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モバイル決済「Square」が日本上陸、Twitter創業者が開発

 米Squareは23日、スマートフォンとタブレットを利用した決済サービス「Square」を日本で開始した。サービス開始にあたっては三井住友カード株式会社と戦略的業務提携を締結。今後、約190万の個人事業主や中小企業にクレジットカード決済の導入を図る。

 事業者は無料アプリ「Squareレジ」と、スマートフォンやタブレットのイヤホンジャックに差し込んでクレジットカードを読み取る無償の「Squareリーダー」を導入すれば、クレジットカード決済を提供できる。現金取引も記録可能だ。事業者は1回の取引で手数料3.25%をSquareに支払う。売り上げは翌営業日に指定した銀行口座に入金される。

 ユーザーは支払い金額確定後にクレジットカードをSquareリーダーに通し、事業者が用意するスマートフォンやタブレットの画面を指でなぞるだけで決済のサインができる。レシートはSMSやメールで受け取れるほか、対応プリンターがあれば印刷も可能。Squareで決済するユーザーに手数料は発生しない。

 米Squareは、2009年2月にTwitterの共同創業者であるジャック・ドーシー氏が設立。米国では個人事業主や中小企業だけでなく、スターバックス全店7000店が導入するなど、事業開始から3年で加盟店数400万、年間取扱高は150億ドルに上る。

 Squareが北米地域以外に進出するのは日本が初。三井住友カードは2012年9月にSquareと資本提携し、1000万ドルを出資。米国以外の事業者でSquareに出資したのは三井住友カードのみ。以来、同社は戦略的パートナーとして日本における事業展開を協議してきたと説明する。

日本の99%を占める中小企業にカード決済を普及させる

 23日にはSquareと三井住友カードが都内で会見。Squareのジャック・ドーシーCEOは日本市場について、「日本のビジネスの99%は中小企業が占め、地域に密着したビジネスで夢を持っている。そうした企業のビジネスを伸ばすためにSquareを活用してもらえるはず」と語った。

 Squareは「あなたの商業活動を簡単にする」というミッションを掲げているが、これを日本でも実現したいとドーシーCEO。「決済はすべての企業に公平であるべきだが、いつからか困難で複雑になってしまった。商業活動は本来、コミュニケーションのようにシンプルなものだった。Squareは商業活動を本来の姿にすることが使命だ」。

 三井住友カードの島田秀男社長は、Squareの国内展開を通じてアクワイアラー(クレジットカードの加盟店管理会社)としての存在感を高めることが狙いだと話す。「日本では190万のスモールビジネスにクレジットカード決済が浸透していないと言われている。それに加えて、地方のカード普及も期待している」。

Squareのジャック・ドーシーCEO(左)と三井住友カードの島田秀男社長

参入相次ぐモバイル決済、「一番乗り」より「一番良い」が重要

 モバイル決済サービスとしては、ソフトバンクとPayPalが2012年5月に合弁会社を設立し、「PayPal Here」を展開している。競合への優位点を聞かれたドーシーCEOは、「Squareは日本で多い現金取引にも対応し、POSに反映することができる」と述べ、「この市場は一番乗りであることよりも、一番良いソリューションを提供することが重要」とアピールした。

 日本ではさらに、クレディセゾンとコイニーが共同でスマートフォン向け決済サービス「Coiney」を展開。両社は初年度で「Coineyリーダー」10万個を供給する方針を示している。三井住友カードの島田社長は、初年度の供給目標について「社外に公表できる数字はないが、クレディセゾンを上回る数字は上げていきたい」と意気込みを語った。

 3.25%という手数料比率については、PayPal Hereの5%、Coineyの4%と比べると最も低い。この点について島田社長は、「ICTを駆使して自動化したことで安さを実現した。これに他社がついて来れるか。我々は3.25でもトランザクションコストを下げているので十分採算が取れる」と自信をのぞかせた。

(増田 覚)