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【イベントレポート】

Streaming Media East '99レポート
Webキャスト分野で初のASP登場

■URL
http://www.streamingmedia.net/streamingmedia/ (Streaming Media East '99)

会場の様子
会場の様子

 ストリーミング・メディアに関するカンファレンス「Streaming Media East '99」がニューヨークのホテルで6月29~30日の2日間にわたり開催され、総計100名以上を越える講演者により50以上のパネルディスカッションが行なわれた。First Conferences主催による同会議では、ビデオ検索ソフトウエア企業のVirageやExcalibur Technologies、FasTV、Webキャスト・プロダクション機器を開発するPLAY、Webキャスト分野での初のASP、Javu Technologies、またEncording.comを始めとする多様なエンコーディングサービス企業の展示ブースに人気が集まり、ストリーミングメディアがいよいよ実用段階に来たことを感じさせる会議となった。



●60%が広告主の情報をクリック

 同会議の初日、Webキャストの視聴者は既存のTVやラジオの視聴者と視聴のしかたが大きく異なっているという最新調査が発表された。Arbitron NewMedia/Northstar Interactiveが行なった同調査によると、Webキャスト視聴者の70%がオーディオやビデオを視聴している際にコンテンツ情報をクリックし、60%が広告主の情報をクリックし、49%が製品を購入していることが明らかになった。Webキャストの視聴者はただコンテンツを受信しているだけではなく、より双方向性を求めて広告やE-commerceに積極的に関わっていることが伺える。

 同社のGreg Verdino副社長は同会議で「Webキャストの視聴者にとっては、広告は別に敬遠するものではない。ストリーミングTVやラジオ番組は、オンラインストアにとって効果的なメディア広告とE-commerceの新たなプラットフォームになる」と語った。

 また、ストリーミングメディアへアクセスする場所としてもっとも多かったのが「家庭」で、63%と予測を大きく上回り、「オフィス」からのアクセスは47%、「学校や図書館」からのアクセスは6%、「その他」が2%という結果になった。アクセス数は、全体の4分の3が「週に1回程度」、3分の1は「毎日」という結果が出た。コンテンツの種類は、77%の視聴者が「音楽」、次が「ニュース」だった。

 さらに、「もし、モバイルデバイスでストリーミングメディア番組が視聴できるようになれば、もっと視聴したいですか」との質問に「はい」と答えた回答者は全体の4分の3に上り、PDAでのWebキャストのニーズが大きく高まっていることが浮き彫りになった。

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・ストリームは広告に有効~米調査会社の報告(6/30)
/www/article/1999/0630/str.htm


●ビデオ検索のVirageが新サービス

 また、ビデオ検索ソフトウエア開発の大手Virageは、メディアおよびエンターテイメント企業、ビジネス顧客に対する包括的なWebキャスト・アウトソーシング・サービス「Virage Interactive」を発表した。同サービスはビデオ・キャプチャリング、エンコーディング、ビデオ目録作成、ホスティングという包括的なリアルタイムWebキャスト・ソリューションを提供する。これにより、視聴者はインターネットを通してニュース番組や連続ドラマへリアルタイムにアクセスできるようになり、視聴者の番組への支持率が一層高まることが期待される。最初の顧客はABCNEWS.com、CNET、C-SPANとなる。

 Virageのビデオ検索エンジンは、ビデオから集められる「メタデータ」をHTMLやXMLのようなデータタイプに変換することで、Webでのビデオ検索を可能にする。昨年9月に公開された、AltaVistaによるクリントン大統領の不倫疑惑証言ビデオ検索サービスにもVirageのソフトウエアが使用されており、ユーザーはキーワードを入力するとそのキーワードに関連した部分のビデオを観ることができる。同社は現在、バイオメトリクス数社と提携し、顔やその他の身体的特徴でも検索できるようなシステムの開発に取り組んでいるという。


●Webキャスト分野で初のASP登場

 昨年に設立されたシリコンアレー企業、Javu Technologiesは、Webキャスト分野では初めてとなるアプリケーション・サービス・プロバイダー(ASP)サービス「VideoFarm.com」を発表した。ユーザーは毎月89ドルで1GBのサーバースペース、ビデオ・キャプチャリング、ビデオ編集、エンコーディング、ホスティングサービスを得ることができる。これにより、Webキャストに必要なビデオ編集ソフトウエア、エンコーダ、ストリーミングサーバ、データストレージ、さらにソフトウエアのアップグレードやハードウエア管理費などは一切必要がなくなり、大幅なコスト削減が図れる。

 オリジナルのビデオイメージは、Webを通してアップロードするか、VHSなどのビデオテープを同社に郵送すれば、同社が無料でイメージをデジタル化してくれる。その後はインターネットを通してズームやフィルタ、キャプションやオーディオ挿入などのビデオ編集を行ない、それが終われば同社がエンコーディングやサーバホスティングを行なってくれる。

 ビデオフォーマットはMPEG-1/2、MJPEG、AVI、QuickTime、画像はBMP、JPEG、GIF、TIFF、PCX、オーディオはMP3、AU、AIF、WAVをサポート。同サービスは、コーネル大学のコンピュータ・サイエンス学部で開発されたネットワークメディア管理技術「JavuNetwork」をベースにしている。

Web上でビデオ編集ができる   ビデオクリップのアップロード、管理
Web上でビデオ編集ができる   ビデオクリップのアップロード、管理

GlobeCaster
GlobeCaster

 その他、衛星を使用した高速データキャスティングサービス企業SkyCacheが2回目の投資ラウンドで、Carlyle Venture Partners、Intel、Institutional Venture Partners (IVP) 、New Enterprise Associates (NEA) の4社から合計2,000万ドルを獲得したことを発表した。同社は、衛星を通してビデオやオーディオなどの大容量ファイルをISPに送信することでWebトラフィックを緩和するソリューションをISPに対して提供している。

 また、PLAYは、新たなWebキャスティング装置「GlobeCaster」(7,495ドル)を参考出展しており、人気を集めていた。発売は7月中旬以降になり、日本での発売は8月の予定という。


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('99/7/1)

[Reported by HIROKO NAGANO, NY]


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