【音楽配信】

著作権・音楽の目的とは何か~米EFFが新ライセンス形式で問題を提起

■URL
http://www.eff.org/IP/Open_licenses/eff_oal.html

 P2Pによるファイルシェアリングソフトの普及により音楽の配布や販売に大きな変化が起きている。こうした方法は大手レコードメーカーの既得権を阻むため、多くの裁判が起こされており、その結果としてファイルシェアリングビジネスは大きな打撃を受けようとしている。例えば最新の調査結果によればNapsterの利用者数や登録されている楽曲数は大幅に減少しているだけでなく、裁判の結果によりNapsterは多くの楽曲を配布できないようにする措置をとらざるを得なくなっている。

 こうした時代の流れに対してコンピューターやインターネットの世界におけるさまざまな自由を追及している団体EFF(Electronic Frontier Foundation)は、音楽の楽曲を配布するためのライセンスに新しい方法「Open Audio License」により問題を提起している。

 Open Audio Licenseは、配布される楽曲について、許可を得ることなくコピー・配布・利用・演奏してもよい代わりに“必ず作者を明記すること”を要求するものだ。自由にコピーをしてもよく、配布できるということは、Napsterに代表されるようなファイルシェアリングソフトで全く合法的に音楽を広めることができるということであり、またそこで手に入れた音楽をもとに新たなアレンジを行なったり、新たなメロディーを付け加えたりすることも無料で、かつ合法的にできるのである。

 EFFがこのようなライセンスを作成した理由として、現在の著作権ビジネスのあり方が著作物の売り上げを増やすことに目的が置かれすぎており、新しい知識や文化を著作権者の権利を保ったまま広める、という本来の著作権法の目的から外れかけているとの認識があるからだ。このライセンスを受け入れることにより、アーティストは自分の音楽に託したメッセージをたくさんの人に聞いてもらうためだけに音楽を配布することができるし、自分の楽曲を広めることで自分の名声を高めようとする人も出てくるかもしれない。このようにこのライセンスは音楽の売り上げを増やそうとするビジネスと相反するものでもない。しかし、レコード会社を通さなければ現実としてなかなか多くの人に自分の楽曲を聴いてもらえない現状では、合法的に無料で配布するためのライセンス形式というのはそれほど存在しなかった。

 音楽とは「音を楽しむ」と書く通り、本来はビジネスの道具として利用されるものではなく、音楽そのものにその存在価値があるものだと思われる。新しい技術が台頭することにより、また新しい法律の利用方法を整備することにより、音楽の新しい可能性が見いだせるのかもしれない。

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(2001/7/2)

[Reported by taiga@scientist.com]


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