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【通信事業】

“衛星インターネット”で新幹線でもブロードバンドが可能に?
NTTサテライトが「Mega Wave Pro」の移動体向け試験サービス

■URL
http://www.nttsc.co.jp/nsc103.html

自動追尾アンテナは、ドームの外形が約1m、高さが約35cm

 NTTサテライトコミュニケーションズが、同社の企業向け衛星ネットサービス「Mega Wave Pro」において、移動体向けのサービスを展開する。大型船舶や新幹線などにアンテナを取り付けることで、乗り物内に最大1.5Mbpsのブロードバンド環境が構築できる。9月より試験サービスとしてユーザーを募集し、2002年4月からの本サービス移行を目指す。

 サービスの名称は「Mega Wave Pro-Mobile(仮称)」。NTT研究所が開発したCS用の自動追尾アンテナを採用し、移動体からでも衛星経由で接続できるようにした。アンテナには速度や方向を感知するセンサーが内蔵されており、常に衛星からの信号を受信できるよう角度を調整するようになっているという。

 なお、衛星経由で行なわれるのは、従来の衛星インターネットの仕組みと同様、衛星から移動体へ向けた下り通信部分のみ。上り回線についてはNTTドコモのDoPaを利用する(別途契約が必要)。

 NTTサテライトでは、大型船舶や新幹線、バスなどでの利用を見込んでおり、すでに船舶会社と運輸会社の計2社から採用の内定をもらっているという。例えば、Mega Wave Pro-Mobileのアンテナとチューナーを搭載した船では、客室内にLAN回線を敷設することで乗客がインターネットを楽しめるほか、同じ衛星を使っているCS放送を受信することも可能になる。また、移動しながら接続するという用途以外にも、有線回線が不要というメリットを生かし、イベント用車両や自治体の“移動IT講習車”などへの応用も可能だとしている。

 対応できる移動速度についてだが、船や自動車、鉄道のほか、さらに高速な航空機においても、アンテナの性能的には問題ないという。むしろ問題となるのは電波を遮るものの存在で、トンネルに入ると通信が途切れてしまうという短所がある。したがってMega Wave Pro-Mobileでは、切断した通信がすぐに回復するような機能が追加された。

 また、DoPaや衛星(JCSAT-4、N-STARa)のカバーエリアの関係から、残念ながら航空機での利用も現実的ではない(上り回線を使わずにCS放送のみの受信も可能だが、番組が制限される)。そういう意味では、沿岸を航行する船舶での利用が期待されるとしている。

 本サービス時の料金は、データ量1GBまでのインターネット接続料を含み月額10万円、アンテナのリース料が月額10万円程度を予定している。また、アンテナの取付費用が別途必要になるとともに、取付工事に2ヶ月程度の期間がかかる。

 なお、通信速度の最大1.5Mbpsというのはサービスメニュー上のスペックであり、アンテナの性能によるものではないが、さらに高速な回線を望むユーザーが一つのアンテナで複数回線を契約するような形態については、今のところ予定していないとしている。

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(2001/8/30)

[Reported by nagasawa@impress.co.jp]


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