特別企画:子供とPC

なぜ子供にプログラミングをさせたいのか?

保護者の本音と「プログラミング教育」の意義

保護者間に流行する“プログラミング”という習い事

保護者のあいだで高まるプログラミング教育の機運。なぜ?

子どもたちの習い事として、「プログラミング」が流行中だ。子供、保護者、ともにプログラミングに対する関心が高まっているようだ。

子供を持つ保護者を対象にしたイー・ラーニング研究所の「年末年始の習い事アンケート」(2017年1月)によると、「2016年、保護者間で話題になった習い事はありますか」という質問に対し、35%が「はい」と回答。話題になった習い事の3位に「プログラミング教室」がランクインした。

なお、「なぜその習い事をさせたいのですか(させる予定なのですか)」という質問に対しては、「将来のためになると思ったから」がトップ。続いて、「本人が希望したから」「受験のため」などとなっていた。実際にさせた習い事としてはまだ少数派だが、将来必要となるスキルを身に着けさせたいという思いが動機づけとなっているようだ。

子どもがいる親世代に聞いた「年末年始の習い事アンケート」2017年、子どもにさせたい習い事、第1位は「プログラミング教室」スマートフォン・タブレットを使用した学習教材も人気上昇!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000038.000013831.html

取材で得た保護者の本音と共に、筆者が考えるプログラミング教育の意義と、家庭でできる環境づくりについてお伝えしていきたい。

受け身でなく主体的になれるプログラミング

筆者の子供は小学1年生だが、自宅でプログラミングゲームで勉強中だ。筆者自身はプログラミングの知識や経験はないのだが、仕事上様々な情報が入ってくるので、前から子供にさせてみたいと考えていた。何よりも、自分が子供の頃に手軽にゲームでプログラミングを学べるツールがあったなら、絶対にやってみたかった……と思うからだ。

余談だが、子供が未就学児の頃、騒がしくしてほしくない時についスマホゲームをさせたところ、中毒のようにはまってしまったことがある。子供には中毒性が高すぎると感じ、ゲームはアンインストールしてしまった。それ以来、子供は「ゲームがしたい」と言うが、まだ利用がコントロールできないと思い、使わせないでいたのだ。

代わりに、7歳になったのを機に、Webブラウザー上で操作できるプログラミングゲームをさせてみた。やってみて良かった点は、スマホゲームのように単に受け身でいるだけでなく、自分で考えなければならないためか、適度な遊び方になっていることだ。時間があるときには子供の方から積極的に「やろうよ!」と言ってくるので、PCを開いて一緒にゲームをする。頭を使うので疲れるのか、ある程度解いて満足すると、子供の方から「ここまでにしよう」と言ってくる。パズルのように試行錯誤を楽しんでいるようだ。

パソコンで楽しくプログラミングを学べるゲーム「コードモンキー」

ゲームの推奨年齢は9歳以上であり、子供が一人でやるのはまだ難しい。そこで親も一緒に考えながらやるので、こちらも自然とプログラミングの知識が身につき、一緒に楽しめる。子供はPCをかなり使いこなすようになっており、ほとんど一人でクリアできるまでになっている。非常に気に入っているようなので、すべてをクリアしたら次のプログラミングツールを渡そうと考えている。

なぜ保護者はプログラミング教育に興味を持つのか?

筆者は様々なプログラミング教室取材に行っている。驚いたことに、小学生を対象として開催されても、応募者の半数近くを未就学児が占めるという。たとえばプログラミングツールのScratchは対象年齢は8歳からだし、レゴ・マインドストームは対象年齢は10歳からだが、実際は未就学児からの参加希望も非常に多いのだ。「無料体験会」ともなると、開始時間から数時間もせずに募集人数が埋まってしまい、相当数の参加をお断りしなければならないそうだ。

当然、アルファベットも書けず、キーボードも打てない状態で来る子供たちがほとんどだ。未就学児では、まだまともに座って話を聞いた経験がない子も多いだろう。ところが、プログラミングが始まると、子供たちは集中して黙々と作り始める。おしゃべりしたり、違うことをしてしまう子はいない。作業が終わってお互いの作ったものを見るときにこそ笑い声やおしゃべりが飛び交うが、にぎやかなのはその時くらい。それ以外のときは、年齢を考えると驚くほど集中している。

付添いの保護者たちにもインタビューしたが、子供たちが昼ごはんを食べることも忘れて夢中になることに一様に驚いていた。子供が「帰宅後もやりたいと言っていた」という話は複数の保護者が話しており、子供と保護者の満足度が非常に高いことを感じた。

プログラミングを習わせる理由について聞くと、ある保護者は、「できて損のないスキル」、「これからの時代に必要と考えて決めた」、「習い事で集中力と理系的考え方を身に着けさせたい。子供達は自分が作ったものが動くと嬉しいし、年上の子たちはうまいのでそれが刺激になるのもいい」などと答えていた。

