被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー
それってネット詐欺ですよ!
偽アカウントなのに「認証済みバッジ」付き、Twitterでプレゼント詐欺に悪用されてだまされる人続出
2020年11月20日 06:00
ネット詐欺はどこでも行われています。もちろん、Twitterも例外ではありません。無料で使えるSNSですが、サイバー犯罪者たちはあの手この手で個人情報やお金を盗もうとしてきます。
中でも、正確な個人情報を集める際に最も効果的なのが、お金やプレゼントを配るというキャンペーンです。この手のキャンペーンは、昔はほとんどが詐欺で引っ掛かる人は少なかったと思うのですが、最近は資産家やYouTuberが本当にお金やプレゼントの配布を行っているので、一概に詐欺とは言えない状況になっています。
元ZOZOの前澤友作氏も毎日10万円を10人に配布しており、前澤氏のアカウント(@yousuck2020)は1000万人以上がフォローしています。そうなると雨後の竹の子のように前澤氏を偽装するアカウントが登場しました。
もし、「当選したので口座情報などを知らせてくれ」と言われたら正確な個人情報を丸ごと渡してしまう人もいるのではないでしょうか。当選したということで、手数料を先に振り込むように指示されることもあります。当たり前ですが、個人情報や手数料を渡しても、お金が振り込まれることはありません。
偽アカウントによる詐欺の被害があまりにも多いため、前澤氏は「なりすましパトロール専用」というTwitterアカウント(@mz_patrol)を用意し、ここで偽アカウントに関する情報を報告してもらい、即座に法的措置を行うようにしました。
同氏は主要なSNSのアカウントに認証済みバッジを付けたので、サブや管理用、抽選用といったアカウントはない、と注意を促しています。
先日には有名YouTuberをかたる偽アカウントのツイートが確認されました。122.3万フォロワーを持つヒカル氏と19.1万人のフォロワーを持つラファエル氏をかたるアカウントが現れたのです。
リツイートした人に10万円や15万円を配るというツイートを投稿し、多いものだとなんと9万6000回以上もリツイートされています。それとは別に、「今から5万~15万円分のiTunesカードを購入してコードを教えてくれれば、100万円を当選させる」というツイートもありました。こちらはリツイートではなく、DMを送るように指示していました。
よくあるパターンのネット詐欺と言えますが、恐ろしいのはこの2つのアカウントに認証済みバッジが付いているということです。
認証済みバッジは、Twitter社が影響のあるアカウントに本物であることを示すために発行するものです。では、なぜ偽物に認証済みバッジが付いているのでしょうか。
完全にTwitterの規約違反ですが、実はTwitterのアカウントはひっそりと売買されています。通常はフォロワー数により3000~3万円くらいなのですが、認証済みバッジが付いた公式アカウントの相場は約9万円です。
このアカウントを購入し、名前を変えて画像やプロフィールをコピーすれば偽アカウントの完成です。
今でもこの手口が通用するのであれば、認証済みバッジの意味がありません。とりあえずの処置として、現在は新規リクエストを受け付けていません。
2020年2月には、アメリカの高校生が架空の政治家のTwitterアカウントを作成し、認証済みバッジを取得したことが話題になりました。
これまでTwitter社は、選挙に勝たない限り候補者のアカウントに認証済みバッジを付けない方針でしたが、これに批判があり、候補者のアカウントについても検証することになっていました。
この高校生は休暇中で暇だったということで、候補者を紹介する偽サイトを20分で作成し、Twitterアカウントを5分で作成しました。人工知能で存在しない人の顔を生成するウェブサイトから画像をダウンロードし、候補者に関する情報を網羅したウェブサイトに登録しました。Twitterはそのウェブサイトを参照し、認証済みバッジを付けてしまったのです。
Twitter社は一刻も早く、認証済みバッジを悪用されない仕組みを構築する必要があります。しかし、それまではユーザーが自衛する心構えを持ちましょう。
今回の事例で分かるとおり、認証済みバッジが付いていても偽物の可能性があります。そのような偽アカウントは手間暇かけて準備しているので、お金を稼ぐためにネット詐欺に活用されることでしょう。ユーザーとしては認証済みバッジがあっても信用しない、と考えた方が安全です。
お金をちらつかされたときに、何も考えずに飛びつくのではなく、一度深呼吸して怪しむ癖を付けておきましょう。それがデジタルリテラシーを高めるための第一歩になります。
あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。
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