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東京めたりっく通信、最大3Mbpsの新メニュー投入へ
ダークファイバーの活用でバックボーンを強化

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http://www.metallic.co.jp/

 東京めたりっく通信は24日、3月をめどに一般向けのADSLサービスメニューを刷新するとともに、下りの最大速度が3Mbpsの高速メニューを追加すると発表した。利用料金は月額1万円程度となり、まず東京23区からスタートする。

 同社は昨年12月、NTT東日本との間でダークファイバー(使用されていない光ファイバー)の貸出に関する協定を締結。NTT東日本からダークファイバーを借り受けることで、電話局間をつなぐ、より高速なバックボーンを従来よりも低コストで構築できるようになった。これまでATMリンクを利用し、600Mbps程度しか出なかったものが、数Gbps単位から、さらに今年後半には数Tbps単位に増速されるという。その結果、従来も技術的には可能だったが「バックボーンのコストが高くて提供できなかった」(東京めたりっく通信・平野剛代表取締CEO)という高速接続メニューを提供できるようになった。

 サービスで採用されるモデムは、ADSLのフルレート規格であるG.dmtの日本向け仕様(AnnexC)のもの。最大で下り6Mbps/上り512bpsの通信が可能だとしているが、電話局からユーザー宅までの距離などにより最大速度が低下することもあるため、実際のサービスでは当初3Mbpsに抑えた。ただし、数カ月のうちに6Mbpsについても提供できる見込みだ。

LinkSpeed
東京めたりっく通信によるG.liteとG.dmtの速度比較データ
 同社の資料によると、国内のADSLサービスで多く採用されているハーフレートのG.lite AnnexC(最大速度が下り1.5Mbps/上り512bps)と、フルレートのG.dmt AnnexCでは、伝送距離が2kmまでの場合、下り速度に2倍の開きがある。G.liteが3.0kmまで1.5Mbps前後を維持、3.5kmで約700kbpsに低下するのに対し、G.dmtでは2kmまで約3Mbpsを維持。以降、徐々に低下していき、2.5kmで約2.4Mbps、3.0kmで約1.7Mbps、3.5kmで約1.2Mbpsとなっている。東京23区内における電話局からユーザー宅までの距離は、普通は2km程度だとしており、この範囲であれば「3Mbpsまでは余裕で出る」(平野CEO)という。

 一方、上り速度では、G.liteが3.5km付近まで約500kbpsを維持しているのに対し、G.dmtでは同じく約400kbpsを維持するに止まっている。逆に、G.liteのほうが高速という結果だ。東京めたりっく通信によると、3Mbpsメニューの上り速度については現在検討中だとしている。

 3Mbpsメニューの導入に合わせ、既存の一般向けメニューも3月をめどに刷新する。例えば、最大速度の違いで2つのコースが用意されていた「Single640」「Single1600」を、最大速度が下り1.6Mbps/上り288kbpsで月額料金が5,500円の「Single」に一本化する。すなわち、従来のSingle640については、月額料金はそのままで最大速度をワンランク上のSingle1600と同等程度に増速。一方、Single1600については、最大速度は従来と同等程度を維持したまま、月額料金をSingle640と同じ額にまで値下げするわけだ。これは、ルータ接続タイプの「Family640」「Family1600」についても同様だ。なお、今回の変更は一般向けメニューを対象としたもので、ビジネス向けの「Advanced ADSL」や「SDSL」は対象外。今後、メニューの変更/追加を発表する予定だ。

Mr.sugimura
東京めたりっく通信の杉村五男代表取締役CCO。東京ふぁいばあ通信社長も兼任する
 東京めたりっく通信ではこのほか、NTTの光アクセス回線とVDSL(Very high speed Digital Subscriber Line)を組み合わせた高速通信サービスも提供する考えであることを明らかにした。

 昨年末に開放の対象となったダークファイバーは、電話局間や通信事業者ビル間をつなぐ中継系の回線だけでなく、電話局と加入者をつなぐアクセス系の回線も含まれている。東京めたりっく通信では、すでにNTTの光ファイバーが敷設されているオフィスビルや集合住宅などを対象に、このサービスを展開していく方針だ。まず、ビルまでの経路をダークファイバーで確保し、ビル内にVDSL機器を設置、そこから各フロアや世帯までを電話線によるVDSLで接続するというものだ。

 これまで、すでに光ファイバーが敷設されているビルではDSLサービスが享受できないという問題があったが、アクセス系の光ファイバーが開放されることで、このようなサービスが実現できるようになる。VDSLは、伝送距離を犠牲にした代わりに速度を追求したもので、40Mbps程度の最大速度を実現できるという。

 なお、東京めたりっく通信のADSLサービスは、申込から開通までに時間がかかることが問題となっているが、同社によると、現時点でのバックオーダーは2万2,000件に達しているという。これに対して同社の開通能力は現在、1日に300件に止まっている。平野CEOは、これを今月末までに500件にアップし、さらに2月末以降は1,000件にすることで対応していく計画だとしている。

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(2001/1/24)

[Reported by nagasawa@impress.co.jp]


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