【音楽配信】

著作権審議会使用料部会による審議結果が明らかに

インターネット音楽著作物使用料、個人利用が年額1,200円程度に

■URL
http://www.jasrac.or.jp/

 文化庁の著作権審議会使用料部会は、2000年9月28日付けで社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)から申請されていた「著作物使用料規定の一部認可申請」についての審議結果を明らかにした。

 「著作物使用料規定の一部認可申請」は、JASRACとネットワーク音楽著作権連絡協議会(NMRC)の間で今年8月に合意に至った「インターネット上での音楽利用に関する著作物使用料」を基に文化庁に申請されたもの。最終合意では、レコード会社による有料配信といった商用サービスと、学校や個人などが無料で配信する場合の音楽著作物使用料などが定められていた。審議は、官報にて公告した申請内容を基に寄せられた関係団体、あるいは個人からの意見を踏まえて進められた。

 商用サービスについては、使用料率(7.7%)も含め、おおよそ「申請どおり認可するように答申することが適当」とされた。しかし、申請では、規定の適用期間を2002年3月31日までとしていたが、その期間中に見直しが図られる可能性は高そうだ。その背景には社団法人日本レコード協会の存在がある。当初JASRACと著作権料規定の交渉にあたっていたNMRCには日本レコード協会も加わっていたが、9月に脱退し独自に交渉を進めていた。日本レコード協会は、JASRAC-NMRC間で発表された「最終合意」を基にした申請に対し、「最大の利用者であるレコード協会との協議を十分に行なわず、音楽著作物の利用者を代表する資格を有していない団体との合意のみにより認可申請を行なったことは手続上問題」として、「パッケージ(CDなど)とダウンロード形式との間で使用料の差異が生じるのはおかしい」「海外でも例は少ない」「配信ビジネスが本格化しておらず時期尚早」といった意見を寄せている。なお、日本レコード協会の提案する使用料率は、パッケージの複製使用料率に準じて「6%以内にするのが合理的」としていた。

 一方、個人による「非商用利用」については、大幅な変更が加えられた。個人利用については特別に利用者団体が存在しないため、8月25日から9月22日の間に文部省のサイトを通じて一般からの意見募集を行なっていた。申請では「曲数が10曲までの場合、年額10,000円」とされていたが、これに対し、「個人がMIDIを通じて交流する場合の使用料にしては高い」「子供の小遣いで支払える額にするべき」「高額な使用料では違法サイトが増えるだけ」などの意見が寄せられていた。それらの意見を踏まえた上で審議では「1曲(入れ替え自由)の月額単価を150円程度、年間通して1曲を利用する場合の包括的な年額を1,200円程度」とするという結果を出した。なお、10曲まで入れ替え自由で年間10,000円の包括的な使用料体系も同時に用意する。また、施行時期については、当初、2001年4月1日からとしていたが、審議に時間を要したこと、周知徹底に時間がかかるであろうとの判断、また、個人からの許諾申請手続きを簡便にするための準備が必要などといったことから、同年7月1日からの施行に延期した。

 著作権審議会使用料部会では、今回の利用規程について、仲介業務団体と利用者団体が円満な利用秩序の形成のために協議を行なったことは評価できるとしながらも、今後も十分な協議と現状の変化に対応した使用料規定の柔軟な見直しが期待されるとしている。また、個人利用に関して寄せられた「趣味や個人的交流を目的とした配信はストリートパフォーマンスと同じだから使用料を払う必要はない」「MIDIデータは苦労して作成した別作品なので自分に権利がある」「インターネットにおける音楽著作物の管理は表現の自由を奪うものである」という意見をあげ、関心の高さはうかがえるものの、著作権制度に関する理解が十分とはいえないとしている。

◎関連記事
JASRACとNMRC、ついにインターネット音楽著作物使用料で最終合意

(2000/12/18)

[Reported by okiyama@impress.co.jp]


INTERNET Watchホームページ

INTERNET Watchグループinternet-watch-info@impress.co.jp