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【集中企画】

汎用JPドメインの“同時登録申請”で失敗しないために

 日本レジストリサービス(JPRS)による汎用JPドメインの“同時登録申請”の受付が、2日より開始された。現在、JPRSの指定を受けたレジストラ各社を通じて、汎用JPドメインの申請が行なえる。2月から3月にかけての“優先登録申請”が、限定されたドメインを対象に行なわれたのに対し、同時登録申請は、国内に住所を確認できる人なら誰でも申請できる最初の機会となる。

 とはいえ、その位置づけや手順がよくわからないという方も多いと思う。そもそも、同時登録申請という言葉自体がよくわからない。そこで本記事では、同時登録申請の概要について解説する。

●同時登録申請とは

 優先登録申請で対象となったドメインは、既存のJPドメイン所有者が同じ文字列を優先的に登録できた“第1区分”、日本国内で登記されている商標や商号などを優先的に登録できた“第2区分”と分類されていた。これに対し、同時登録申請で受付の対象となるドメインは“第3区分”と呼ばれる。

 そのため、同時登録申請は何か特別なものと思われがちだが、実は対象となるドメインは特に限定されておらず、5月7日からスタートする先願(先着順)による受付期間と原則的に同じだ(一部を除く:後述)。いきなり先着順で受付を開始すると、先を争うユーザーが殺到して混乱が起きたり、システムへの負荷が大きくなる可能性がある(昨年秋の“日本語.com”の例が思い出される)。同時登録申請は、そういった混乱を避けるために設けられた期間だ。

 同時登録申請の期間内に申請されたドメインは、受付日に関わらず、その名称通り“同時”に申請されたものとみなされ、登録をいったん保留。締切後に登録者が決定される仕組みだ。同じ文字列のドメインに複数の申請があった場合は、あらかじめポリシーとして設定された優先順位にそって、同等の場合は抽選で登録者が決められる。

 同時登録申請では、ドメイン登録料のほかに事前申請手数料が発生するが、ほとんどのレジストラでは高くても3,000円程度、1,000円前後が相場のようだ。もし登録したい汎用JPドメインが決まっており、それが本当に必要なものなら、事前申請手数料を払ってでも、先願期間まで待たずに同時登録申請で申請しておいたほうが無難だ。

 なお、同時登録申請前後のスケジュールは以下の通りとなっている(予定)。

4月2日同時登録申請の受付開始
 〃DNS、WHOISの仮運用開始
4月中旬 優先登録申請における抽選結果の通知
4月23日同時登録申請の受付終了(正午まで)
5月7日先願による登録申請の受付開始
 〃DNS、WHOISの本運用開始
5月下旬 同時登録申請における抽選結果の通知

●申請できない汎用JPドメイン

 先にも述べたように、同時登録申請で申請できるドメインは、先願期間と原則的に同じだが、受付の対象から外されているドメインがある。

1)予約ドメイン
2)紛争処理中の既存JPドメインと同じ文字列のドメイン
3)商標/商号など、第2区分の優先登録申請で申請のあったドメイン
4)第1区分の優先登録申請の“対象となった”ドメイン

 1)は、例えば都道府県名や日本語の普通名詞、1文字によるドメイン、~中学校/~小学校などの文字列である(JPNICが「汎用JPドメイン名における予約ドメイン名」としてリストを公開中)。2)とともに、汎用JPドメインのポリシーとして申請対象から外されているものであり、これは特に同時登録申請に限った措置ではない。また、3)は、すでに優先登録申請で誰かが申請済みのドメインであり、同時登録申請以降も、その登録が抹消されない限りは申請はできない。

 これに対して4)は、少しややこしい。もしかしたら、受付の対象から除外されるのは同時登録申請期間だけで、先願期間になれば申請できる可能性もあるのだ。

 少し詳しく説明すると、第1区分というのは、2000年3月末日現在における既存JPドメイン名の登録者が、同じ文字列を汎用JPドメインとして優先的に登録できた区分である(CO.JP、NE.JPなど複数の属性で同じ文字列がある場合も、登録時期の早い順に優先順位が決まっている)。これに該当するドメインは約15万件あるが、これらについては、優先登録申請の期間内にその対象者から申請があったかどうかに関わらず、同時登録申請の期間はすべて受付の対象から外されているのだ。

 例えば、既存JPドメインとして「impress.co.jp」を登録している弊社もしくは「impress.**.jp」の登録者には「impress.jp」の優先登録権があったわけだが、たとえ彼らが「impress.jp」を優先登録申請で申請しておらず、「impress.jp」が空いているとしても、同時登録申請では「impress.jp」は受け付けてもらえない。

