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ナイアンティック、「Pokémon GO」だけでなく、さらに新しいものにもチャレンジ――村井説人代表取締役が「G空間EXPO2017」で講演

ナイアンティック、「Pokémon GO」だけでなく、さらに新しいものにもチャレンジ――村井説人代表取締役が「G空間EXPO2017」で講演 株式会社ナイアンティック代表取締役の村井説人氏
株式会社ナイアンティック代表取締役の村井説人氏

 地理空間情報(G空間情報)をテーマにしたイベント「G空間EXPO2017」が10月12日~14日、東京・お台場の日本科学未来館で開催され、株式会社ナイアンティック代表取締役の村井説人氏が「Pokémon GOと地理空間情報」と題して講演した。同社は、「Ingress」や「Pokémon GO」を提供するNianticの日本法人。

「Pokémon GO」ユーザーが歩いた総距離、1年間で158億km

 村井氏は、「Adventures on Foot with others(ともに歩き、冒険に出よう)」というナイアンティックのミッションを説明。人が外に出て探索できるような仕掛けを考えれば、人は単に移動するだけでなく、もっといろいろなところを動き回り、エクササイズによって健康な人が増えると語った。そのために、A点からB点まで最短距離で15分しかかからない距離でも、1.5時間かけて歩けるような“寄り道”を提案したいと述べた。さらに、画面の中だけでなく、リアルな現実世界で人とつながって交流することを促すことができれば、世の中はさらに良くなり、それを実現するためにナイアンティックは存在するのだということを常に考えながらサービスを作っていると語った。

 村井氏はさらに、Pokémon GOが英国アカデミー賞ゲーム部門で受賞したことを紹介した。「Pokémon GOを2016年にリリースしてから、1年間に本当に多くの人から評価していただいた。何よりもうれしかったのは、日本だけでなく世界中で多くのプライズをいただいたこと。我々が世界を変えるための方法を提示した結果、みなさんに評価していただき、『これは、とても価値のあることだ』と多くの人が我々に伝えてくれたことは本当にうれしい」。

 村井氏は、2017年7月の時点で、Pokémon GOで1年間にユーザーが歩いた総距離は158億kmに上り、想像を絶する規模になっていると説明。現在の月間アクティブユーザー数は6500万人以上で、ダウンロード総数は7億5000万回、捕まえられたポケモンの総数は880億になると語った。さらに、ユーザーからは「社会不安障害が解消された」「夫婦のコミュニケーションがうまくいくようになった」といった声も寄せられており、ミシガン大学の小児病院では、Pokémon GOが障害を抱えた子どもたちのリハビリに活用されていることを紹介した。長期間のリハビリを持続させることは難しく、子どものモチベーションを保つことに医師たちは苦労していたが、Pokémon GOをプレーし始めてからは、何も言わなくても子どもたちが歩き始めたという。

 また、自閉症で長年の間、外に出られなかった子どもがPokémon GOをきっかけに外出できるようになったと感謝の手紙が送られてきたこともあったという。「我々はこのようなプロダクトを今後も作っていきたいと思っているし、Pokémon GOだけでなく、さらに新しいものにもチャレンジしていきたい。ゲーム的なものを出すのか、ゲームとは違うものを出すのかは分からないが、位置情報を活用したサービスを今後も作り続けたい」と締めくくった。

片岡 義明

フリーランスライター。ITの中でも特に地図や位置情報に関することを中心テーマとして取り組んでおり、インターネットの地図サイトから測位システム、ナビゲーションデバイス、法人向け地図ソリューション、紙地図、オープンデータなど幅広い地図・位置情報関連トピックを追っている。測量士。インプレスR&Dから書籍「こんなにスゴイ!地図作りの現場」、共著書「位置情報ビッグデータ」「アイデアソンとハッカソンで未来をつくろう」が発売。