[木曜コラム]
----------------------------------------------------------------------------
今後の方向性を感じるFutureSplash
----------------------------------------------------------------------------
ホームページを作るなら、かっこいいデザインにしたくなるのが人情だろう。絵を
入れたり、アニメーションをしたりして、読み手の興味を引きつけたいものだ。
しかし現状のインターネットでは、多くのユーザーが電話回線で利用していること
から、データが大きくなり画面表示に時間がかかるのは困りものだ。結果として、
「グラフィックスは使いたい」しかし「データは小さくしたい」という、相反する2
つの要求の妥協点を捜さなければならない。実際、多くのホームページクリエーター
が、その点に日々頭を悩ませていることだろう。
この問題を解決する現在有効な方法は、ShockwaveとJavaではないだろうか。しか
し、Shockwaveの場合は高度なアニメーションはできるがデータサイズは小さいとは
いえず、画面表示までに数10秒は待つことになる。また、Javaの場合は、複雑なこと
ができるとはいえ、プログラミングの知識が必要になる。
ところで、上記の2つのいづれとも違うアプローチをとっているものに、米国
FutureWave Software社のFutureSplashがある(本誌96/7/30号で紹介)。
FutureSplashは、Webでグラフィカルなアニメーションを実現するために作られたソ
フトウェアである。このシステムの最大の特長は、図形をアウトラインデータ(図形
を輪郭情報だけで表現する仕組み)で描画する点にある。つまり、複雑な図形が表現
できる割にデータ量が小さい。
また、アウトラインでは拡大・縮小しても、常にきれいな描画ができるという特長
もある。たとえば、ユーザーがWWWブラウザーのウィンドウサイズを変更した場合、
それに追随して自動的に拡大・縮小が行われ、常にレイアウトが崩れることはない。
これは、マルチフラットフォーム環境(WindowsやMac、または画面解像度の違いなど)
での利用を前提としているWebにはうってつけだ。さらに、図形の移動や回転なども
簡単にやってのける。これを画像の切り替えでやろうとすると、大変な作業と遅さに
なってしまう。
このアプローチは、かつてのDTPにおけるPostScriptに似ている。PostScriptはベ
ツェ曲線というアウトラインデータで図形や文字を表現し、あらゆるページデザイン
に対応できるように設計されている。現在のDTP分野での、PostScriptの成功を疑う
人は誰もいないだろう。
パソコンのCPUは日進月歩で進歩しており、まだまだ余裕がある。しかし、回線容
量は黎明期であり最低限の状況である。つまり、手元での演算量は多くてもいいから、
転送されるデータは限りなく小さい方がいいわけだ。FutureSplashはこのニーズにあ
っているように思う。
また、DTPでは必須ツールと言われているAdobe Illustratorで作ったデータをその
まま利用できる点も見逃せない。この機能を使えば、すでにIllustratorで作成され
ている膨大なページデザインが流用できることになる。流用しないまでも、そのノウ
ハウは継承できる。これは、DTPデザイナーがそのままWebデザイナーにもなれる可能
性を示唆している。実際、弊社のグループ会社であるMdN(Macintosh Designers
Network)のクリエーターはこの点を非常に評価していた。
FutureSplashの利用は、世界的に見てもまだまだ少ないようだ。しかし、上記した
ように、そのアプローチは評価されていい。個人的には、もっと利用されてもいいも
のだと思う。
ちなみにFutureSplashのプレーヤーは、Windows 95版とMacintosh版が用意されて
おり、どちらも開発元のサイトから無料で入手できる。また、そのオーサリングには
Animatorというオーサリングソフトが必要だが、それも同サイトからオンラインで購
入できる($249.95)。
最後に、FutureSplashを実際に見てみたい方にはマイクロソフトのMSNをお薦めし
たい。転送時間とその表現力に注視してほしい。
・Future Waveのホームページ
http://www.futurewave.com/
・MSNのページ
http://www.msn.com/default.asp
(編集人 井芹昌信:internet-watch-info@impress.co.jp)
(96年12月5日)