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【イベントレポート】

――インターネットFAXの標準化作業が進む

インターネットFAX研究会特別講演会実施

 

■URL
http://www.ifax.or.jp/ (インターネットFAX研究会)
http://www.imc.org/ietf-fax/ (IETF I-FAX)
http://www.imc.org/imc-faxconnect/ (IMC FaxConnect 2)

james氏 22日、都内ホテルにてインターネットFAX研究会主催による「第3回特別講演会」が実施された。講演には、東京工業大学講師大野浩之氏らのほか、特別招待講演の講師として、IETF(Internet Engineering Task Force) I-FAX WG議長James Rafferty氏(写真)が登場した。

 インターネットFAX研究会は、インターネット技術とFAX技術の融合/普及を目的として'97年6月に発足した研究会。FAXメーカーやインターネット関連の技術者が参加している。現在、通常のFAX同士をIPで接続する「インターネット電話」形式のモデルのほか、電子メールとFAXのやりとりを可能にする「Simple Mode」の研究などを主に進めている。

 最初に登場した大野氏は、インターネットFAX研究会の会長を務めている。講演は「インターネットFAXの相互接続性の現状と今後」をテーマに進められた。インターネットFAXの標準化については、'98年3月にIETFでまとめられたインターネットFAXに関する規格「RFC2305」が、そのままITU(国際電気通信連合)において「T.37」として取り込まれている。これについて同氏は「IETFとITUの協調路線の先駆となったできごと」としている。

 続いて、'98年12月に米国で実施されたインターネットFAX関連機器の相互接続性実験「FAX Connect 1」を紹介した。実験は、IMC(Internet Mail Consortium)により実施されたもので、各国の17組織が参加して実験が行なわれた。国内からは、キヤノン、松下電送、リコー、KDD、WIDEプロジェクトなどが参加した。会場では、WIDEプロジェクトはPC UNIX上で稼働するインターネットFAXパッケージ「WIDE IFax」を、ミニノートパソコン「リブレット」とキヤノンのプリンターを使ってデモを行なったとのこと。今後の実験は'99年5月に米国で「FAX Connect 2」として開催される予定で、主に拡張機能についての相互接続性実験が行なわれる。大野氏は、「第3回目は、(インターネットFAXの研究が進んでいる)日本で是非開催したい」としている。

 James Rafferty氏は、特別招待講演の前に報道機関を対象に会見を行なった。同氏は「(標準の策定について)IETFとITUで過去にないほどの協調がとれたことは、うれしい出来事だ」と語った。ちなみにI-FAX WG前議長で第1回特別講演会に登場したDave Crocker氏は、「インターネットFAXの標準化を進めるには、標準案策定までの手順が違う(ITUとIETFの)双方が妥協して案を固めていく必要がある」と語っていた('97年11月7日号参照)。

 また、今後のスケジュールとしては、'99年春には、カラーデータなどの送受信が可能な「Full Mode(別名:Expanded Mode)」の標準案を提出することを明かにし、「'99年終わりまでにはFull Modeをサポートする製品が出てくるだろう」としている。

 特別招待講演では、会見で語られた内容のほか、標準化までの道のり、技術の背景などが語られた。同氏は、最後に「FAXも電子メールも多くの経験を通して強力なコンセプトの上に標準として進化してきたもの。これからのコミュニケーションの新しい波は、こういった経験の上に成り立つものなのだ」と語った。

('99/2/22)

[Reported by okiyama@impress.co.jp]


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