ネットショップの店長さんやアフィリエイター向けに、毎月1回、SEOの専門家である筆者がSEOに関する有益な情報をご提供する連載です。ご期待ください。(編集部)
■フレーム構造はSEO的に不利!?
フレーム構造がSEO的に不利と言われて久しくなります。実際にこの考え方は進歩的なネットショップの店長さんやアフィリエイターに受け入れられ、メジャーなサイトではあまりフレーム構造を見かけなくなりました。ひと昔前であれば、かっこいいWebサイトと言えばまずフレームありき、という状態でしたから、隔世の感があります。
しかし、「フレームは不利」という考え方は、最新の検索エンジン界隈では100%の正解ではなくなってきたのです。
実はヤフーの検索エンジンは、フレーム構造を読むことができるのです。
例を挙げますと、「高知競輪」サイト< http://www.kochi-keirin.co.jp/ >は、「このサイトはフレーム・フラッシュを使用しています。」という検索語を入力してヤフーで検索すると、トップに登場します。しかもインデックスされているのはフレームの内部ではなく、フレームを定義している親ファイルです。
ロボット型検索エンジンではグーグルに遅れをとっていたヤフーですが、このテクノロジーはナイスと言えるのではないでしょうか。
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Yahoo!検索
「このサイトはフレーム・フラッシュを使用しています。」という検索語を入力してヤフーで検索すると、高知競輪が検索結果のトップに表示される。このリンクをクリックすると、高知競輪のサイトトップに飛ぶ
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同様に、「このサイトはフレーム・フラッシュを使用しています。」というキーワードでGoogle、MSNを検索してみましょう。どちらの検索エンジンでも1ページ目に高知競輪のサイトが出ます。しかし、インデックスされているページはどちらも< http://www.kochi-keirin.co.jp/r-index.html >という子ファイルのページです。
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Google
「このサイトはフレーム・フラッシュを使用しています。」という検索語を入力してGoogleで検索した結果。やはり高知競輪が検索結果のトップに表示されるが、インデックスされているのはサイトトップではなく子ファイルのページ
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MSNウェブ検索
「このサイトはフレーム・フラッシュを使用しています。」という検索語を入力してMSNで検索した結果。高知競輪は検索結果の1ページ目のやや下に表示されるが、Googleと同様、インデックスされているのは子ファイルのページ
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Googleはフレームを「インターネットの利便性に反する」という理由で使用しないように呼びかけていましたが、ヤフーがそれをテクノロジーで超えてしまい、とりあえずヤフーにインデックスされれば良い、という方でしたらフレームもアリの時代になってしまったのです。
■SSIでフレームと同様の利便性
フレームというのは確かに便利な機能ですし、利用するために特別なスキルや環境が必要なわけでもありませんので、使えるものなら使いたい、という方は多いと思います。
そこで、ヤフーだけでなく、GoogleやMSNでも正規のインデクシングを希望する方で、フレームと同等の利便性を追求する方には、SSIを利用することをお薦めします。
SSIは、親となるHTMLにincludeコマンドを1行書いて子となるHTMLを呼び出すだけで、フレームと同等の利便性を得られるというものです。SSIで呼び出されたページはGoogle、MSNにもちゃんと拾われますので安心です。
「SSI include」で検索すると、詳細な設定方法が書かれたサイトがヒットしますので、興味のある方は調べてみてください。なお、レンタルサーバーがSSIを許可していないと、使用することができません。
■ページを増やすことでサイトの価値を高める
フレームを使用することのメリットは「簡単にページを増やせる」ということです。
しかし、実際に手打ちでHTMLを書いている場合などはページを増やすのも一苦労ではないでしょうか。
SEO対策では、オリジナルなコンテンツは多ければ多いほど良いと言われています。
近ごろのSEO対策では、外部要因を重視する風潮があります。それはそれで間違いではないのですが、外部要因というのはどちらかというと「100位を20位」にするための対策であって「20位を1位」にする、という最終的なサイトの地力がものをいう場面では、内部要因の最適化が必要です。
「あと一押し」をするのが内部要因ですから、やれるものは何でもやっておきましょう。
さて、簡単にページを増やせるツールでは、たとえば、「bpTran」< http://www.vector.co.jp/soft/win95/net/se157300.html >があります。Vectorサイトのダウンロードページにある「たいやきみたいにホームページを作る!」という触れ込み通り、簡単ですがパワフルな機能を備えたソフトです。
ExcelでHTMLページの各要素を記述し、テンプレートHTMLに流し込めば、100ページでも、1,000ページでも、10,000ページでも、CPUのパワーが許す限りいくらでもサイト内コンテンツを増殖させることができます。
ただし、ご利用の際には、くれぐれもページ生成先のフォルダを間違えないようにご注意。筆者は操作を間違え、「マイドキュメント」フォルダにうっかり500ページものファイルを作成してしまったことがあります。
このツールは、1ページに500の要素を埋め込むのか、1つの要素を500ページ作成するのか勘違いしやすい作りなので、誤操作を防ぐためにいつ消しても良いフォルダを生成先に指定しておくことをおすすめします。
このツールとSSIを使って、サイトボリュームをアップさせ、内部要因を強化してみて下さい。
■大手ショッピングモールのSEO効果
これからこの連載を参考にSEO対策を始められる方もいると思います。そういった方向けに一言アドバイス。
まず、ネットショップですが、楽天やヤフーなどのモール出店でのSEO対策はなかなか厳しいものがあります。
なぜかというと、グーグルは同じドメインのサイトに対して、1つのキーワードで2サイトまでしか上位表示しないためです。同じドメインには似たような結果があることを想定し、検索結果を間引いているのです。ですから< http://www.rakuten.ne.jp/ >や 、< http://store.yahoo.co.jp/ >からすべて始まる楽天ショップ、ヤフーストアはグーグルに対してはある意味で不利ということになります。
「ある意味で」というのは、競合が少ない場合には楽天やヤフーの方が有利なためです。楽天、ヤフーの高いページランクからのリンクをショップが受け取ることができるため、マイナーなキーワードであれば比較的簡単に上位表示をすることが可能です。
また、ヤフーに関しては、ヤフーの検索結果が荒れた時に「どないなっとんねん」と直接クレームを言える権利が手に入ります。これで検索結果が元に戻ったといううわさもちらほら聞きますので、ヤフーを重視するお店の場合には出す価値があるのではないでしょうか。
また、楽天の場合にはそれ自体ショッピングサーチとしての価値が高いですから、儲かっているならわざわざやめる必要はありません。
私が言いたいのは、楽天にしろヤフーにしろ、そこに出店して満足しているのではなく、いろいろトライしてみた方がいいですよ、ということです。儲かる見込みがあれば現状に満足せず、いろいろ新規のプロジェクトを試すのもいいことです。
アフィリエイトの人には電脳卸をおすすめします。これは私が個人的に趣味でやって、唯一儲かったアフィリエイトです。アフィリエイトの中ではマイナーな方なので競争率も低く、まだまだ狙い目です。
ネットショップの方は独自ドメインを、アフィリエイトの方は電脳卸のアカウントを取得してこの連載を読んでいただくと、いいことがあるかもしれません。
(2006/10/26)
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田村昌士(たむら・まさし)
SEOコンサルタント。PC向け、モバイル向け共に、SEO対策研究の先駆者として活躍。著書に「プロとして恥ずかしくないWEBデザインの大原則
-改訂版-」(共著)等がある。SEO対策の専門家として今まで数多くの企業にソリューションを提供。モバイルSEOは2004年から研究を開始。
(プロフィール最終更新:2009/04/09)
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