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【RealNetworks Conferenceレポート】

ダウンロードメディアを強調
Rob Glaser氏基調講演

■URL
http://www.real.com/conference/index.html

Rob Glaser  RealNetworks社によるイベント「RealNetworks Conference & Exhibition(RealNetworks Conference)」が5日、San Franciscoで始まった。

 RealNetworks Conferenceは、RealNetworks社CEOのRob Glaser氏による基調講演で幕を開いた。同氏はまず、RealSystemによるストリーム放送が急激に増えていることを示し、そのブレイクスルーとして「出産中継」と「クリントン大統領の証言ビデオ」を紹介した。同氏によると、現在6,100万のユーザーが登録されており、毎日100万セッションの利用があるという。


●ダウンロードメディアを打ち出す

RealJukebox
RealJukeboxの紹介
Lyra
携帯音楽プレイヤー「Lyra」
 こうした状況を背景に、Glaser氏は、デジタル配信(デジタルコンテンツのダウンロード)の重要性を強調した。従来のメディアでは放送とパッケージは全く違うものだったが、インターネットではストリーミングとデジタル配信は近づく。音楽を例にとると、CDのオンライン購入は1998年で1億4,000万ドルの市場であり、試聴用ダウンロードも“MP3現象”で普及した。「CDからのエンコーディングが新しい市場になる」と同氏は主張する。

 その戦略の具体例として、3日に発表された「RealJukebox」が紹介された(本誌5月4日号参照)。同氏によると、RealJukeboxは「PCを、音楽を体験するための最高の手段にする」ものだという。

 同社コンシューマー製品部門担当副社長のDave Richards氏によるデモでは、CDを再生しているバックで、それとは独立してすばやくエンコーディングが進んでいく様子が紹介された。さらに、ライブラリーをジャンルやアーティストごとに検索し、そこからドラッグ&ドロップしてプレイリストを作ってみせた。このほか「Get Music」機能として、曲のダウンロードや検索、CD購入のリンクが紹介された。

 RealJukeboxはPCだけで完結するものではない。Richards氏は今年中に発売される予定の、RCAの携帯音楽プレイヤー「Lyra」を紹介。PCにメモリーカードを差し、RealJukebox上の操作で曲を転送、実際にLyraで再生してみせた。

 こうした一連の技術は「RealSystem MP」と呼ばれ、携帯機器やユーザーのPC、音楽提供者、CDDBなど音楽情報やEコマースなどを含むオープンなアーキテクチャーとして考えられている(本誌5月4日号参照)。

 従来RealNetworksではストリーム配信を中心にすえていたわけだが、RealSystem MPやReal Jukeboxではデジタル配信を取り込む方向へ戦略を転換している。Glaser氏も再三“MP3現象”や、エンドユーザーへの普及に欠かせないものとして携帯プレイヤーに言及している。一方で、この分野での競合会社であるMicrosoftも4月、音楽配信技術「Windows Media Technologies」(本誌4月14日号参照)を発表している。もはやインターネットによる音楽配信はコンピュータ業界だけでなく、音楽業界や家電業界までを巻き込んで加速してきていると言えそうだ。

・RealJukebox
http://www.real.com/products/realjukebox/
・Lyra発表資料
http://www.real.com/company/pressroom/pr/99/thomson.html
・RealSystem MP発表資料
http://www.real.com/company/pressroom/pr/99/realsysmp.html
・CDDB発表資料
http://www.real.com/company/pressroom/pr/99/cddbint.html


●サーバーやクライアントの新製品を発表

RealGuide
RealGuideの紹介
デモムービー
RealText 3Dのデモ 
 Glaser氏は、今後の新製品として「Advertising Application」「RealServer G2 6.1」「Real Proxy」を発表した。Advertising Applicationは、ストリーム放送の中に任意の広告ビデオを挟むもの。β版が公開されているほか、RealServer G2 6.1でもサポートされる。RealServer G2 6.1は、ISP Hosting、SureStreamの拡張、マルチプロセッサ対応が特徴となっている。Real ProxyはInktomi社との共同開発によるもので、同じ方向のストリームを一つにまとめることにより、回線の輻輳を避け、高品質な映像を提供できるという。

 また、今回のイベントに合わせて発表された「RealPlayer G2 Update 2 for Windows」と「RealPlayer final release for Macintosh」も紹介した。主にMP3対応が特徴で、MP3のダウンロードとストリーム、プレイリストに対応している(本誌別記事参照)。なお、RealPlayer final release for Macintoshの名前が挙がったときには、会場から盛大な拍手が起こった。

 Intelとの共同開発による「RealText 3D」もデモされた。今までのRealTextと同じようなフォーマットによる記述で、文字を3D表示し、回転させたり踊るような動きをさせることができるという。RealPlayer G2用のRealText 3Dプラグインもすでに公開されている(本誌別記事参照)。

 このほか、次世代RealPlayerの開発者向けリリースが紹介された。このバージョンでは、URL location barやforward/backボタンが付くほか、ホームページならぬ“ホームクリップ”を設定できるなど、Webブラウザーに似たものとなるという。

 また、現在進行中の「Project Janus」も紹介された。現在、インターネット上ではテキストは検索できてもAVコンテンツを検索するのは難しい。そこで、コンテンツにカテゴリーを付けて埋め込み、さらにRealNetworksのデータベースにWebから登録できるようにするという。

・Advertising Application
http://www.real.com/solutions/update/advertising.html
・RealServer G2 6.1
http://www.real.com/solutions/update/g2-61.html
・Real Proxy
http://www.real.com/solutions/update/realproxy.html
・RealPlayer G2 Update 2 for Windows/final release for Macintosh発表資料
http://www.real.com/company/pressroom/pr/99/g2u2.html
・RealText 3D発表資料
http://www.real.com/company/pressroom/pr/99/intel.html
・RealPlayer Developer's Alpha, RNC '99 Edition
http://www.real.com/devzone/devalpha/index.html
・RealProducer G2 v6.1 developer's release(Project Janus)
http://www.real.com/devzone/devalpha/janus.html


●ストリームとデジタル配信の未来像

 これからのビジョンとしては、ストリーム、キャッシュ、デジタル配信を統合した「Integrated Media Delivery(IMD)」、マルチメディア化されたパーソナライズ、Broadband(広帯域接続)の3点を挙げた。IMDのためには、転送や記憶装置などに関する新技術、クリエーターと権利者などの権利関係の新モデル、IPベースの音楽機器の普及などが必要という。さらに「なぜ音楽からやるか」については、(ビデオより)容量が小さく、ディスプレイが不要で、すでに普及が始まっていることを挙げた。

 最後にGlaser氏は、インターネットは「次のマスメディア」であり「最高のマスメディア」であるとまとめて講演を終えた。

('99/5/6)

[Reported by masaka@impress.co.jp]


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