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【通信事業】

早急な見直しが迫られるADSLのコロケーションルール
<前編>

■URL
http://www.soumu.go.jp/s-news/2001/011031_2.html
http://www.soumu.go.jp/s-news/2001/011121_5.html
http://www.soumu.go.jp/s-news/2001/011206_2.html
http://www.soumu.go.jp/s-news/2001/011221_7.html

 ブロードバンドの普及へ向けて、ADSLなどの通信サービスが今後円滑に提供されるために、NTT収容局舎におけるコロケーションルールの見直しをただちに実施すべき時期に来ている。19日、NTTのコロケーション約款変更案について、総務省の情報通信審議会が関連事業者を招いて実施した公開ヒアリングで、現在の“早い者勝ち”ルールがもたらしたひずみが鮮明に浮かび上がった。

 ヒアリングには、約款変更を申請中のNTT東日本と西日本、ADSL事業者からアッカ・ネットワークス、イー・アクセス、ビー・ビー・テクノロジー(BBT)、ビック東海の計6社が出席した。

 はじめにNTT東日本相互接続推進部長の佐々木氏が説明したところによると、東西NTTの合計で現在、ADSLサービス約2,500万回線分にあたるコロケーションリソース(ラックスペース、MDF端子、電源)が用意されているという。しかし、「一部事業者からの当初予定していなかった大量申込」によって、一部のNTT収容局において「リソースの枯渇状態が発生」。11月末時点で、他のADSL事業者からコロケーションの可否について調査を依頼された727局のうち、315局で71万1,300回線分が不足しているという。

 実際、アッカでは、同社が開局中の531局のうち「需要が多い半数の局でスペースがない」(坂田好男代表取締役社長)状態だとしており、「局によっては来年2月から3月にはサービスを提供できない」ところも出てくると予測。「このまま放っておくと、ADSLに対する消費者マインドが冷え込んでしまう」と訴える。イー・アクセスでも、「需要の伸びによっては、2002年早々には一部の局においてサービス提供が不可能になる可能性が大きい」(千本倖生代表取締役社長)という。

 同様の事情を抱える2社は、コロケーションの保留期間を短縮することでリソースの効率利用を促すという今回の約款変更案を評価する一方、「“場所取り合戦”を解決する上で根本的な解決策ではない」(千本社長)と指摘。ブロードバンド市場が急速に立ち上がっている中で、今まさに起きている問題を解決するため、「さらなる改善策」(坂田社長)が必要だとしている。すでに保留中となっているリソースでも未着工分は再配分する仕組み、申込量の上限設定、利用実績に応じたリソースの割当制度などを求めている。

 これらの意見に反対する立場をとるのがBBTだ。同社は、NTTから電源が確保できないと回答された局でも、自前で電源工事を行なうことで「自助努力で解決してきた」(孫正義代表取締役社長)と説明。同様に、収容局内にラックスペースがなければ「隣接する駐車場や屋上にコンテナラックを作ってでも設置する覚悟がある」とし、リソース不足の局については各社が「代替案を検討することで、それぞれ自助努力する必要がある」と強調する。

 また、申込量の上限設定についても、「新規参入者にとって、枠をはめられるのは不利」とした上で、通信事業自由化の流れに逆行するような施策について疑問を投げかけた。

 さて、このような意見対立の構図からもおおかた想像できると思うが、リソースの大量保留を行なっている“一部事業者”というのはBBTのことである。しかし、ヒアリングでは当初、BBTが未使用リソースを大量保留していると特定した上で議事が進められていたわけではない。配布資料でもこれを特定する記述はあえて避けられており、あくまでも一般論を議論しているような、白々しい雰囲気さえただよっていた。

 ところが、各社のコメントが一巡して質疑応答と意見交換の段階に入ると、名指しこそしないものの、ようやくというか、当然というか、観点は「BBTが保留している未使用リソースをどうしたものか」という方向に向かってきた。(以下中編)

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(2001/12/21)

[Reported by nagasawa@impress.co.jp]


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