[木曜コラム(最終回)] ---------------------------------------------------------------------------- 中居君の声が私のパソコンから・・・ ---------------------------------------------------------------------------- 本誌でも紹介した、ニッポン放送の「ラジオ・チャリティ・ミュージックソン」は、 24日の正午から丸一日インターネットでも中継され、目標の3万アクセスを若干上回 る結果を残し終了した。今回の試みは、RealAudioのスプリッターという新技術が使 われたことや、番組のパーソナリティを努めたのが人気者のスマップの中居君だった ことなどで注目を集めた。 ●コラボレーション 今回の技術的なミソは、11社のプロバイダーがそれぞれRealAudioサーバーを立ち 上げ、負荷を分散している点だ。つまり、1社では数100回線しか許容できないものを、 11社が協力することで合計数1000回線を確保しようとしたわけだ。ビジネスでは競争 関係にあるプロバイダー各社が共に協力して中継に徹する様に、何か胸踊るものを感 じたのは私だけではなかっただろう。まさに、放送局、プロバイダー、ソフトウェア 会社のコラボレーションの成せる業だった。 思えば、我々の社会はすべてがコラボレーションによって成り立っているといって も過言ではない。たとえば、お店で何か買い物をしたとする。その商品があなたの手 に届くまでに、一体どのくらいのコラボレーションが行われていることだろうか。で はなぜ、ことさらコラボレーションなどと強調するのだろう。これは私の推測だが、 従来スタンドアローン(孤独)だったコンピュータがネットワークにつながったこと で、やっと実社会と同じように協力し合えるようになったからではないだろうか。つ まり、デジタルの世界で可能になってきた共同作業のことを歓迎した言葉に思える。 ●コミュニケーション 今回は、RealAudio中継のほかにいくつかのWebも用意されていた。特に興味を引い たのが、パーソナリティの中居君への励ましの言葉が書き込まれた特設ボードだった。 900を超える熱いメッセージは、口調からほとんどの方が女性とおみうけした。 現在のインターネットピープルの女性比率は10%前後と認識している。その少ない 中で、900人以上の人がクリスマスイブにパソコンに「火」を入れ、RealAudioを起動 して、この放送を聴いたということにはびっくりした。中には、聴きたい一心でご主 人にRealAudioをインストールしてもらったという人もいた。 またメッセージの多くが、「中居君、・・・」と語りかけていることは、ファンが それだけ彼を近くに感じられたことの証明だろう。「中居くんの声が、パソコンから 聞こえてくるのが不思議な感じです」、というメッセージが印象的だった。 今回のインターネット実験の結果は、最大同時アクセス数253、最終延べアクセス 数30,552、募金総額305,520円だった。中継の最中には、サーバーがダウンしたり、 一部の回線が込み合い途切れ途切れの音声になってしまった、などの問題もたくさん 報告されているようだ。それらの考察は、専門のエンジニアからの報告を待つことに なるだろう。この実験が成功しかた否かは大きな問題ではないと思う。問題は、その 考察を次にどう反映させるかである。 インターネットはデジタル技術により、新しいコラボレーションとコミュニケーシ ョンの形を私たちの前に明らかにしつつある。日本のインターネットが本格的に始ま って、まだ2年余り。10年後は私の想像の範囲にはない。 (編集人 井芹昌信:internet-watch-info@impress.co.jp) 【木曜コラムは今回で終了させていただきます。ご愛読ありがとうございました。】 (96年12月26日)