非電子新聞で新たな読者を、毎日とスポニチがスマホ/タブレット向け新媒体


 毎日新聞社とスポーツニッポン新聞社は、iPad、iPhone、Android端末向けの有料デジタル媒体「TAP-i(タップ・アイ)」を5月25日に創刊する。購読するにはApp StoreおよびGoogle Playから専用アプリをダウンロードする。料金は月額900円、毎日新聞読者は月額500円。8月末までは無料で利用できる。今後はスポニチ読者にも月額500円で提供する。

 毎日新聞とスポーツニッポンの記事に加え、新聞紙面では掲載しきれない多数の写真や動画ニュースなどの独自コンテンツを毎朝配信する。また、CGキャラクター「アイ」が月曜から土曜まで登場し、主要なニュースや話題をバーチャルスタジオから映像を交えて紹介する。主な記事やコラムは音声合成システムで読み上げることもできる。

タップ・アイのトップ画面毎日新聞の見出しスポーツニッポンの見出し

 iOS端末では毎朝自動的に最新号がダウンロードされる。容量は1号につき約200MBで、過去の号を保存できる。ソーシャルメディアとも連携し、記事の画像をTwitterやFacebookで共有することが可能だ。今後はコンテンツの種類ごとにダウンロードしたり、気になるページを保存する機能を提供する。

CGキャラクター「アイ」が映像を交えて主要なニュースや話題を紹介する新聞紙面では掲載しきれない多数の写真や動画ニュースなどの独自コンテンツを配信する

電子新聞的ではない媒体

 毎日新聞社とスポーツニッポン新聞社は、2011年6月に設立した「株式会社毎日新聞グループホールディングス」の完全子会社。新聞の発行部数が減少する中で両社は、新たな読者の開拓を模索。そこで手がけたのがタップ・アイだが、開発段階では「電子新聞」という言葉を封印していたと、スポーツニッポン新聞社常務取締役の藤原健氏は振り返る。

 「スマートフォン時代が到来してメディアの状況が劇的に変わる中、どのような媒体を作るべきかということが問題意識としてあった。そこで確認したことは、スマートフォンは情報を読むのではなく、触っているということ。電子新聞を卑下するわけではないが、スマートフォン時代にあった立派なものを作ろうと考えていた。」

 毎日新聞社常務執行役員の増田耕一氏によれば、タップ・アイは日本で初めて新聞社としてスマートフォンとタブレットのみにコンテンツを配信する媒体。新聞は一面や社会面といった構成だが、タップ・アイでは若年層が興味を持ちそうな話題を中心に掲載するほか、内容が難しいニュースは独自の解説を加えてわかりやすくする。

 ビジネスモデルは広告と課金だが、「しばらくは課金が7~8割を占める」(増田氏)。新聞を読まない世代をターゲットとしており、今年度末までに3万ユーザー獲得を目指す。「タップ・アイで新聞社の情報を摂取してもらい、できれば紙の新聞も手にとってもらいたい」。

スポーツニッポン新聞社常務取締役の藤原健氏毎日新聞社常務執行役員の増田耕一氏

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(増田 覚)

2012/5/24 17:08