんのこと、人と機械、機械と機械でも
コミュニケーションできる点に可能性がある。
 ちなみに、NTTのISDNは当初なかなか普及しなかったのが、ここに来てインターネ
ット利用などで普及が進んでいると聞く。PHSもデジタルコミュニケーションという
新しい需要で、爆発的普及を迎えるかも知れない。関係者には気のながい話に聞こえ
るかも知れないが、時代はデジタルを指向していると思う。PHSユーザーの一人とし
て、関係者に声援を送りたい。
(編集長 井芹)

(96年5月9日)