[木曜コラム]
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パーソナライズド
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 きのう、毎日新聞社とジャストシステム社が発表した「毎日デイリークリック」は、
個人の趣味趣向に合わせた記事を提供するサービスである。また、5月8日付けの本紙
で紹介した米国のアイマース社と凸版印刷が提供する「ジャイロスコープ」も、パー
ソナルエンジンを利用した個人別の情報サービスだった。
 これらは「パーソナライズドWeb」と呼ばれている新しいサービスだ。つまり、個
人の趣味や興味のあるテーマをあらかじめ登録しておくと、それに該当すると思われ
る情報だけを選んで提供してくれる。これを実現する仕組みとして、ジャイロスクー
プ( http://www.gyroscoop.com/about.html )は独自開発のパーソナルエンジンと
インフォミックス社のオブジェクト指向型データベースを利用しており、毎日デイリ
ークリック( http://www.justsystem.co.jp/services/news/nr05141.html )はSGML
で表現された原稿をジャストシステム開発の日本語処理エンジンで処理すると発表し
ている。
 この2つのサービスで注目に値するのは、インターネットの双方向性を積極的に利
用した出版物であることだ。これまでのサービスでは、たとえば朝日新聞社の
「asahi.com」も本インターネットウォッチも、既存の一方向メディアである「新聞」
というモデルをインターネットを使って実現したにすぎない。パーソナライズドWeb
の場合は、さらに一歩踏み込んで情報提供者と読者の間に1対1の関係を実現しよう
という試みである。
 もちろん、これはどっちが偉いか?という問題ではない。一方向メディアは、提供
する情報がすべての読者に対してまったく同じであり、それがみんなの話題作りに貢
献している。たとえば、昼休みに「今日の○×新聞の一面記事見た?」などがそれで
ある。しかし、それが同時に、人によっては必要のない記事まで載っているというデ
メリットでもあった。パーソナライズドWebは、そのデメリットを解消してくれるシ
ステムであり、メディアの幅がまた1つ広がったと見るのが正しいだろう。
 もう1つ、出版物ではないがハイパーネット社が開発したHYPER SYSTEMも、個人の
情報を元に、その人が興味を持ちそうな広告を選んで提供するという、パーソナライ
ズドWebに近いコンセプトのサービスだ。HYPER SYSTEMは無料の接続サービスとして
話題になったが、同時に「パーソナライズド広告」という点でも注目に値する。同社
のWeb( http://202.213.97.21/hypernet/hn/hn.html )によれば、興味のある人に
だけ広告を見せることで、広告主には費用対効果が高いとアピールしている。
 ちなみに、パーソナライズドWebの延長線上にあるのが、最近米国を中心に一大ト
レンドとして注目され始めている「インタラクティブ・マーケティング」だと思う。
アイマース社のサービス案内にも、しっかりこのキーワードが埋め込まれていた。
 ところで、本紙もパーソナライズドを考えていなかったわけではない。本紙の「創
刊に向けてのご案内(96/1/22)」で、「今後のウォッチの構想としては、未成年者
へのアダルト情報の配信制限など、読者個人別の配信を検討しています。」などと記
載していたのは、実はパーソナライズド・ウォッチを計画していたからだった。しか
し、先を超されてしまったわけだ。インターネットの世界は時間の流れが早いとは分
かっていたが、我々もすでに最先端ではなくなったようだ。がんばろう!
(編集長 井芹:watch-info@impress.co.jp)

(96年5月16日)