特別企画
無線LANルータは「速度キャパシティ(収容能力)」で選ぶ!
たくさんつないでもやっぱり速かった!
4x4対応11ac無線LANルータ「Aterm WG2600HP」の「収容力」をスマホ4台同時通信でチェック
(2015/11/20)
1733Mbpsもあっても宝の持ち腐れ? 否、無線LANルータのハイエンドモデルに多く見られる4ストリームMIMO対応の高速モデルは、その高い速度を「速度キャパシティ(収容能力)」として活かすことができる。NECプラットフォームズのAtermシリーズを使って、複数台の端末で同時接続した際の実力を検証してみた。
PC、スマホ、タブレット、テレビ..あなたの無線LANルータは耐えられているか
あなたの家庭では、現在、どれくらいの端末が無線LANにつながっているだろうか?
共用のPC1台に、家族4人分のスマホ、リビングのタブレットに、テレビ、ゲーム機・・・・・・。ざっと数えても6〜7台、もしかすると10台近い台数の機器がネットワーク、つまり家庭内に設置してある無線LANルータに接続されているのではないだろうか?
あらためて考えてみると、思った以上にたくさんの機器が無線LANを利用していることに驚かされるが、ちょっと、ここで考えてみて欲しい。端末1台あたり、それぞれ十分な通信速度が確保されているか? と。
家庭における無線LAN機器は年々増えていっているはず。気づいたらルータの帯域を圧迫しているかも……
「ウチの無線LANは、確かに古いけど、450Mbpsとかあったはずだから十分・・・・・・」、などと考えているのであれば、もう一度、よく端末ごとの速度を考えてみるべきだ。
普段、無線LANを使ってインターネットに接続しているときは、PCもスマホもテレビも一見同時に通信しているように感じるが、実は無線LANは各端末が1台ずつ交代で使っている。たとえば、PCでWebページの表示を開始したとしよう。PCがデータのやり取りを開始すると、他の端末はPCの通信を邪魔しないように通信を待機する。でないと、複数の電波が干渉してうまく通信できなくなってしまうからだ。
このため、例えば10台の端末が一斉に通信しようとすると、いくら無線LANの通信速度が高速でも、実質的に使える帯域は1/10ほどになってしまう。例えるなら10秒の通信を1台で占有するのと、10台で1秒ずつ使うのとの違いだ。
もちろん、これは理論値での計算で、実際の家庭では離れた部屋と壁を越えて通信しなければならない。プロバイダーなどからレンタルしている無線LANルータを使っている場合、古い機種だと最大450Mbpsまたは300MbpsのIEEE802.11n対応の製品を使っているケースがよくあるが、仮に無線LANの実効速度を理論値(例:450Mbps)の半分程度とすれば、1台で200Mbps前後、10台の端末が同時に通信するような過酷な環境での実効速度は20Mbps以下になることも珍しくない。
今時のスマートフォンは、LTEでも実効で20Mbpsを超えて通信できる場合も多いだけに、自宅の無線LANがそれより遅いなどという状況ではパケット通信量節約以外のメリットがない。わざわざ無線LANに接続しても、むしろ、アプリのダウンロードに時間がかかったり、動画が途切れ途切れになることが増えたら意味がないだろう。
何だかスマホが遅いなぁ、と感じたら、もしかすると自宅の無線LAN環境が混雑に耐えきれなくなっているのかもしれない。
多数の無線LAN機器を共存させるには、無線LANルータの収容能力が重要だ
親機のキャパシティの違いで実際にどれくらい速度が変わるのか?
では、具体的にどのように通信環境を改善すればいいのだろうか?
