"ここ"がイチ押し! 旬モノ実験室

プラネックスの8ポート2.5GbEスイッチ「FX2G-08EM2」、大幅な消費電力減、発熱減に小型化で、先代から別物レベルに進化した!

プラネックスの低価格・低消費電力・低発熱・省スペースを実現した8ポート2.5GbEスイッチ「FX2G-08EM2」

 プラネックスから、実売1万3000円前後と安い2.5GbE対応8ポートスイッチ「FX2G-08EM2」が発売された。好評を得ていた「FX2G-08EM」の後継機で、内部のチップ構成などを見直すことで低消費電力、低発熱、小型化を実現したモデルとなっている。

 電気代や気温上昇が気になり始めてきた今の時代、たくさんの機器をつないでも電気代や発熱が気にならず、かつ省スペースという魅力的な製品だ。

◆FX2G-08EM2のイチ押し!
電気代と気温上昇が気になる時代を見据えた新設計

あれ? 5ポート版と同じサイズ!?

 ネットワーク機器は、地道な改善こそが大切。

 それを実践した製品が、今回、プラネックスから登場した2.5GbE対応8ポートスイッチ「FX2G-08EM2」だ。

 プラネックスは、比較的、同じ型番を引き継いだ製品が多い傾向があるメーカーだ。本製品も2022発売の「FX2G-08EM」に「2」が付いた製品で、字面だけでは、特別大きなバージョンアップがされていないようにも感じられてしまう。

 しかしながら、実機を観察してみると、アレも違えば、コレも違うと、かなり改善が加えられており、「いっそのこと、別モデルとして発売してもよかったんじゃない?」と思うほど、力の入った製品になっている。

 まず目に留まるのは、サイズの小ささだ。箱を開けた瞬間、「あれ? 5ポート版かな?」と見間違うほどコンパクトに仕上がっている。従来モデルは約240×27×105mmだったが、今回のFX2G-08EM2は約160×26×110mmで、実は従来の5ポートモデル「FX2G-05EM」と同じサイズになっている。

正面
背面
側面

 もちろん、実売価格で5000円前後の差(FX2G-05EMは実売8000円前後)があるので、予算を考えると5ポートを選ぶメリットもあるが、PCやNASなど、2.5GbEでつながる機器が増えてきた現状を考えると、より多くの機器がつながる方がありがたい。

 また、家庭で使う場合もそうだが、いわゆるオフィスの「島ハブ」としての利用を考えると、設置面積が小さくて済むこともありがたい。置き場所に困らないだけでなく、8ポートの本製品では、従来の5ポートモデルと同じ設置面積でプラス3台の余裕を持たせられるメリットは大きいだろう。

消費電力半減! 発熱も-18.1℃を実現

 見た目だけでなく、中身ももちろん進化している。

 内部のチップがRealtek製のRTL8373(Media Access Controller)とRTL8224(PHY)に変更されており、無負荷時でわずか1.9W、最大負荷時でも8.6Wしか消費しない。

 同社のWebページに掲載されている比較表によると、従来モデルのFX2G-08EMが、無負荷時4.5W、最大負荷時14.9Wなので、消費電力を約半減させることができる。オフィスなどで複数台設置する予定がある場合でも、従来の半分の台数分の消費電力で済むことになる。

製品情報ページに掲載されている消費電力の比較

 発熱に関しても、筐体の両面から放熱する構造を採用するなど、かなり配慮されている。本製品はチップそのものが低発熱化されたことで、最大負荷時でもヒートシンク温度が49.7℃に抑えられており、従来モデルの67.8℃から-18.1℃と大幅な低減となっている。

 実際、2.5GbEでPCを接続し、動画再生やインターネット接続など、日常的な利用をしてみたが、稼働中に筐体を触ってもほとんど熱は感じない。いや、「熱くない」というよりも「冷たくない」(稼働していることは分かる)という方が、感覚としては近い。

製品情報ページに掲載されている発熱の比較

 筐体を使って放熱するタイプの製品は、本体が熱くなることが、正しく熱を放出できる証拠とも言える。しかし、本製品はそもそもチップが低発熱なので、本体が不安になるほど熱くなるようなことがないわけだ。

 電気代が高騰する中、消費電力が低くなるだけでもありがたいが、気温が上がるこれからの季節(そして、地球温暖化対策も)を考えると、部屋の中の機器からの発熱が少しでも減るのはありがたい。少し言い過ぎかもしれないが、フロアに複数台のスイッチを設置するようなケースでは、エアコンの設定温度の見直しにつながる可能性もあるだろう。

従来モデルから買い替えてもいいレベル

 このように、プラネックスから登場した「FX2G-08EM2」は、なかなか丁寧に作り込まれた製品と言える。

 消費電力も発熱もサイズも、いい方向で改善されており、従来モデルの「FX2G-08EM」からの買い替えを検討してもいいほど中身の濃い進化を遂げている。地道な改善だが、それこそを高く評価したい製品だ。

「"ここ"がイチ押し! 旬モノ実験室」は、今気になるハードウェアやソフトウェアをピックアップして、その製品の「イチ押しのポイント」に注目し、魅力をレポートします。バックナンバーはこちら

清水 理史

製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できるWindows 11」ほか多数の著書がある。