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2006年個人情報の流出事故・事件を総括する(4)
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2006年個人情報の流出事故・事件を総括する(4)


(7)公表・報道状況まとめ

 2006年の個人情報流出の締めくくりとして、集計データから公表・報道そのもの状況を眺めてみたい。

・半数が4日以内に公表

 個人情報の流出が発覚してから、公表するるまでの期間を集計してみた。発覚日は、会社などの公表者が社員などから報告を受け、個人情報流出の可能性を認知した日を原則としており、実際に事故が起きた日よりも後の場合がある(公表日の判定は、「調査方法」に記したとおり)。

 発覚日が判明している1,308件を対象に、公表までの大まかな日数分布を集計したものを図と表7Aに、発覚後60日間までの日々の公表件数をトレースしたものを図7Bに示す。

 公表までの日数は、翌日をピークとする発覚直後に集中しており、5日までには過半数の55.3%が公表を終えている。被害者に対する事情説明などの事後処理を済ませた上での公表も多く見受けられるが、9日で公表率は70%を、15日で80%を超えており、迅速に対処している様子が伺える。


【図7A】発覚から公表までの日数分布(N=1,308)

【図7B】発覚から公表までの日数

件数構成比累積
当日886.7%6.7%
翌日22317.0%23.8%
2日後15211.6%35.4%
3日後1068.1%43.5%
4日後856.5%50.0%
5日後695.3%55.3%
6〜7日後13110.0%65.3%
2週目18514.1%79.4%
3週目836.3%85.8%
4週目524.0%89.8%
5週目393.0%92.7%
6週目以降957.3%100.0%
1,308100.0%
【表7A】発覚から公表までの日数分布(N=1,308)


・全体の4分の3が、民間は9割以上がWebで公表

 総数1,671件のソースとなったインターネット上の情報は、企業などのリリースが1,593件、ニュースサイト等の報道記事が3,196件(ともに同一事案に対する複数社や複数回のリリースや記事を含む総数)となっている。

 公表された1,671件についてのWeb公表の有無と報道の有無の集計結果は、図と表7Cのとおり。公表されたものには、サイトを持たない企業や団体も含まれるが、全体のほぼ4分3にあたる1,242件がWebを使って事実を公表。4分の1にあたる429件に関しては、報道のみでニュースリリースは見つけられなかった。


【図7C】公表の内訳(N=1,671)

件数構成比
報道のみ42925.7%
報道とWeb65439.1%
Webのみ58835.2%
1,671100.0%
【表7C】公表の内訳(N=1,671)


 図と表7Dは、公表状況を官公庁や自治体などの公的機関と民間企業・団体別に分けて集計したものである(出所不明の1件は図から除外)。民間のWeb公表状況は、985件中911件(92.5%)とさらに上昇する一方、公的機関のWeb公表は685件中331件(48.3%)と半分に満たないことがわかる。

 公的機関の公表・報道分に関しては、685件中122件が神奈川県横浜市のものであるという点を考慮する必要があるかもしれない。同市は、連絡帳1冊の渡し間違えレベルから報道向けの発表を行なっており、若干遅れるものの、そのままWebにも掲載という徹底した情報公開を行なっている(報道された8件の内1件はリリースが見つからなかった)。

 このきわめて積極的な横浜市を除外すると、公的機関のWeb公表は563件中210件(37.3%)にまで落ち込むことになる。横浜市のような例外を除けば、公表に積極的な民に対し消極的な公という格差が、くっきりと表われている。


【図7D】公的機関と民間の公表の内訳(N=1,671)

民間不明合計
報道のみ354741D429
報道とWeb1505040D654
Webのみ1814070D588
68598511,671
【表7D】公的機関と民間の公表の内訳(N=1,671)


調査が破綻した掲載期間

 非常に興味があったものの、調査できずに終わってしまったのが、リリース等の掲載期間である。

 報道記事では、INTERNET Watchの様に過去記事が全てWeb上に残され、後々リファレンスとして参照可能なものも多いが、マスコミ系のサイトに限ると、短いところは1日で削除。1〜2週間程度のところが多く、アーカイブを残している一部を除けば、長い所でも1〜2か月程度ということが把握できた。

 リリースに関しては、数日での削除を確認した数件のほか、数週間から数か月程度で削除されたと思われるものも多く見かけた。が、実際にはリニューアル等でURLが変更になっただけのものも多数あり、全てを追跡することは労力的に困難であると判断し調査を断念した。


把握が困難な公表と報道のタイムラグ

 これも興味深い点だが、Webでの公表や報道をリアルタイムで把握するのは困難なため見送った。報道と公表のどちらが先か、マスコミとその他ではどちらが早いかなども同様。正確なデータを示すことは出来ないが、1年を通して見てきた大まかな傾向を報告しておく。

 Web公表が先行、あるいは記者発表と遅延無くWebにリリースが掲載されるケースでは、マスコミもその他の報道も、同日から1営業日以内で記事を掲載。マスコミが早い場合もあれば、その他の報道の方が早いこともあった。

 ネットニュースには、公表後1〜2週間以上経過したものであっても、初報のニュース記事として採り上げているものがあり、遅延記事の占める割合が高い傾向にある。マスコミ報道では、その手のものは数えるほどしかない。遅延記事の共通点としては、どちらも、いつ公表されたのかを明記しない傾向が見られた。今後調査を継続するにあたって、引き続き留意していきたい点だ。



2007/04/27 15:39
鈴木直美
「PC Watch」や月刊誌「DOS/V POWER REPORT」他でパソコン・IT全般の解説記事などを執筆。「Windowsマシンのパーツがわかる本(木馬社)」、「明解 インターネット時代の標準ファイルフォーマット事典(インプレス)」など多数の著書がある。

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