端末の台数が減ることは考えにくい以上、親機となる無線LANルータ側のキャパシティを上げるのが効率的だ。
現状の無線LANルータは、IEEE802.11acという規格に対応した製品が主流となっており、その中でも、最大433Mbpsの1ストリーム(1×1)対応機、最大867Mbpsの2ストリーム(2×2)対応機、最大1300Mbpsの3ストリーム(3×3)対応機、最大1733Mbpsの4ストリーム(4×4)対応機が存在する。
WG2600HP |
WG1800HP2 |
WG1200HP |
WF800HP |
|
---|---|---|---|---|
ストリーム数 | 4 | 3 | 2 | 1(2.4GHz帯は2) |
アンテナ数(5GHz帯x2.4GHz帯) | 4x4 | 3x3 | 2x2 | 1x1 |
伝送速度(5GHz帯+2.4GHz帯) | 1733Mbps+800Mbps※ | 1300Mbps+450Mbps | 867Mbps+300Mbps | 433Mbps+300Mbps |
WANポート | 1000Mbps | 1000Mbps | 1000Mbps | 100Mbps |
LANポート | 1000Mbps | 1000Mbps | 1000Mbps | 100Mbps |
LANポート数 | 4 | 4 | 3 | 3 |
USBポート | ○ (USB3.0) |
○ (USB2.0) |
- | - |
MU-MIMO | ○ | - | - | - |
ビームフォーミング | ○ | - | ○ | - |
実売価格 | 19220円 | 12740円 | 8080円 | 3750円 |
※11nを800Mbpsで通信する場合は子機がデジタル変調方式の256QAMに対応している必要があります。
このため、例えば最も高速な1733Mbpsのモデルを利用すれば、仮に10台の端末で同時に通信したとしても単純計算で1台あたり173.3Mbpsの速度が得られることになる。
もちろん、単純計算だけでは判断できないので、実際に速度を測定してみたのが以下のグラフだ。専用のテストルームを利用し、2.5m離れた地点から4台のスマートフォンを使って、Aterm WF800HP(433Mbps/1ストリーム)、Aterm WG1200HP(867Mbps/2ストリーム)、Aterm WG1800HP2(1300Mbps/3ストリーム)、Aterm WG2600HP(1733Mbps/4ストリーム)の各親機に対して通信(iPerfによる速度テスト)した際の速度を記録した。
今回の測定環境
無線LANクライアント | 計 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
11ac 2x2 | 11ac 1x1 | ||||||
Galaxy S6 | Nexus 6 | Xperia Z4 | Galaxy S4 | ||||
無線 LAN ルータ |
4台 同時 通信 |
WG2600HP | 141 | 122 | 145 | 60.8 | 468.8 |
WG1800HP2 | 102 | 92.3 | 104 | 109 | 407.3 | ||
WG1200HP | 71.1 | 65.7 | 71.8 | 89.3 | 297.9 | ||
WF800HP | 20.2 | 20.4 | 23.1 | 21.1 | 84.8 | ||
3台 同時 通信 |
WG2600HP | 212 | 154 | 158 | 524 | ||
WG1800HP2 | 161 | 132 | 174 | 467 | |||
WG1200HP | 103 | 115 | 110 | 328 | |||
WF800HP | 22.4 | 24.7 | 25.1 | 72.2 | |||
2台 同時 通信 |
WG2600HP | 327 | 205 | 532 | |||
WG1800HP2 | 250 | 245 | 495 | ||||
WG1200HP | 169 | 164 | 333 | ||||
WF800HP | 37.6 | 40.1 | 77.7 | ||||
1台 ずつ 通信 |
WG2600HP | 525 | 312 | 295 | 281 | - | |
WG1800HP2 | 460 | 332 | 312 | 274 | - | ||
WG1200HP | 409 | 301 | 286 | 220 | - | ||
WF800HP | 65.2 | 95.8 | 94.5 | 89.6 | - |
まずは、各親機に対して1台のみで接続した場合の値に注目したい(下記「グラフ1」参照)。Galaxy S6は2ストリーム対応の最大867Mbpsの無線LANに対応したスマートフォンとなるため、最大1733Mbps対応のAterm WG2600HPや最大1300Mbps対応のAterm WG1800HP2に接続しても最大速度は867Mbpsまでとなるが、同じ867Mbps対応のAterm1200HPに接続したときの409Mbpsよりも、Aterm WG1800HP2のときの460Mbpsの方が高く、さらにAterm WG2600HPのときの方が525Mbpsとさらに高い。
2ストリームの最大867Mbpsで通信するには2本のアンテナが必要になるが、Aterm WG2600HPには4本、Aterm WG1800HP2には3本と、それよりも多くのアンテナが内蔵されており、より良好な受信状態を保てる。また、上位モデルの方が処理性能が高く、この点も速度に大きく影響する。このため、同じ最大867Mbpsでも、通信状況がより良好なAterm WG2600HPやAterm WG1800HP2の方が高速な結果が得られたことになる。
今回のテストの目的は複数端末を同時に接続したときの速度の違いを検証することだが、1台のみで、しかも親機側の対応速度よりも低い速度の端末を接続したときでも、このように明確な違いが現れたことになる。
単位:Mbps
