[木曜コラム]
----------------------------------------------------------------------------
情報公開の力
----------------------------------------------------------------------------

 総選挙が終わった。私の予想とはずいぶん違う結果だった。しかし、戦後最低の投
票率とはいえ、何らかの大きな意思の表われだと理解している。
 ところで、今回の選挙ではあまり目立つ存在ではなかったが、争点の1つとして
「情報公開法」もあがっていた。一般に、情報公開というとピンとこない人も少なく
ないだろう。消費税の3%、5%のようなわかりやすさに欠けるし、「情報」や「公開」
という単語が、「改革」や「再建」などに比べ弱い印象だからかも知れない。しかし
個人的には、「情報公開」は今もっとも重要なキーワードではないかと思っている。
なぜなら、情報公開は、消費税、行政改革、財政再建など、すべての課題に大きな影
響力を持ちうると思うからだ。
 たとえばNTTの分割問題にしても、我々は本当にYES、NOを言えるだけの情報を持っ
ているのだろうか。今のNTTの何が悪いのか、また分割後に予想される悪影響など、
十分わかっていなければ安易に賛成・反対など言えるはずもない。
 情報公開の本当の意味は、このようなむずかしい問題を政治家や官僚だけでなく、
市民も参加して考えていくことができる点にあると思う。今望まれるのは「改革」だ
と言われているが、改革は、その真っ只中にいる人だけではできないのではないだろ
うか。逆に、アウトサイドからやってくるのが普通だ。
 もちろん、行政の情報を公開すれば痛みを伴うこともあるだろう。行政側にいる人
から見れば、出張費や接待費などで腹をさぐられることになるかも知れない。しかし、
逆にいいことも起きるはずだ。ちゃんとやっていれば、そのことが市民に伝わり賛同
や賞賛を得られるかも知れない。最近、官僚は悪者のように言われているが、まさか
みんながそうだというわけではないだろう。というより、しっかりやってくれている
人も多いはずだ。それを払拭する意味でも、行政情報は可能な限り公開した方がいい
と思う。情報公開することで、市民による自然なかたちでのチェック機能が働き始め
るのではないだろうか。
 インターネットは、このチェック機能の回路として最適だと思う。なぜなら、イン
ターネットは今一番安いメディアだからだ。既存のメディアを使おうとすると、ビラ
を印刷するのも、テレビやラジオを使うのもコスト的に折り合わないだろう。なによ
り商売でやっているメディア側が、そういう情報をいつでも載せてくれるとはかぎら
ない。
 行政がもっと情報を公開してくれれば、その情報を元にまた別の人がそれを編集し、
考察し、評価してくれる可能性は高い。事実、そういう活動を今の状況下でも始めて
いる例も少なくない。たとえば、今後大きな問題に発展すると思われる「ゴミ」に注
目してみると、「日の出町ゴミ処分場問題( http://www.jca.or.jp/~yamasaki/ )」
のように真剣に活動されているページを発見できる。
 ちなみに、10月10日付けの朝日新聞の「改革を訴える公約」という記事によると、
情報公開法に反対している政党は一党もなく、全党が推進すべきで一致していた。一
刻も早く、内容のある情報公開法の制定をお願いしたい。
(編集人 井芹昌信:internet-watch-info@impress.co.jp)

(96年10月24日)