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■URL
http://www.geocities.co.jp/Technopolis-Mars/7270/plc-exam.htm
日本アマチュア無線連盟関西地方本部は23日、「電力線搬送通信による漏洩電波の影響評価に関する公開実験」を大阪府吹田市で実施した。
現在国内では、電力線搬送通信(Power Line Communication:PLC)の高速化を実現する施策として、これに利用できる周波数を拡大するという規制緩和が検討されている。ただし、その対象となっている周波数帯は短波放送やアマチュア無線、船舶無線などにすでに割り当てられているものであり、PLCがこれら既存の無線通信に与える影響も指摘されている。
しかしながら、果たしてどれだけの影響があるのかといったことが示された具体的な材料は、国内ではほとんど公開されていないのが実状だという。今回の実験は、実際に数値的なデータを収集・公開するため、特に影響が懸念されているアマチュア無線のユーザーが寄付を募り、取り組んだものである。大阪大学アマチュア無線クラブも協力し、当日は関西だけでなく東京などから20名近くのアマチュア無線ユーザーが参加した。
(左)写真奧から中央手前に延びているのが模擬電線。末端に家電製品が接続された状態でも測定した。(写真右)模擬電線の真下に短波ラジオを、電線から5メートルほど離れた位置にアマチュア無線のアンテナをそれぞれ設置し、漏洩電波の影響が調べられた |
実験では、大阪大学吹田キャンパスの敷地内に数十メートルの模擬電線を設置。PLCの信号を想定した高周波数帯の信号をシグナルジェネレーターという装置で発生させ、電力とともに仮設電線に流し込んだ。この状態で、近くに置いた短波ラジオやアマチュア無線用受信機に出る影響をチェックしようというものである。測定項目には、PLC信号の出力をどれだけ下げればアマチュア無線にノイズが入らなくなるかといったものや、逆にアマチュア無線局から送信される電波によって電力線に起こる高周波成分なども含まれる。
測定結果は12月中旬にもとりまとめて公開される予定だ。実験当日には具体的なデータは公表されなかったが、特に短波放送についてラジオ放送が聴こえなくなるほどの影響が確認された模様である。仮にこの問題をクリアしようとするならば、電線自体をシールドすることで漏洩電波を防ぐか、PLC信号の出力をかなり低いレベルに制限するといった方法が必要になる可能性もある。しかし、シールドが必要とあれば、既存の電力線が利用できるというメリットが消えてしまう。一方、信号の出力を制限するとすれば、低出力と高速化を両立できる技術が必要となる。今の段階ではまだ想像の域を出ないが、発表されるデータによっては、PLCの高速化実現のための高いハードルが示されることになるかもしれない。
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(2001/11/26)
[Reported by nagasawa@impress.co.jp]