続いて、本命の同時通信時の速度を見ていこう(下記「グラフ2」参照)。左端の4台同時の部分に注目してほしい。各親機に、Galaxy S6、Nexus 6、Xperia Z4、Galaxy S4(これのみ433Mbps/1ストリーム対応)を接続し、各端末から同時にiPerfによる速度を計測した際の結果だ。
今回のテストではGalaxy S4(黄色部分)のみ1✕1のため60.8Mbpsと値が低くなってしまったが、4ストリーム対応のAterm WG2600HPで、Galaxy S6が141Mbps、Nexus 6が122Mbps、Xperia Z4が145Mbpsと合計468.8Mbpsの速度を計測できた。
子機側が867Mbps対応なのだから(Galaxy S4のみ433Mbps)、それに合わせて同じ最大867Mbps対応の親機Aterm WG1200HPを選んだ場合と比べてみると、そのアドバンテージが明らかになる。
Aterm WG1200HPの場合、Galaxy S6が71.1Mbps、Nexus 6が65.7Mbps、Xperia Z4が71.8Mbps、Galaxy S4が89.3Mbpsと半分程度の速度しか出ていないことになる。親機側のキャパシティ不足で端末側の性能を生かし切れていない印象だ。
3台同時の部分で一部逆転する結果も見られたものの、理論値だけでなく、複数端末を接続したときの実効速度は、基本的に867Mbps対応機よりも1300Mbps対応機、1300Mbps対応機よりも1733Mbps対応機の方が高いことは明らかだ。
単位:Mbps
なお、Aterm WG2600HPの結果だけに注目した場合、2台同時接続の場合は各端末あたりの速度が200〜300Mbpsでトータル532Mbps、3台同時接続の場合は各端末あたりの速度が150〜200Mbpsでトータル524Mbps、4台同時接続では各端末120〜140Mbpsでトータル468.8Mbpsと、台数が増えるに従ってトータルの実効速度が落ちてきている点にも注目したい。
今回のテストは4台までで実行したが、さらに5台、6台、10台となれば、処理の増加によって、さらにトータルの実効速度と各端末が使える速度は少なくなることが予想される。将来的には、Aterm WG2600HPよりも、さらに高速な次世代製品が求められるようになることも考えられるだろう。
単位:Mbps
また、今回のテストは専用のテストルームを利用したが、実際の家庭では壁などの障害物の影響や電波の干渉によって、実効速度はさらに低下する可能性が考えられる。このような影響を考慮して、仮に実際の住宅環境での実効速度が約半分と考えると、4台同時接続の場合の各端末の速度は、Aterm WG2600HPでも60〜70Mbps、Aterm WF800HPでは10Mbpsを切ってしまう。
つまり、現状、IEEE802.11nなどの古い無線LANルータを利用しているような場合は、家族それぞれのスマートフォンが通信すると、数Mbpsと、本当にLTEより無線LANの方が遅いという状況が考えられることになる。常にではないが、動画の読み込みが遅かったり、視聴中にバッファリングが足りなくなったり困るようなことがある場合は、他の端末が同時にアップデートを実行しているなど、複数端末同時通信による影響が出ていることも考慮した方がいい。
もちろん、現在の無線LAN環境を改善できるという意味では、3x3のAterm WG1800HPや2x2のAterm WG1200HPの結果も優秀ではあるが、前述した例は実際の住宅環境での実効速度を「半分」と想定した場合の例となる。
これが、たとえば電波を通しにくい鉄筋コンクリートのマンション、3階建ての戸建てなど複数のフロアをまたがる通信ともなれば、「半分」では済まない可能性もある。仮に1/3でもAterm WG2600HPなら50Mbps、1/5となったとしても30Mbpsは確保できる。高速な無線LANルータを選ぶメリットはここにある。
実際の環境を想定すると、接続する端末の台数が4台以上なら、迷わずAterm WG2600HPのようなハイエンドモデルを選ぶべきだ。
Aterm WG2600HPなら家庭の多数の無線LAN機器を余裕で「収容」できる
実はリーズナブルな価格のハイエンドモデル
とは言え、実際に無線LANルータを購入するとなると、どうしても費用が気になってくる。ハイエンドモデルがいいということは理解していても、そこまで費用を捻出できないケースも少なくない。
こういったハイエンドモデルはメーカーによっては2万円以上、ともすれば3万円を超えるようなことも少なくないが、今回、テストに使用したNECプラットフォームズのAterm WG2600HPは実売で2万円を切るリーズナブルな価格設定がなされている。
また、ハイエンドモデルは、ニッチなマニア層を狙った製品が多く、サイズが大きかったり、調整が必要な外付けアンテナが搭載されていたりと、一般ユーザーが手を出しにくい製品も少なくないが、Aterm WG2600HPは、小型でどこにでも設置可能。さらにアンテナ内蔵でスッキリしているうえ、アンテナの調整も不要となっている。
コンパクトで置き場所を選ばないAterm WG2600HP
言うなれば、万人向けのハイエンドモデルで、設定もしやすく誰にでも扱える製品となっている。
前述したように、もはやスマートフォンを中心に複数台の端末を接続することが多いだけに、一般ユーザーでもハイエンドモデルを選ぶメリットがあるが、手が出なかったり、使いこなせないのではないかと心配している人も多いはずだ。そういった意味では、今回取り上げたAterm WG2600HPは、誰にでもお勧めできる最適な製品と言えそうだ。
関連情報
- Aterm 製品情報サイト
- http://121ware.com/product/atermstation/
- Aterm WG2600HP 製品情報
- http://121ware.com/product/atermstation/product/warpstar/wg2600hp/