 JPRSによると、4)の該当ドメインを同時登録申請の受付対象外とする措置については、先願期間の始まる5月7日以降に解除する予定だとしている。したがって、もし、既存の「impress.**.jp」登録者が「impress.jp」を申請していなかった、かつ、3)の第2区分からも「impress.jp」の申請がなかったとすれば、5月7日以降、ほかの誰かが「impress.jp」を申請できる可能性があるわけだ。あるドメインについて、同時登録申請の期間に申請ができなかったからといってそこであきらめてしまわず、先願期間に入ってからもう一度、確認しておくのがいいだろう(確認の方法については後述)。

 なお、この扱いは優先登録申請の対象者に対しても同じだ。例えば、弊社が「impress.jp」を優先登録申請期間中に申請し忘れた、もしくはその期間は申請しなかったが後から申請したくなったという場合でも、同時登録申請では弊社からの「impress.jp」の申請は受け付けてくれない。どうしても欲しければ、先願開始と同時に急いで申請するしかない。ただしその場合も、すでに3)の第2区分からの申請で押さえられてしまっている可能性もあり、必ずしも取得できるわけではない。

■汎用JPドメイン名における予約ドメイン名
http://www.nic.ad.jp/dotjp/doc/dotjp-reserved.html

●同時登録申請をする前に

 各レジストラに申請手続きをする前には、そのドメインが申請できるかどうかのチェックが必要だ。受付対象外だと知らずに申請できないドメインを申し込んでしまったとしても、レジストラ側でチェックしてくれるとは思うが、やはり事前に自分で確認したほうがいい。

 これについては現在、JPRSのウェブサイトでデータベースを参照できる。「ドメイン名検索」として設けられているフォームに、希望するドメインを入力して検索ボタンをクリックするだけでOKだ。すでに登録者が確定しているドメインであれば、検索結果として「Not Available! 登録されています」というメッセージと登録者名が表示される。また、登録者が明示はされないものでも、前章で述べた4項目に該当するものについては「Not Available! 申請できません」と表示される(ただし、どの項目にあてはまるのかは、ここではわからない)。これら以外の「No Match! 汎用JPドメイン名で一致するデータはありません」と表示されるものが、とりあえず今のところはデータベースに登録されておらず、同時登録申請で申請できるドメインとなる。

 なお、レジストラ各社のウェブサイトでも、同様の検索機能を提供しているところがある。例えば「DOMAIN 21」の検索機能では、受付対象外のドメインの場合、先述の2)に該当するものなのか、それとも3)や4)に該当するものなのかが明示されるのでわかりやすい。また「55ドメイン」では、検索後、申請可能なドメインについてはそのまま申請受付画面に移れるようになっている。このように、既存JPドメインやgTLDのレジストラではあたりまえの機能だが、ざっと見た限りでは、現時点で検索機能を提供している汎用JPレジストラはそれほど多くないようだ。

■日本レジストリサービス
http://jprs.jp/

■DOMAIN 21
http://www.domain-21.net/

■55dドメイン
http://www.55domain.com/

●レジストラの登録サービス提供状況

 同時登録申請の受付期間は23日の正午までとなっているが、これは、レジストリであるJPRSにおける受付期間だ。レジストラ各社の受付は必ずしも23日まで行なわれるとは限らず、多くは数日前、早いところでは1週間前に締め切ってしまうところがあるので注意が必要だ。

 汎用JPドメイン登録サービスを提供しているレジストラについては、JPRSが同社ウェブサイトで「サービス提供指定事業者一覧」としてリストを公開しているほか、本誌編集部でも主なレジストラの料金と受付期間についてリストを作成、下記URLで公開している。また、数あるレジストラの選択方法については、本誌3月7日号の記事も参考にして欲しい。

 なお、同時登録申請の抽選方法については、抽選前に公開される予定となっている。JPRSによると、使うレジストラによって抽選が有利または不利になることはないとしている。

■日本レジストリサービス サービス提供指定事業者一覧
http://jprs.jp/douji/agents-list-1.html

■主な汎用JPドメインレジストラ一覧 第3区分編
/www/article/2001/0405/jplist2.htm

■汎用JPドメインの登録申請、もう迷わないレジストラの選び方
/www/article/2001/0307/dotjp.htm

(2001/4/5)

[Reported by nagasawa@impress.co.jp / okada-d@impress.co.jp]


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ウォッチ編集部INTERNET Watch担当internet-watch-info@impress.co.jp