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米Dropbox、文書コラボレーションのHackpad、写真クラウドのLoomを買収

~Hackpadはサービス継続し、Loomは閉鎖へ

 米Dropboxが17日、ベンチャー企業2社を買収したことが明らかになった。1社目は写真を管理してクラウドにアップロード、同期するiOS/Macアプリとサービスを提供している米Loomで、2社目はWiki風のドキュメントをリアルタイムにコラボレーションし、編集できるサービスを提供する米Hackpadだ。両社ともに買収金額など取引の詳細は明らかになっていない。

 LoomとHackpadは共に、ベンチャーキャピタル、アクセラレーターとして有名なY Combinatorの2012年冬期で“同期”にあたる。Loomは当時Popsetという名称のサービスを開発しており、DropboxもY Combinator出身企業である。

 買収に伴いLoomはサービスを終了するが、Hackpadは引き続きサービスを提供し、新規アカウント作成も受け付ける。

Hackpadのトップページ

 サービスを継続するHackpadはメモ帳を模した「Pad」に複数人がリアルタイムまたは非同期的にWiki風のドキュメントを編集できるサービスだ。プライバシー設定は柔軟で、同時編集可能な人数は数人から「Twitterのフォロワー全員」などと設定できる。このため、様々なグループにPadを振り分けるなどして、複雑なプロジェクトに利用することも可能だ。Web、モバイル双方に対応しているので、利用者はどこからでも参加できる。Hackpadには元からDropboxとの同期機能があり、添付ファイルを共有できるようになっていた。

 Hackpadは買収に応じた理由として、「デザインのシンプルさとユーザー優先」という基本理念を共有している上に、Dropboxの力によって「次世代のコラボレーションおよびコミュニケーションツールをより多くの人々に提供できる」としている。

 Dropboxのようにオンラインストレージサービスを提供する米Microsoft、米Google、米Apple、米Box等は、いずれもドキュメントコラボレーション機能を有しており、Dropboxもその道にならった格好だ。

 これに対し、LoomはDropbox買収によって、2014年5月16日にサービスを終了すると発表。発表と同時に新規アカウント受け付けを停止した。

 DropboxはLoomと似たコンセプトの写真・動画管理、同期、閲覧サービスとアプリ「Carousel」を発表している。Carouselに移行するLoomのユーザーには同量の無料容量をDropboxで受け取れるほか、Loom有料ユーザーには同容量を1年間無料で提供するとしている。また、これまでにアップロードした写真・動画の全ライブラリを、希望すればZIPファイルで受け取れると説明している。

 Loomが買収に応じた理由として、「Dropboxはスケーリングインフラ周りの多くの問題を解決してきており、DropboxでLoomチームは素晴らしいユーザーエクスペリエンスと優れた機能の構築に完全に集中できるようになる」と説明している。

(青木 大我 taiga@scientist.com)