またある保護者は、「テレビで(プログラミングという習い事の)特集をしていて、子供がプログラミングに興味を持った。遊ぶだけでなくゲームが作れるということで、違う視点が得られるかもしれないと思った」と答えている。別の保護者は、「子供がPCを使ったものに興味を持ち、プログラミングをやってみたいという。これからはITの時代だし、将来の可能性が広がると思い、調べて教室を見つけた。体験会が面白かったので参加した」という。

やはり、「将来に役立ちそう」「子供がやりたがる」という理由が多いようだ。米国ではプログラミングができるようになることで仕事の選択肢が増え、高い給与に結びつくといわれ、日本でも、DeNAや楽天などのIT企業が野球チームを持つようになるなど、ITの知識やプログラミングはビジネススキルとして市民権を得た。また、IT系企業の大半が技術者不足を訴えているというのも周知となっている。「プログラミングの知識や技術を身につけることは、子供にとって絶対にマイナスにならない」と考える保護者が増えているのも納得だろう。

IT系の仕事に従事している保護者もいるが、実はごく一部で、「プログラミングについて子供に聞かれても自分はわからないので習いに来た」など、自分は分からないが子供にはさせたいと考える保護者が大半だった。

PCがあることで子どもが得られる体験

最近は、PCがない家庭が増えていると聞く。しかし、スマートフォンだけではできることは限られる。いつでもどこでも使えたり、豊富な学習アプリが用意されているという点ではスマホは便利だ。しかし、特に子供が使う場合は、動画視聴やSNS、スマホゲームなど、「受け身」の体験になることが多いだろう。

スマートフォンはどうしても使い方が受け身になりがち

一方PCならば、プログラミングのように自分で考えてものを作る体験ができ、主体的にできることの幅も広がる。一般的にスマホはコンテンツの消費には向いているが、コンテンツを生み出すためにはPCが適役なので、それを使いこなせるようになる意味は大きい。

大学生などに取材をすると、多くの人がほとんどスマホしか使わないという。スマホのメール機能さえもほとんど使ったことがないという人もいる。ある大学生は、企業にインターンを申し込んだ際、先方に「こんなメールを送るような学生はうちでは受け入れられない」と断られてしまった。PCメールのマナーを知らず、件名を付けない、名乗りもしないなど、失礼なメールを送ってしまったためだ。

実社会に出るとPCの利用は必須となるが、PCを使った経験がなく必要なリテラシーを身につけられていない子は少なくない。その意味でも、家庭にPCがあることには意義があるだろう。

スマートフォンは子供のコミュニケーション力を高めて……いない?
PCで育む、子供のテキストコミュニケーション能力
http://pc.watch.impress.co.jp/topics/wdlc1611/01.html

PCを子どもに渡す前にしたい設定、ルールとは

プログラミングをさせるなら、やはりPCを用意したい。Webブラウザーがあれば使えるWebアプリもあるが、動作が不完全だったり遅かったりすることも多い。また、プログラミングには基本的にキーボードが必須だ。その意味でもPCが使いやすい。プログラミング教室などはノートPCが必要なこともあるし、自宅でも学習することを考えると、持ち運びができるノートPCがいいだろう。

PCが身近にあることで、子供のできることの幅は大幅に広がる。しかし、PCを使うということは、ある程度自由にインターネットを利用できるということでもあり、危険に対する対処も必要となってくる。その際、必ず用意したいのが、ウイルス対策とフィルタリングサービス、ペアレンタルコントロールサービスなどだ。

フィルタリングサービスは子供が誤って有害サイトや違法サイトにアクセスすることを防いでくれるものだ。Windows 10なら標準の「ファミリー機能」でWebページの制限がかけられるほか、市販の「i-フィルター」などあらかじめ有害サイトをリストアップしてあるサードパーティー製ソフトもあるので、ぜひ導入しておきたい。ウイルス対策のセキュリティソフトは、Windows 10に「Windows Defender」が標準で付属するが、必要に応じてサードパーティー製のものも検討していこう。

Windows 10の標準機能「ファミリー機能」を使えば、Webサイトのアクセス制限など様々なペアレンタルコントロールが行える

Windows 10のファミリー機能について詳しくはこちら
http://pc.watch.impress.co.jp/topics/wdlc1611/03.html

もちろん、上記の設定をするだけで危険に遭わなくなるわけではない。子供が小さいうちは必ず保護者と使ったり、居間に置いて保護者が目の届く範囲で使わせるようにしよう。本格的に利用し始める前に、個人情報は公開しない、他人を傷つけるようなことは書かない、ネットで知り合った人とは会わないなどの最低限のルールは決めておこう。ネットデビューは子供にとって楽しいが、危険がいっぱいだ。ぜひ保護者も一緒に使いながら、危険についての正しい知識を教えていくようにしてほしい。

WDLC(Windows Digital Lifestyle Consortium)では、お子様へのパソコン訴求を強化するための長期的活動を行っています。詳しくは「My First PC」をご覧ください。