第2会場も用意された |
以前の見学者用入館証は ピンク色でぺらぺらの紙 だったが今回は デザインされたカード |
午後には、東証ARROWSを使った企業説明会が早くも開催された。その第1号となったのはデータベースソフトの日本オラクルで、同社は4月28日に店頭市場から東証1部市場に上場したばかり。
会社の概要や製品戦略などが説明内容だが、説明開始前に「当社は5月決算のため業績や今後の見通しなどについては明らかにできないタイミングにあり、そのような質問には答えられない」とされた。
まず、説明に立った佐野力代表取締役社長は「外資系企業でありながら日本人による日本人のための日本企業になることを掲げている」と述べた。
業績は1999年5月期までの過去5年で売上高が5倍、営業利益が18倍になっており、先に発表している2000年5月期の予想では売上高が前期比16.4%増の638億円、営業利益が同22.3%増の181億円。このように利益率が高いのは、全製品がインターネットに対応しているなど強力な製品群を有することや、260社以上のビジネスパートナーを通じた間接販売を行なうことで固定費を抑制した販売の拡大が可能なこと、コンサルティングから製品供給、サポートサービスなどシステム構築に関わる包括的なソリューションを提供していることの3点を挙げ、これが特徴でもあり強みだとしている。
また、80年代のメインフレーム主流の時代ではIBMがトップとなり、90年代のクライアント・サーバー主流の時代にはマイクロソフトがトップとなったが、90年代末から2000年以降のインターネット・コンピューティング主流の時代では、それら2社の名前は消え必ずやオラクルがトップとなるとも語った。
佐野社長 |
一通り説明を終えた佐野社長は、取引所内ではあるが他の取材のため途中退席。退席前に質問を受け、そのなかでナスダック・ジャパンへの上場の可能性を聞かれると「東証ARROWSオープンの記念の日にそういったことに答えるのはなかなか難しい面もあるが、重複上場も含めて考えてはいない」と答え否定した。
東証内でのことでもあるし、東証に上場して間もないことから考えても当然の答えといえよう。ただし、「今は」考えていないだけかもしれない。米国ORACLEはNasdaqに上場しており、その代表的な存在でもある。
また、ナスダック・ジャパンに上場を申請したデジタルデザインとは、ミドルウェアを共同開発するなどしており、デジタルデザイン東京支社はベンチャー企業育成の拠点「サンブリッジ・ベンチャーハビタット」にある。サンブリッジは、資金やオフィスなどを提供し、ベンチャー企業が早期に成功を収めることができるよう支援していく企業で、アレン・マイナー代表取締役社長は初代日本オラクル社長、アドバイザリーボードには佐野現社長もメンバーとなっている。
さらに、デジタルデザインの子会社でLinuxマイクロサーバーを手掛けるアクアリウムコンピューターの宮原徹社長兼デジタルデザイン東京支社長も元オラクルの社員。同社のオフィスもデジタルデザインに準じて東京支社はハビタット内にある。
このような状況だと、日本オラクルがナスダック・ジャパンに上場しても何ら不思議ではないかもしれない。しかし、こうした状況、もしくはしがらみや単なるブランドイメージだけで将来ナスダック・ジャパンでの上場を考えて欲しくはない。日本オラクルに限ったことではないが、あくまでも、より円滑で迅速、公正で透明な取引が確保されている市場だからということを念頭において考えて欲しい。
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(2000/5/9)
[Reported by betsui@impress.co.jp]