皆さんこんにちは。暑い日が続きますが、休日はバッティングセンターで汗を流しています。
■パーソナライズ化~新たな技術は新たなビジネスチャンス
パーソナライズ化は、検索エンジン各社の次の課題と言われています。
しかし、品質の高い検索結果が表示されるまでには、まだまだ時間がかかりそうです。私の経験では、Googleなどの検索エンジンが理想を提唱して、現実がそれに追いつくまで、おおよそ2~3年かかるというイメージがあります。
SEOとSEMに関心を持つ人々が、パーソナライズ化の恩恵と試練を受けるのはいつの日になるでしょうか。
パーソナライズ化されたアルゴリズムが実装されたことを示す指標としては、たとえば私のPCで「SEM」と検索して、電子顕微鏡に関する検索結果が出なくなったら、そのときが1つのターニングポイントだと思っています。
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左から、iGoogle、Windows Live、Yahoo!ウィジェット。パーソナライズ化の試みはすでに始まっている
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考えてみれば、パーソナライズ化された検索エンジンアルゴリズムを調べるというのは厄介なことです。この原稿を書いている今も、「実は私のGoogleの使い方が悪いから電子顕微鏡の広告が出てしまうのではないか」と疑念を抱いてしまうほどです。
SEO/SEMに興味があっても、ひとりとして同じ検索パターンはないはずです。アルゴリズムの解析は今まで以上に骨の折れる仕事となることでしょう。
上のような例に限らず、年齢、性別、地域、職業、生活サイクルなどが加味された検索結果が出るとしたら…。今までのSEOの考え方では収拾がつかなくなりそうですが、一方で要素が増えることにより新たなビジネスチャンスも生まれるはずです。
■キーワードをキャッチする方法
さて、Googleで検索した際の「関連検索」という項目が検索結果の上部にも表示されるようになりました。このGoogleの「関連検索」には、Webサイトで一緒に記述されることが多いキーワード群が表示されています。
今まで検索傾向というのはすべてユーザーの裁量に委ねられていました。しかし、それが情報を発信する各Webマスターとそれを取りまとめるGoogleサイドに、若干寄る形になります。
これに対して、Yahoo!の同種のサービスではユーザーがよく検索するキーワード群を表示します。このことから、GoogleとYahoo!の考え方の違いを垣間見ることができます。
SEOを行なう上では、“伝家の宝刀”とも言うべき存在だったオーバーチュアのキーワードアドバイスツールがサポート終了してから、キーワード選びに悩んでいる方も多いことと思います。上記のような新機能も、キーワード選びの一助となりそうです。
キーワードアドバイスツールは、私にとっても愛着と思い出のあるツールでしたから、サポート終了を聞いた時は非常に残念でした(もっとも、オーバーチュアにログインすれば、キーワードアドバイスツールライクな機能は今でも使えますが)。
しかし、インターネットで普遍的に検索されやすいキーワードというのは、SEOに長い間従事していれば自然と身に着いてきます。これは、1つの先行者利益と言えます。長くSEOに携わっているほど、勘所が掴み易いでしょう。
キーワードアドバイスツール終了による問題の本質は、各自がマーケティングデータベースを自前で持てていない、ということに尽きるのではないでしょうか。
今後例えば、一切の検索傾向が公開されなくなるということも、絶対にないとは言い切れないのです。また、キーワードアドバイスツールを元にSEOやSEMを展開していた方なら、キーワードアドバイスツールを参考にすれば100%うまくいくというものではないことも、経験上ご存じかと思います。
今後Webマーケティングで生き残るために、質の高い自前データベースの構築は必須のものとなるはずです。その実現に必要なのは、アクセス解析を読み解く力と、大量のオリジナルコンテンツです。
企業Webサイトは、自社の分野に関する記事を、大量の語彙を用いてひたすら書くことで伸びるはずです。
キーワードアドバイスツールのような便利なものがあると、どうしてもこうした地道な作業を怠ってしまいがちですが、SEO、リスティング、アクセス解析を駆使して自社のマーケティングデータベースを構築すれば、結果としてこれらの施策で一歩抜きん出ることができるのです。
実は以前より、賢いクライアントは皆これを行なっていました。上のような取り組みをされている企業で、収益性の思わしくない会社を私は知りません。血の通った、実践に基づくデータの収集を心がけるべきでしょう。
毎日順位を取るのが面倒であれば、自動で順位を計測してくれる便利なツールもあります。しかし、こうしたツールが教えてくれるのはそのサイトの順位だけです。他サイトの順位や、リスティング広告の出稿状況までは教えてくれません。
誰もが利用するツールに頼るだけではなく、便利になりつつあるからこそ、逆に手作業で毎日順位をチェックするのも、私はアリだと思うのです。
不便だと感じることを便利にするのはビジネスの基本ですが、人が便利にしていることをわざと不便にやってみるのも、ヒントが得られる面白い取り組みです。
■楽しみながらやるのが成功の秘訣
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Googleで「小野真弓」を検索した結果。関連用語との組み合わせが提示されるほか、Googleニュースの見出し、YouTubeの動画サムネイルなども表示される
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Googleの検索結果表示画面が、ひと昔前より賑やかになっています。
動画のプレビュー付きでYouTubeの検索結果が表示されたり、Googleニュースの検索結果が合わせて表示されるようになりました。
数年前に写真集のプロモーションサイトを流行らせるため、画像検索のSEOを請け負ったことがありますが、動画に対するSEOもこれから盛んになってくるでしょう。
そしてGoogleニュースの露出度の高まりから、プレスリリースの配信も今まで以上に重要なプロモーション手法となりそうです。
会社が大きくなると、情報を隠すという意味で逆にプレスリリースを打たなくなるケースもありますが、プレスリリースで電話をかけてくる人というのはコアな客層なので、意外と良いご縁が生まれることもあり、おすすめです。
ここまでテクノロジーが進歩すると今さら新聞なんてとらなくても、とは思いますが逆方向の流れとして、AdWordsから新聞広告が打てるような仕組みがアメリカ本国で確立されました。
検索一本から始まったGoogleですが、これほどの多面展開をし出すと、SEO業者としても追い付くのは大変です。
私はこういったサービスを1つ1つ自分で利用してみて、Googleと遊ぶ感覚で働いています。検索エンジンで遊ぶのが楽しいから、いつの間にか仕事になっていた、というのが本当のところです。
これからもGoogleは様々なサービスを、並みの学習では追いつけないほどのスピードでリリースしてくるでしょう。楽しみながらやるのが、成功の秘訣です。
(2007/08/29)
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田村昌士(たむら・まさし)
SEOコンサルタント。PC向け、モバイル向け共に、SEO対策研究の先駆者として活躍。著書に「プロとして恥ずかしくないWEBデザインの大原則
-改訂版-」(共著)等がある。SEO対策の専門家として今まで数多くの企業にソリューションを提供。モバイルSEOは2004年から研究を開始。
(プロフィール最終更新:2009/04/09)
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