【業界動向】

サポートビジネスに変化か

米Keenのコミュニティーが「OfficeXP」のユーザーサポートを補助

■URL
http://www.keen.com/documents/corpinfo/press053101.asp

 米Keenは31日、米Microsoftとの提携を発表し、Microsoftが発売するソフトウェア製品「OfficeXP」の利用方法などに関するサポート業務を補助することを明らかにした。これはKeenが、Microsoft製品に詳しい一般ユーザーが有料で情報を提供できるようなコミュニティーを作れるようにし、そのサービスをOfficeXPの提供するWebサービスのひとつとして利用できるようにするというもの。

 Keenは、一般市民が自らの専門知識を生かしてさまざまな疑問に有料で答えられるようなシステムを提供するコミュニティーサイト。専門的な知識を持つ人は誰でも自分の知識を有償で、しかも電話で気軽に提供できることから米国で人気を博している。生活の中で日常生活に関する問題や技術的、科学的な疑問を持つ人は誰でもKeenのサイトを訪れ、自分の疑問に該当する専門家を探し出し、Keenのシステムを使って安全に専門家に電話をかけることができる。

 今回MicrosoftとKeenが提携したのは、OfficeXPの「Tools on the Web」メニューをクリックするとMicrosoftが提供するWebサービスのひとつとして「Find an Office Expert」が表示され、そこを通してKeenのサービスを利用できるようにしたことだ。現在登録されている専門家たちは多くがMicrosoftの認定を受けたMCP資格などを持つテクニカルアドバイザーで、操作方法に関するアドバイスだけでなく、VBAを使ったアプリケーション開発に関する専門的な疑問にも答えられる人も含まれている。

 本来自社製品に関するサポート業務はその製品を販売する企業が請け負うべきだとの議論も聞かれそうだが、合理的に考えればこのサービスには興味を引く点も多い。例えば、Microsoftの正式なサポート業務の場合、一件の質問に対して個人では最低でも35ドル、企業の場合一件当たり最低195ドルの料金が請求されるが、Keenに登録している専門家の中で最も安い料金では1分当たり0.5ドル(Keenの利用料金は時間制)の低料金で質問に答えるとしている。質問の内容によってはKeenのサービスを利用する方が圧倒的に安いケースも出てくるだろう。

 しかし一方Microsoftのサポートは正式に訓練された要員を配置しているだけでなく、24時間、365日サービスを提供しているが、Keenの場合、専門家のレーティングは見られるものの、全体としてそうした品質保証は得られない欠点がある。

 フリーソフトウェアやシェアウェアの世界では昔から一般の利用者が作者に成り代わって他の利用者の疑問にメーリングリストなどで答えるということが一般的に行なわれており、今回の提携によって生み出される現象もそれと似ているようにも見える。

 今回の提携についてMicrosoft Office eService担当ゼネラルマネジャーのJeff Olund氏は「Keenは新しいOfficeXPを含むOfficeの利用者にとって、業界をリードする信頼できる情報源から電話で即座に技術的な助言を得られるという点で素晴らしいソリューションとなるだろう」とコメントしている。

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(2001/6/4)

[Reported by taiga@scientist.com]


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