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米Appleが「iPhone OS 4」発表〜待望のマルチタスクに対応


 米Appleは8日イベントを開催し、その中で「iPhone OS 4」を発表した。

 この新OSでは、マルチタスク、フォルダ、広告プラットホーム等の100を超える新機能、1500を超える新APIが搭載されている。

 現在、開発者向けに「iPhone OS 4ベータ版SDK」が公開されており、夏にはiPhoneとiPod Touchユーザー向けのアップデートとして、また秋にiPadユーザーに提供されることになる。

マルチタスク

 iPhone OS 4で最も待望されていた新機能はマルチタスクだ。複数のアプリケーションを同時動作させることから、アプリケーションのパフォーマンスが低下、電池寿命が低下するなどの弊害が多いため、Appleはこれらの問題をなくすために努力したという。そのため、iPhone OS 4では、複数のアプリを動作させながらも、バッテリー寿命とパフォーマンスを向上させることに成功したと主張している。

 マルチタスクを利用することにより、インターネットラジオサービス「Pandora」を使って、インターネットラジオを聞きながらWebページを見ることも可能だ。また他のアプリケーションを利用している最中に、パックグラウンドで動作しているSkype通話を受信することも可能になる。バックグラウンドでWi-Fi電波を補足することによる位置情報把握、通知も可能になる。

 また、ホームボタンを2度押しすると、Macintoshで見られるドックのようなユーザーインターフェイスが現れ、現在起動中のアプリケーション一覧が表示される。この画面で選択することで、すぐに起動中のアプリケーションを切り換えることも可能になった。

フォルダ

 また、別の新機能、「フォルダ」も用意。これによりアプリケーションをフォルダで管理できるようになるため、これまでの、アプリ登録上限の180を超えて、最大2160アプリを登録できるようになった。これで複数のフォルダをカテゴリ別に整理し、大量のアプリを容易に利用できるようになる。

 フォルダを作成するのは簡単だ。ゲームのフォルダを作成したい場合、あるゲームの上で長押しすると、そのアプリが震えだし、その場で「ゲーム」フォルダが作成される。フォルダの名前は、アプリのApp Storeにおけるカテゴリーによって自動的に名付けられる。他のアプリケーションをその上にドラッグ&ドロップすると、他のアプリをそのフォルダに追加できる。フォルダの管理は、iTunes9.2を使用し、PCまたはMacで行うことも可能だ。

メール

 メール機能も強化された。インボックスが統合されたことにより、Yahoo!、Exchange、MobileMe等のさまざまな場所から受信するメールを、一つのアカウントで容易に管理できるようになった。また、メールをスレッドで読むことができるようになった。受信した添付ファイルは、iPhone内のアプリで開くことも可能になっている。

iBooks

 さらに、iPhone OS 4では、iPadで導入された「iBooks」アプリが、iPhoneとiPod Touchでも利用できるようになった。iPhoneを電子書籍端末として利用し、「iBookstore」から電子書籍を購入することができる。開いているページやブックマーク情報は、別々の機器間で同期することが可能だ。

企業向けにも新機能

 企業向けの機能も向上した。端末のパスコードを暗号鍵として利用することにより、メールや添付ファイルを暗号化することが可能になった。また、企業内アプリケーションをWi-Fiまた3G回線を通して、従業員のiPhone向けにインストールできるようになった。さらにExchange Server 2010に対応したほか、SSL VPNもサポートしている。今後、JuniperとCisoがSSL VPNをサポートするアプリを提供する予定だ。

携帯広告プラットフォーム「iAd」

 iPhone OS 4では、Apple社の新しいモバイル広告プラットホームである「iAd」が発表された。Steve Jobs氏は発表の中で、「検索は携帯では使用されていない。人々はアプリを使っているのだ。そこにこそ広告配信の機会が存在する」と熱弁した。これまでのように、アプリケーションの中に広告が埋め込まれ、それをクリックするとWebページが表示される、というビジネスモデルでは成功しないことを強く強調した。むしろアプリの中に埋め込まれた広告こそが意味を持つと主張している。

 例えば、米Disney社の映画「Toy Story 3」の広告デモが披露された。この広告は簡単なゲームであったり、キャラクターのおもちゃやユーザーに訴えかける動画だったりする。いずれも、これまでの広告の枠を超え、「アプリの中のサブアプリ」の様相を呈している。

 このように開発者はアプリの中に広告をダイナミックに埋め込むことができ、Wi-Fiや3G回線を通して配信、表示できる。広告のホスティングプラットホームはAppleが提供し、開発者は広告収入の60%を得る。

Game Center

 また、iPhone OS 4 SDKには、「Game Center」と呼ばれるゲームプラットホームのデベロッパープレビュー版も含まれている。これは、マルチプレーヤーゲームをiPhoneに実装するためのものだ。対戦ゲームを可能にしたり、友人をゲームに招待したり、一緒にプレーしたり、スコアのランキングを集計し表示したりすることが可能になる。このソーシャルゲームネットワークは、今年後半にiPhoneとiPod Touchユーザー向けに利用可能になるとしている。

 Steve JobsCEOは、イベント内ではこのような7つの主要な機能紹介に限定した。しかしiPhone OS 4には、100の新機能が搭載されているという。

 その一部としては、プレーリスト作成、5倍デジタルズーム、アプリを購入して友人にギフトできる機能、スペルチェック、写真のジオタグ、ホームスクリーンの壁紙変更設定、Bluetoothキーボードへの対応、SMS/MMSメッセージ検索、メール検査結果の保存と削除、Webサーチのサジェスト、メールフォントの拡大等、様々なものが含まれている。

 また、1500を超える新APIも導入される。その中にはカレンダーへのアクセス、アプリ内からのSNS送受信、写真ライブラリーへのアクセス、Quick Looks、写真と動画のカメラデータへのフルアクセス、地図オーバーレイ、自動テスティング、パフォーマンスプロファイリング、キャリア情報へのアクセス等、様々な機能がある。特に、「Accelerate」いう新フレームワークでは、数学関数のハードウェアによるアクセラレーションが可能になり、様々なアプリパフォーマンスを向上させられるという。

 本日8日の発表により、iPhone OS 4ベータ版SDKはiPhone Developer Program会員向けに利用できるようになる。

 iPhone 3GSとiPod Touch第3世代(2009年後半モデルの32GBと64GB版)向けには、今年夏にリリース予定。それ以前のiPhone 3GとiPod Touch第2世代では、多くの機能が動作可能だが、マルチタスクに関しては、ハードウエアが対応していないため対応しない。またiPad向けにはこの秋にリリースするとしている。


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(青木 大我 taiga@scientist.com)

2010/4/9 14:40