[木曜コラム]
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「発見途上」
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「発見途上」。これは、12月9日に広告代理店最大手の電通が発表した、今年の話
題商品・ヒット商品のキーワードである。
この背景には、急激な情報化に伴い、人々が新しい機能や作法に慣れようと追われ
ている状況があると分析されている。また、その消費マインドは、「ためす」と「み
なおす」の2つに分類できるとしている。特に「ためす」については、携帯情報端末、
デジタルカメラ、DVD、インターネット接続関連商品、インターネット通販、CD-ROM
つき雑誌、携帯用音楽ツールなどのデジタル製品の台頭をあげており、人々がこれら
の製品を評価している段階と結んでいる。
さすが! と思わせる分析である。
インターネットが発展途上であることに異論をとなえる人はいないだろう。この1
年の変化を簡単に振り返ってみただけでも次のような状況である。
・ダイアルアップ接続の速度は28.8Kから128K(ISDN)へ
・WWWブラウザーのバージョンは半年に1回アップデート
・音楽再生はステレオになり、ビデオもどうにか動くようになった
つまり、利用している環境や、利用できる機能が絶えず変化しているわけだ。たと
えば車を例にとれば、道路の幅は1車線から4車線になり、エンジンを半年に1回積み
換えているようなものである。
普通なら、こんな状況では安心して利用できるはずがない。しかし、インターネッ
トの利用者は年率数倍の勢いで増えており、いくつか問題はあるものの、大きなレベ
ルで不満が噴出しているわけでもなさそうだ。
おそらく利用者の多くは、まだまだ未完成品だということを承知の上で、「どこま
で可能性があるのか見てやろう」くらいの気持ちでいるのではないだろうか。このこ
とは、従来の消費マインドにはなかった新しい感覚である。従来の製品は、メーカー
の研究室や工場で、何度も試作や使用を繰り返し、あるレベルの完成をみてから市場
に出されてきたと思う。もし、欠陥や未熟な点があれば、購入者は即座にクレームを
入れ、交換や返品を要求することだろう。
このような寛容なマインドの背景には、「成長期だから大目にみてやろう」「変化
していくことそのものも楽しい」「いいもの、悪いものをメーカーの押し付けではな
く自分で判断したい」「消費者も参加していいものを作りたい」などの意識があるよ
うに思う。
本格的情報化時代に入ろうとしている今、このようなマインドが登場するのは、何
らかの新しいライフスタイルへの期待があることは確かだろう。インターネットは、
その兆候がもっとも表面化している製品なのかもしれない。
・電通の関連ページ
http://www.dentsu.co.jp/DHP/DOG/D/D_6/d-6.html
(編集人 井芹昌信:internet-watch-info@impress.co.jp)
(96年12月19日)