[イベントレポート] ---------------------------------------------------------------------------- ウォッチャー金丸の「Spring Internet World'97」レポート ---------------------------------------------------------------------------- このところ「ウォッチャー金丸のNEWS Watch」を休載している私だが、実は米国 Los Angelesのコンベンションセンターで3月10日から14日まで開催されている 「Spring Internt World'97」を視察するため渡米している。12日から14日までの基 調講演と展示会場を中心にレポートしていく予定だ。 3月12日 ■いきなり車と人の大渋滞で出鼻を挫かれる 今日は、午前9時からのDEC社社長のロバート・パーマー氏のオープニング・キーノ ートを聞く予定だったのだが、LA名物のハイウェイ大渋滞と会場でのレジストレーシ ョンの人々の渋滞に私の行方は阻まれてしまった。 講演が行なわれている北ホール横のMicrosoft Exchange Serverの大パッケージに 気にを取られている暇もなく会場に走り込むと、もう講演は最後の部分にさしかかっ ており、立ち見の人を押し分けて前列に出た瞬間最後の拍手が鳴り響いた。それにし ても、朝一番の講演にも関わらず2千人弱入れる会場が立ち見も出るほど盛況だった のは、AltaVistaを含めたWWWサービス展開とDECサーバーの長年の実績のたまものな のだろうか。 ■コンベンションセンターの全体像 気を取り直して次のコンファレンスに足を運ぶ途中で、今回の会場全体の大きさが わかってきた。ちょうど東京ビッグサイトの西館と東館を合わせたくらいの大きさだ ろうか。南ホールは大手企業が集中しており、北ホールは基調講演などの大規模セミ ナーと、中小企業のブースやフリーインターネットコーナーなどがある。コンファレ ンスやワークショップなどの会場は、北と南ホールの間の西ホールがメインで、シア ターなどもあり、その部屋数は日本のどのコンベンション会場よりも多いと思われる。 ■Apple会長・アメリオ氏の基調講演 午前中にもう1つコンファレンスに出席して昼食の後、13時15分からのApple会長ア メリオ氏の基調講演を聞きに北ホールに向かった。会場の2/3位の千人強しか聴衆が 入っておらず、紹介スピーチの中での2人のスティーブの復帰の話題にも拍手がまば らだったり、Appleユーザーにとっては少し寂しい中で講演は始まった。 まずAppleの今後の方向性として、デジタルパブリッシング分野を重視していくと し、インターネット出版がもっとも有望な分野の1つとしてあげられた。「Content is King」というMacWorld Expo/Tokyoでも聞かれた言葉を引用し、カラー出版の82%、 WWW作成の64%、CD-ROM作成の52%がAppleプラットフォームであるという数字をあげ、 特にコンテンツプロバイダー市場にはAppleがまだまだ健在であるところを示した。 その具体例として、ワーナー・ブラザーズ・オンライン社長や宝石デザイン関連会社 社長などのWWW市場におけるMacの有効性を裏付けるインタビュービデオを流していた。 次に、「マック・コミュニティ」というコンセプトを示し、コンテンツの更新や内 容充実のためのAppleプラットフォームの優位性を説明した。特に、昨今のWWW更新に 対する人的および資金的な負担増大を軽減する方策の1つとして、「BuildSite」とい うソフトのデモを行なった。これはWWWの素材やリンク先がデータベースの一覧表の ように表示されるもので、データ更新管理のしやすさを強調していた。 その次に、GoLive社がWWW作成ツールのデモを行なっていたときにハプニングは起 こった。WWWデータを作成する際、QuickTimeファイルを読み込んだところで「予期せ ず終了」アラートが表示されアプリケーションが落ちてしまったのだった。最初は冷 笑していた聴衆も、再立ち上げから2回目の「予期せず終了」が起こったときには笑 う者さえおらず、かなり場が白けていたのが感じられた。 最後のデモでは、デジタルパブリッシングをリードする新技術としてQuickTime開 発者のピーター・ハリー氏が登場し、QuickTimeがインタラクティブに動作するデモ などを行なった。このデモはかなり受けていたのだが、最も拍手が多かったのは皮肉 なことに、この新しいQuickTime技術をWindow95上でも実現させると宣言したときで あった。 その後、次期OS「ラプソディー」が100%Java対応することやWindowsとの互換性を とる話をしても聴衆からの反応も少なく、予定時間を30分オーバーした講演にも関わ らず、WWW技術の新展開やインターネットへの熱気などが今一つ伝わってこない講演 であった。 しかし、デモが出来なくなってしどろもどろになったGoLiveの2人と対照的に、ア メリオ氏の落ち着いた対応は大したもので、その点が頼もしく感じられた講演ではあ った。 ■その後は... 今日はその後、コンファレンスを2つをはしごしたため、結局南ホールの展示会場 には行けずじまいだった。明日はIntel副社長のギル氏による基調講演(NetPCにも言 及されると思われる)を中心に、Microsoftの宣伝大攻勢など展示会場のレポートを お送りできるハズだ。 [Reported by 金丸雄一] (97年3月14日)