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http://www.fusioncom.co.jp/
フュージョン・コミュニケーションズの角田忠久代表取締役社長 |
フュージョンのバックボーンはNTT地域会社の交換局に接続されており、加入者は自宅から交換局までをNTTの電話回線、交換局から先をフュージョンのIP網を使って通信することになる。VoIP技術を使うが、いわゆる“インターネット電話”ではない。オープンなインターネットを使うインターネット電話とは異なり、フュージョンの電話サービスは同社専用のIP網を使用する。しがたって、通話品質についても遅延や混雑の心配はなく、一般の電話と同等の遜色ないサービスを提供できるとしている。また、「0038」という識別番号も取得しており、他の長距離電話会社と同様、相手の電話番号の前にこの識別番号をダイヤルすることで、一般の電話機から利用できる。すなわち、IP網を利用してはいるが、NTTコミュニケーションズやKDDI、日本テレコムなどと同様、第一種電気通信事業者の長距離電話会社という位置づけとなるわけだ。
発表と同時に、10日より電話サービスの申込予約および「マイライン」への登録受付を開始した。料金は3分間20円の通話料金のみで、加入料や月額基本料などは設定されていない。例えば、札幌から東京まで週に2回、それぞれ30分間通話すると、月額料金は1,600円。他社で割引サービスを併用した場合に比べ、半額以下になるという。
フュージョンではこのほか、国際電話やインターネット接続、VPNなどのサービスも展開する。バックボーンがIPベースということで、これらの通信サービスを統合して低価格で提供できるとしている。国際電話については現在準備中で、できれば従来の半額以下の料金で6月中にも開始したいという。
インターネット接続については、市外電話サービスと同じく4月1日より開始する。電話サービスへの加入者に対して、月額基本料200円+全国一律3分間10円(ネット接続および電話代込み)の料金で提供する。最近では定額化が進んでいるネット接続サービスだが、定額サービスのアクセスポイントがない地方のユーザーにとっては大きなアドバンテージになるとしている。なお、「マイラインプラス」でフュージョンを指定した加入者については、月額基本料が無料となる。
フュージョン・コミュニケーションズは、日商エレクトロニクスが出資して2000年3月に設立されたIPベースの通信事業会社。「過去の技術やネットワーク資産にとらわれないゼロからのスタート」(角田忠久代表取締役社長)を切ったことで、距離に依存しない一律料金と低料金を実現した。当面の加入者目標は100万回線で、2004年までに5%のシェア獲得を目指す。12月現在の資本金は16億円。日商エレクトロニクスのほかに古河電工、NTTデータなどが出資しており、春には100億円程度へ増資を計画している。
5月から提供される「マイライン」サービスの開始に向け、電話各社ではこのところ、市内電話料金を3分間10円から8.8円に引き下げるなどの価格競争が繰り広げられている。しかし、これに対して角田社長は「10銭単位の引き下げはユーザー本位の競争ではない」と指摘。また、市外電話についても「料金が距離に依存するというのなら、なぜ県内と県外で料金体系が異なるのか」「各社の料金はほぼ横並びであり、本当の競争とは言えない」と疑問を投げかけている。
一方、フュージョンのサービスはこれらに比べれば格安であり、全国一律という点で画期的なことは確かだ。とはいえ、同社の認知度はまだまだ低く、低料金という要素だけではシェアを伸ばせないという事実は角田社長も認めるところ。また、同社が設立からわずか1年でサービス提供にこぎつけたということは、他社にも早期参入の可能性があるということであり、「(フュージョンの)電話料金の優位性がいつまで続くかはわからない」(角田社長)。通信事業者には不可欠な認知度と信頼性をいかに早く確立していくかが勝負となる。
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(2001/1/10)
[Reported by nagasawa@impress.co.jp]