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【ブロードバンド】

市議会議員らの有志が誘致したADSLサービス<後編>
─北海道伊達市─

■URL
http://www.japan-telecom.co.jp/newsrelease/nr011023_fra.html (日本テレコムのニュースリリース)
http://www.nomadsystems.co.jp/kaiken.htm (ノマドシステムズの発表文)

 「日本テレコムの中では、私は有名人というか、話題の人らしいです(笑)」。広田氏は、今回の伊達市での事業が、日本テレコムの北海道支社だけでなく全国の支社からも注目されているようだと説明する。10月に札幌で開催されたあるパーティーの会場では、「あなたが“あの”市議会議員さんですか」と、日本テレコムの村上春雄社長から声をかけられる場面もあったという。元ビジネスマンの市議会議員という広田氏の経歴も手伝って、村上社長も関心を持った模様だ。

 日本テレコム自身、伊達市での事業の行方に大きな期待を寄せていることをうかがわせるエピソードだが、それは「今後は単に接続サービスの提供のみならず、 各種インターネットサービスのコンテンツ制作等への協力を行ない、 同研究会のまちづくり運動への支援活動を継続していく」(ニュースリリース)という展開が控えているためである。


 広田氏によると、共同開発するコンテンツとしては福祉施設の音声ポータルや市民団体によるインターネット放送が挙げられるという。これには日本テレコムの音声ポータル「Voizi」や、ストリーミングデータのホスティングサービス「ODNメディアストリーム」が活用される予定だ。すなわち伊達市での事業は、日本テレコムにとって単なる接続サービスの提供に止まらない。コンテンツを含めた各種サービスが、地域のIT市場においてどれだけ可能性があるのかを検証できる場になるのだ。

 実は日本テレコムが誘致活動に応えてJ-DSLの提供に踏み切ったのは、署名分の加入者が見込めるからというよりは、むしろその署名をとりまとめた広田氏ら西胆振情報化政策研究会の存在自体を高く評価したためではないだろうか。共同でブロードバンドサービスの“利用モデル”を模索できる“受け皿”が伊達市には存在したのである。

 日本テレコムが市民グループとの協業でコンテンツ開発まで踏み込む例は、「まれなケース」(広報室)だという。このことからも、伊達市がいわば同社の“モデル事業”的な位置づけであると言えそうだ。


 10日には伊達市においてJ-DSLの申込受付がスタートした。ノマドシステムズがODNの代理店となり、市内のレコード店に間借りするかたちで専用の相談/受付カウンターが設置された。通常、J-DSLの申込はウェブサイトから行なうことになっているが、当分の間、伊達市での受付業務はこの特設窓口で行なわれるという。「市民に身近な感覚でADSLを知ってもらいたいということと、私の顔で営業する部分でユーザー獲得に成果をあげたい」(広田氏)との考えからで、「これも、地方でADSLを採算ベースに乗せるための一つの取り組み」だとしている。もちろん、研究会のメンバーが経営する店舗などにもポスターを貼り、申込書を用意して加入促進を図っていく。

 サービスは12月にも開始される予定だ。広田氏らの支援活動により、果たしてどれだけの加入者を集めることができるか? 伊達市での事例は、市民レベルのブロードバンド誘致運動が通信事業者にとってどこまでビジネスにつながるのかを試される機会にもなるだろう。

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市議会議員らの有志が誘致したADSLサービス~北海道伊達市<前編>

(2001/11/12)

[Reported by nagasawa@impress.co.jp]


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