皆さんこんにちは。蒸し暑くなってきました。私は夏バテを起こさないように、今から水泳で体力作りをしています。
■複数サイトの落とし穴
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複数サイトでは、内容が同一のミラーサイトになってしまってはダメ。それぞれ書き下ろしでオリジナルなサイトを複数立ち上げることで、サイト間のSEOシナジーが生まれる
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SEOに熱心な企業はいくつかWebサイトを持っている場合が多く、こういった複数サイトのコンサルテーションをご依頼いただくケースは結構あります。
2サイト以上を持つオーナーはSEOに対しても明るく、SEO会社を利用するメリットやビジョンについて、ある程度アイデアの固まった状態でご相談をいただきます。
今回はまず、そういった複数サイトの落とし穴についてお話できればと思います。
複数のサイトを立ち上げSEOをすると、さらに効果を高めるためにそれらのサイトを相互にリンクする行為が見受けられます。おそらくサイト間のシナジーを求めてのことでしょう。しかし、複数サイトを運営するメリットはこういった方法とは別物なのです。
SEOしているサイト間を密接にリンクした場合、それらは検索エンジンアルゴリズムによって深く関連付けられます。これが例えば似たようなキーワードと手法でそれぞれ上位表示させていた場合、片一方しか上がらないという現象を招くこともあります。
そして、もしも行なわれたSEOが検索エンジンによってスパムと判定されてしまった場合には、ドメインが違っていても深く関連付けされた2サイトは、同時にランクが下落するリスクが発生します。
もうおわかりかと思いますが、複数サイトをSEOすることで生み出される真のシナジーとは、それらのサイトを無関係に切り離しておいて、アルゴリズムが変更した場合にもすべてのサイトが落ちないようポートフォリオを組んでおくということです。
SEOは費用対効果の高いマーケティング手法ですが、検索エンジンの気分一つで売上が変動してしまうという欠点があります。それをいかに補うか、その手法として複数サイトSEOを行なった時に、初めてサイト間のSEOシナジーが生まれたと言えるのではないでしょうか。
ですから、複数サイトを立ち上げようと思われた場合、内容が同一のミラーサイトになってしまってはいけません。書き下ろしでオリジナルなサイトを2つ立ち上げる必要があります。
サイトを立ち上げる時に最も手間がかかるのはおそらく文章の執筆ではないでしょうか。書籍の内容などを無断転載して問題になるケースもありますので、他者の著作権を侵害しないようよく注意して、オリジナルなコンテンツライティングを心がけてください。
■「1ページ1キーワード」の原則
次は内部要因を強化する際に、よくさせていただくアドバイスをご紹介いたします。
現在の検索アルゴリズムでは、一昔前に比べサイトの内部要因が重視されています。特にGoogleのセマンティック解析はすごいを通り越して気持ち悪いと感じるほどの精度です。筆者はGmailを愛用していますが、Gmail内の広告も私がやり取りするメールの内容を解析し、適切なものを配信しています。
キャンペーンページなどでペラ1枚、またはそれに近いサイトに対してSEOをして欲しいというご依頼があります。サイトのデザインは秀逸でも、たった1枚のページですから当然検索上位に表示されることはありません。
そこでお決まりのアドバイスが「1ページにつきXX字くらいでXXページ追加作成しましょう」というものなのですが、これだけですと不十分です。
SEO事業者は検索エンジンと相性の良いサイト作りのアドバイスはできますが、コンテンツそのものを作ることはできません。商品についての深く膨大な知識を保有しているのはクライアントだからです。しかし原稿を作っていただく際に、1つだけ覚えておいて欲しいことがあります。それは「1ページ1キーワード」の原則です。
サイトのボリュームを増やす目的でライティングする場合には、そのページをどのようなテーマ、キーワードで上位表示させたいか常に意識しながら執筆して下さい。
もっと具体的に言うと、文中に登場する重要なキーワードの出現率にページ間で偏りを持たせて下さい、ということです。これにより、各ページのテーマが明確になり、よりスムーズなSEOが可能となります。
Google AdSenseを貼り付けた時に、軒並みライバル製品の広告が表示されるようでしたらサイトテーマがよく絞れているということになります。
■SEOに使える、Yahoo!検索の新しい機能
近ごろYahoo!が元気です。2007年6月4日よりモバイル版のYahoo!ビジネスエクスプレスが開始されました。Yahoo!カテゴリへの登録はモバイルSEOにとって大きな可能性を秘めていますので、競合が少ない今のうちに申請されることをおすすめします。
Yahoo!と言えばSoftBankですが、今ケータイで大流行のモバゲータウンは人気のあるゲームがFOMAにしか対応していないという状態です。モバゲータウンのような優良コンテンツが対応してくれないというのはキャリアにとってもダメージが大きいのではないでしょうか。シェアの低いキャリアというのはコンテンツ拡充に遅れを取りやすいはずですから、SoftBankにフォーカスしたコンテンツを作成して登録申請すれば、ニッチながらより確度の高いモバイルビジネスの展開が期待出来そうです。
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Yahoo!検索
「乗り換え案内」で検索してみた結果。検索結果画面で、当該サイトをブックマークに登録している人数がわかる(赤丸で囲んだ部分)
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もう1つ、Yahoo!のトピックをご紹介します。ちょうどこの原稿を書いている今、RSSでニュースが配信されてきました。Yahoo!の検索結果にYahoo!ブックマークの登録人数が表示されるようになったのです。これはマーケティング的に非常に面白いデータです。
SEOを集客の柱としてビジネスを展開されている方が最も意識するテーマの1つに、アクセスのリピート性があります。ブックマーク登録してもらうということは、すなわち常連客になってもらうということです。常連客をどれだけ増やせるかが、ビジネスを安定させる1つの鍵となります。
このデータは、ライバル他社がどれだけ常連客を押さえているかを知らせてくれます。他社のコンテンツにはなぜ多くの人がブックマークするのかを分析すれば、自社でもより良い情報発信が可能となるはずです。
iGoogleの日本語版が正式にリリースされた時、日本でも本当の意味でGoogleの時代が来ると予感したのですが、Yahoo!のこのユニークなサービスがリリースされたことでまたわからなくなってきました。
検索エンジン業界全体の流れがパーソナライズドに向かっていることは間違いのない事実ですから、今後のSEO対策は長期的視点で見た場合に、外部リンクよりもコンテンツ企画開発力の勝負になるのではないかと感じています。
(2007/06/20)
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田村昌士(たむら・まさし)
SEOコンサルタント。PC向け、モバイル向け共に、SEO対策研究の先駆者として活躍。著書に「プロとして恥ずかしくないWEBデザインの大原則
-改訂版-」(共著)等がある。SEO対策の専門家として今まで数多くの企業にソリューションを提供。モバイルSEOは2004年から研究を開始。
(プロフィール最終更新:2009/04/09)
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