[木曜コラム]
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インターネットの暗黒面
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 このところ、雑誌やテレビでインターネットの暗い部分についての話題が報告され
ている。日頃、インターネットが持つ潜在的な可能性について肯定している身ではあ
るが、ある可能性が提供された時、その影響は明るい方向にも暗い方向にも同等に作
用するのが自然な形でもある。光があれば、影もあるということだ。そこで、インタ
ーネットの暗い「可能性」を、思いっきり想像力を働かせて考えてみた。

▼規制がないことをいいことに、無法地帯化する
 インターネットは政治・行政の支配下にはない。それどころか、道端で注意するお
やじや、うるさい市民団体も少ない。うっかりすると、言いたい放題になりかねない。
嘘のうわさ話だろうが、元恋人の全裸画像だろうが、原爆の作り方だろうが平気だ。
どうせ誰もチェックしてないし、見つかったとしても誰が流したかわからないように
しておけばいい。
 危ないサイトを見れない仕掛けを作るという話もあるが、そんなのは所詮ソフトウ
ェアの仕掛け。かならず破る方法はある。そもそも、危ないサイトはそれを見るヤツ
が居るから流行るもの。現に、プロバイダーの人気サイトランキングの上位を占める
のは、アダルトものばかりではないか。
 結局、「建前」は駆逐されて、「本音」のアングラなものばかりになる。

▼デジタルキャッシュにより世界経済が混乱する
 電子マネーが解禁になれば、財布を持たなくていいし、なにより小規模決済が簡単
になり、経済活動がより活性化してくる。しかし、その最終形態と言われているデジ
タルキャッシュが解禁になり、世界レベルで通用したらどうなるだろう。
 デジタルキャッシュは、単なる電子クーポンではなく「お金」そのものである。そ
れが世界で通用するということは、海外製品を直接購入できるわけで、その場合の税
金や関税の問題はどうなるのだろう。また、デジタルキャッシュと現実の通貨との換
金が自由になれば、国際為替の問題はどうなるのだろうか。なにより、各国で経済を
コントロールしている機関(日本では日銀など)の影響力が及ばなくなる。つまり、
世界経済も無法地帯化してしまう(参考:IAJ NEWS Vol.3/No.3 日本インターネット
協会、「デジタルキャッシュが経済に及ぼす影響」田中辰雄氏)。

▼ネット依存症蔓延により人間嫌いの人間ばかりになる
 米国を筆頭に、いつもインターネットを使っていないと不安になるという「ネット
依存症」の事例が報告されだした。中には、寝ている時間以外はずっとインターネッ
トを利用していた例もあるという。
 この症状が進むと、現実世界とサイバーワールドの区別がつかなくなる。というよ
り、サイバーワールドだけで生きていこうとするらしい。その傾向として、人間の持
つ動物的な部分を極端に嫌うようになり、たとえば人とのスキンシップ、食事、トイ
レなどを極端に少なくすることになる。
 これがエスカレートした世界、それは人と一切の肉体的な接触をもたない頭脳だけ
のクールな人間関係。そんな世界に人は住めるのだろうか。

▼スカイネットの誕生
 テクノロジーの進歩が止まるところを知らなかったとすれば・・・。Javaプログラ
ムは、エージェントプログラムへと進化し、ついには遅れて来た人工知能と融合し、
機械同士が話合いを始めるかも知れない。そしてついには、スカイネット誕生という
SF映画世界に突入だ。

 私の想像力はこの程度で限界だが、考えればまだまだ暗黒面は出てくるに違いない。
これらの影と、その裏返しである光をどうバランスしていくか。インターネットとい
うテクノロジーが突きつけた、大きな試練かも知れない。
(編集人 井芹昌信:internet-watch-info@impress.co.jp)

(96年11月14日)