[木曜コラム] ---------------------------------------------------------------------------- Web広告事情 ---------------------------------------------------------------------------- Web上の広告について質問をいただくことが多いので、今回はその現状をレポート してみた。 ・Webの視聴率とは? インターネットに限らないことだが、広告の料金や価値を決めるには何らかの基準 が必要になる。それは、雑誌や新聞であれば発行部数だし、テレビ番組であれば視聴 率である。では、Webの視聴率とはなんだろうか? 少し前までは、それを表す数字と して「ヒット」がよく使われていた。ヒットの定義はあいまいではあるが、一般には 読み出されたファイルの合計値とされている。これには、htmlファイルはもちろん、 ボタンなどのグラフィックファイルもカウントされる。なので、ユーザーがある1ペ ージを見たときに、付随して読み出されるファイルが多いページではその値も高くな り、視聴率とは違った数字になってしまう。 そこで最近では、広告の掲載されているファイルだけの読み出し回数をカウントす る方法が使われるようになってきている。この値は「ページインプレッション」また は「ページビュー」と呼ばれている。 ちなみに、業界では広告を1000回露出させるのにかかるコストをCPM(cost per thousand)で表すことがあるが、インターネットでもそれに習ってCPMが活用され始 めている。 ・Web広告の値段 では、Web広告の値段はいくらなのだろうか。インターネット先進国のアメリカの 例を見ると、ネットスケープ社で1インプレッションあたり2セント(CPM=$20)前後 ( http://www.netscape.com/ads/ad_rate_card.html )、検索サービスで有名なラ イコス社も2~5セント程度と聞いている。日本は、まだコンセンサスがとれていない 段階だと思われるが、調べることができた数社の例をみると1インプレッションあた り4~5円程度のようである。この差は、ユーザー数の差、または成熟度の差だと思わ れる。 ということは、月10万回読み出されるページに広告を掲載した場合は、月額40~50 万円の料金になるわけだ。ちなみに、発行部数が10万部の雑誌にカラー1ページの広 告を掲載した場合の料金は、50万から100万円程度だと思われるので、単純に比較す るとWebの方が少し安いとも言える(掲載面積は異なるが)。 ・Web広告の価値 上記したのは、あくまで既存のメディアと同じ土俵での比較であるが、Webの優位 性はハイパーリンクにあるだろう。一般に、Webに掲載されている広告ボタン(プレ ート)は、その広告主のサイトにリンクされている。したがって、もしボタンをクリ ックしてくれれば、そのユーザーをたちどころに広告主のサイトへと導くことができ る。この行為は「クリック」と呼ばれており、Web広告を象徴する1つの機能になって いる。また、全体の中でどのくらいの割合でクリックされたかを表す数字は「クリッ クレート」と呼ばれている。 広告主にとっては、このクリックレートを上げることがインプレッションと共に重 要となる。なぜなら、オンラインショッピング・サイトの広告などでは、このクリッ クレートが売上に直接影響するからだ。 クリックレートは、現状では数%程度のようである。たとえば、広告掲載を前提に 接続料金を無料にして話題になったハイパーネット社の場合は、5月期のクリックレ ートが6.26%(プロフィール登録による場合は9.45%)だったと発表している。 インターネットの広告は上記したWeb以外にも、電子メール広告、インターネット ラジオ内での音声広告、またはポイントキャスト社のようなスクリーンセーバー型の 情報ビューアでの広告など、様々な試みが行われている。インターネットがメディア である以上、広告は重要なテーマである。従来は一般読者にはあまり感心のなかった テーマだと思うが、インターネットでは個人が広告主になり得るし、またインターネ ットの双方向性を極限まで利用した場合は、1対1の広告、つまりあなただけの広告が 登場してくるかも知れない。エンドユーザーも無関係ではないだろう。 (編集長 井芹:internet-watch-info@impress.co.jp) (96年8月15日)